ボデガでほろ酔い

 アルゼンチンの中西部の都市であるメンドーサのバスターミナルに到着したのは1月21日午前10時頃。メンドーサはアルゼンチンにおけるワイン生産の中心地だ。『アルゼンチンを知るための54章』(アルベルト松本)によれば、アルゼンチンのワイン生産は150万トンで世界第5位。標高の高いアンデス山脈の盆地がブドウ栽培およびワイン醸造に適しているのだという。醸造されているワインの8割が赤ワイン。アルゼンチンが「牛肉の国」であることを考えれば、なるほどうなずける。 
 メンドーサの中央市場内のフードコートでお昼を済ませ、ホステルへ戻ってくる。15時20分頃、ホステルの前にバスが到着。メンドーサのボデガを見学するツアーのはじまりだ。ボデガとはアルゼンチンでワイナリーを意味する言葉。今回のツアーは「ボデガ・シャンドン(Bodega Chandon)」と「ボデガ・ビスタンデス(Bodega Vistandes)」という2つのボデガを巡る。
 まず、「ボデガ・シャンドン」。ドンペリで有名なフランスの「モエ・エ・シャンドン」と提携しており、スパークリングワインを専門としている。会社の広報用DVDを鑑賞したあと、「シャルドネ(Chardonnay)」と「ピノ・ノワール(Pinot Noir)」の2品種のブドウ畑を通り抜け、醸造所の内部を見学する。そして、お待ちかねのテイスティング。2種類のスパークリングワイン、「シャンドン・エクストラ・ブリュット(Chandon Extra Brut)」と「シャンドン・デリス(Chandon Delice)」を試飲した。一番人気の「シャンドン・エクストラ・ブリュット」はスウィーティーな味わいが口の中に広がる。新作の「シャンドン・デリス」は甘味が特徴だ。
 次は、2007年にできた「ボデガ・ビスタンデス」へ。名前は「ビスタ」(「view」を意味するスペイン語)と「アンデス」を組み合わせたもの。「ボデガ・ビスタンデス」で栽培しているブドウの品種は赤ワイン用の「カベルネ・ソービニヨン(Cabernet Sauvignon)」、「カルムネール(Carmenere)」、「マルベック(Malbec)」と白ワイン用の「トロンテス(Torrontes)」の計4種類。醸造所を見学後、白ワイン1種類と赤ワイン2種類を試飲した。1つ目の「ビスタンデス・トロンテス(Vistandes Torrontes)」は若いブドウを使った白ワイン。2つ目は12か月ほどオーク樽に入れておいた赤ワイン「ビスタンデス・レセルべ・カルムネール・マルベック(Vistandes Reserve Carmenere-Malbec)」。3つ目の「ビスタンデス・グラドゥム・マルベック(Vistandes Gradum Malbec)」は14〜18か月オーク樽で寝かせたプレミアム赤ワインだった。
 「ボデガ・ビスタンデス」のワインは、日本はもとよりアルゼンチンでも、ここでしか入手できない。友人Aはワイン本体の約4倍する輸送費を支払って、ワイン1箱6本詰めを日本へ送っていた。
 その後、オリーブオイル工場「Pasrai」とカロディージャ教会を見学して、ツアーは終了。試飲とはいえ、メンドーサのワインにほろ酔い気分。真夏のアルゼンチンで飲む冷えたスパークリングワインの味は旅のいい思い出となった。



ボデガ・シャンドンの受付















ボデガ・シャンドンの施設内のタンク















ボデガ・ビスタンデスで味わったワイン

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