バルデス半島の動物たち

 「残念ながらスペイン語のツアーしか残っていません。明日は3000人のツアー客がバルデス半島を訪れるそうです。だから、英語のガイドがそちらに取られてしまって」。プエルト・マドリンのホステルの受付で、しぶしぶスペイン語のツアーを申し込むことになった。
 1月8日の午前中、コロラド川とネグロ川を越えパタゴニアの大地に入った。ガイドブック『地球の歩き方』によれば、「コロラド川を境に、ほぼ南緯40度以南の地域」がパタゴニア地方と呼ばれる。パタゴニア地方のチュブト州にある大西洋に突き出たバルデス半島。その付け根にあるプエルト・マドリンは夏に海水浴を楽しむ人たちで賑わうリゾートタウンだ。この町に来たのは世界遺産、バルデス半島の動物を見に行くため。しかし、残念ながらスペイン語のみのツアーということになってしまった。到着日の8日はヌエボ湾を見渡せる海洋生物の博物館「エコセントロ」に立寄っただけで、市内観光もほどほどに切り上げた。明日のツアーに備えて早めに就寝した。
 翌朝、ツアーガイドのカトリーナさんが小型バスでホステルまで迎えに来てくれた。ほとんど理解できないスペイン語の説明を聞きながら、小型バスは大西洋を望むバルデス半島に入る。砂煙を巻き上げながらデコボコした未舗装の道を進んでいく。
 まず私たちを出迎えてくれたのは、灌木の隙間から様子をうかがうグアナコの家族。グアナコはアルパカやリャマなどと同じラクダ科の動物である。ただし、背中にコブはない。次に、半島東側のプンタ・カントルに立寄る。ヨチヨチ歩きのマゼランペンギンを間近に観察した。観光客慣れしているのか、近づいても逃げようとはしない。マゼランペンギンは穴を掘って、そこをすみかにしているようだ。その後、半島の北端のプンタ・ノルテで、灰色のミナミゾウアザラシ(southern elephant seal)の赤ちゃんと焦げ茶色のオタリアの群れを見物する。海岸沿いに寝そべって日なたぼっこをするオタリアの群れに心が癒される。 
 グアナコやマゼランペンギン、オタリアなどパタゴニアを代表する動物たちが生息しているバルデス半島。スペイン語ではあったが、半島ツアーを楽しむことができた。明日はさらに南の町、コモドロ・リバダビアへ向かう。世界遺産のクエバ・デ・ラス・マノス(手の洞窟)の拠点となる町だからだ。



プエルト・マドリンのビーチ







マゼランペンギン







オタリアの群れ

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