No.53
今年最後の山は、懐ひろい森山へ
[森山(325m)五城目町――2013年12月22日]
1週間前の「靴納め」の太平山・前岳は荒天が予想されるため中止。モモヒキーズの山行はめったに中止ならないのだが、よりによって今年最後の山(に予定していた)が中止というのは、珍しい。この日に無理をしなかったのは理由がある。山を下りてから「靴納め宴会」が駅前居酒屋で予定されていたからだ。無理に山で会わなくても、夜になれば居酒屋でみんな会えるのだ。
さすが1年の計の飲み会だ、11名もの参加があった。2次会のイタリア料理店でも飲み食いの勢いは衰えず、こちらはひたすら体重増加だけが気になってしまう。
それにしても今年1年、私個人は45回強の山行だ。山登りを初めてもっとも多い記録の年ではないだろうか。
私生活や仕事の上でも、何かとしんどいことが多く、ここ数年では特筆すべき激変の年だった。そんな年に山行回数の頻度が増しているのは、そこに何かしら因果があるからだろう。私生活も仕事もしんどすぎることの連続で、山にでも逃避しなければ精神が正常に維持できなかったのだ。
モモヒキーズのメンバーにとっても、今年はいろいろな出来事が多発した年だった。そのトップは、手前味噌になるが11月9日の「無明舎出版40周年記念トークショー」だ。その会場ボランティアから事前の準備、後始末まで、すべて11名のモモヒキーズメンバーが役割分担し、ほぼ完ぺきにこなしてくれたのだ。登山家の竹内洋岳さんと作家の塩野米松さんのトークショーも盛会のうちに終わり、その後はモモヒキーズ・ボランティアを慰労するミニ・パーティ。山以外でひとつにまとまって仕事を成し遂げ、酒を酌み交わしたことは、たぶんずっと記憶に残る出来事に違いない。
「靴納め」は中止になったが翌日曜日、近場の森山に行くことになった。ここを地元にするNさんの案内だ。去年もNさんの案内で冬山を登っているから、これも定例化するのかも。登山ルートでない場所を自由自在に歩き回るとよくわかるのだが、小さいのになかなか魅力的で奥の深い山だ。

力任せに鐘を突くSシェフ

山頂での私
今回はモモヒキーズのいつものメンバー以外に2名の男女の大学生が参加した。一挙に平均年齢が下がってしまったわけだが、若い人がいると山中での会話も弾む。年甲斐もなく浮き浮きしながら登ると、山頂はすぐ目の前に。すぐに降りて(寒いので)、昼は道の駅の中でとることに。といっても山用に用意したカップめんを食べるだけだが、風のない暖かい室内で食べるランチは、めちゃ楽しい。
唯一、気がかりだったのは温泉が「小倉温泉」だったこと。この近辺にはここぐらいしかない。泉質も建物も上等なのだが、なにせ脱衣場が狭く、洗い場も小さい。順番待ちなのだ。汗さえ流せればいいのだから泉質よりも清潔さとリラックス度が重要だ、と言い続けているのだが、五城目近辺でここより設備のいい温泉は、ない。いやだなあ、と思い続けていたのだ、なんと今日はこの道の駅で「解散」だった。大学生のH君を乗せて、秋田市内まで戻り、うちの近所にある天然温泉「さくらさくら」へ。
ここでゆっくりと汗を流し、いったん家に戻って、5時からは2人の大学生とリーダーのSシェフを誘って居酒屋へ。本当に今年はこれで最後なんだなあ。

backnumber
●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち
●No.24 石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
●No.25 冬限定、地図に名前のない山に登る
●No.26 登山道のないやぶ山で、昆虫になる
●No.27 ダブル登山で、県北の春山に酔う
●No.28 GWは雪の回廊を抜け、強風の山頂に立つのが夢
●No.29 街から7キロ先に、千メートル級の山があるの?
●No.30 下水掃除と宮沢賢治とアイゼン登山
●No.31 青空・無風・トラブルなし。雑魚10匹より大物1匹
●No.32 みんな嫌がるけど、オレは好きだヨ、東山
●No.33 週末連続登山で、体力は大丈夫か、ジブン
●No.34 地元のプロと一緒だと、山歩きは百倍楽しい
●No.35 ブナと滝のシャワーを浴びて、少し元気になってきたゾ
●No.36 あれッ、なんだか人並みに体力がついてきたかな
●No.37 雷に追われ、山小屋泊まり、ガスっても岩手山は美しい
●No.38 県内最強のタフな山で、野立の誕生会
●No.39 中央アルプスで観光登山、それもまた楽し
●No.40 面白みはなくても、一度は登ってみたい虎毛山
●No.41 世界遺産の山で、会うのはへんなオジサンばかり
●No.42 ずっと踏破してみたかった、歴史の古道
●No.43 早池峰の、代替がきつかった、岩の山
●No.44 知っていそうで、知らなかった駒ヶ岳
●No.45 ストックを、持ち逃げされた秋の山伏
●No.46 侮ってしまった! やっぱり太平山系はきつい
●No.47 この山には、もう来られないかもしれない
●No.48 山よりも、ランチと温泉が楽しいこの季節
●No.49 晩秋の雪山は、みごとな小春日和
●No.50 今年もまた、やってきたリンゴ狩りの山
●No.51 33体プラス番外9体、石仏訪ね完全踏破
●No.52 地元の人と登れば、山の表情が違って見える

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