No22
山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
[森山(325m・五城目町)―2013年3月3日(日)]
 冬場はいつもそうだが、前日は荒れ模様の天気で登山口に着くまで安定しないのだが、登りはじめると不思議に山中はピーカンになる。これとは逆に、前日から星空で、集合場所でも青空が広がっている、なんていう日は山中で猛吹雪にあい、昼もとれずに必死で下山、というケースも少なくない。
 今日の森山は五城目町のランドマーク。町場に近いこの山を町民たちは深く愛している。それは四季折々の山にまつわる行事の多さからもうかがえる。山頂からみえる景観も素晴らしい。その雄大な広がりを平野と思ってしまうが、これは「潟」、八郎潟の干拓跡だ。八郎潟がいかに巨大な湖であったかが森山に登れば、よくわかる。もし八郎潟が今も残っていれば、まちがいなく秋田の一大観光拠点になっていただろう。逆にこの湖を21世紀の今、干拓しようなどと言おうものなら、世界中から「21世紀最大の環境破壊」として弾劾されるのは間違いない。時代というのは恐ろしい。
 山頂でそんな雄大な風景を眼下に眺めながら、毎日のようにこの山に登っている現地のKさんが、「われわれのような次男三男対策だなんて言いながら、けっきょく誰も(大潟村に)入植できなかった……」と悔しそうにつぶやいたのが印象に残った。
 閑話休題。森山は秋口に一度登った。けっこう傾斜のきつい山で、這いつくばりながら登り、さらに頂上まで急峻な鎖場を一度下りなければならない。 今回は地元の元高校美術教師Nさんがホスト・ガイド。これだけでも心強いのに、やはり「森山の主」といわれる先述した「山の学校