No9
賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
[雄長子内岳―470.1m(稲川町) 2012年11月25日(日)]
 毎日が雨、雨、雨。今回もダメだろうとあきらめかけていたのだが、なんと「奇跡の小春日和」。登りに1時間、下りに40分ほどの低山散歩なので、出発はいつものスーパーに8時集合。これは楽だよなあ。普段通りの時間に起きて、朝飯は近所の吉野家へ行き「ハムエッグ朝定食」を食べた。こんな機会でもなければ、まあ絶対に入ることのないファストフード店だ。
 高速で湯沢市を抜け山谷峠のトンネルを越えると稲川町だ。手帳を確認して見たら去年も1日違いの11月26日に雄長子内岳に登っている。去年はみんな初めてだったので登山口に早々に迷い、藪こぎやロープを使った登攀を繰り返す、思いがけない冒険登山で、ものすごく楽しかった思い出がある。とにかく山の姿が印象的だ。麓からみると見事な三角形で、隣に少し無骨な小さい雌長子内岳もあるが縦走路はない。
 山頂からは稲川町全域が見渡せる。中世からの町の成り立ちが一望できる歴史的眺望で、皆瀬川対岸の遠くの山腹に、中姓豪族の小野寺氏の居城を復元した今昔館(歴史資料館)の建物が見える。この豪族が作り上げた小さな町並なのだ。
 山頂には太平山の分神である三吉神社も鎮座している。昔からこの山は霊山として、里の人々の暮らしと密接なかかわりを持ってきたのだ。
 今回もスパイク長くつ。滑らないし、軽いし、落ち葉のふかふかの感触を足裏でじかに感じることができる。下りはカッコつけて軽アイゼンを付けてみたが具合はいまいちだった。簡単な低山で、普段は出来ないいろんなことを試してみる。このところ昼飯は在庫一斉セールで、もう賞味期限の切れたレトルト食品ばっかし喰っていて、仲間たちのひんしゅくを買っている。これも悪い癖で、一度買ったものを捨てることができないのだ。もう2,3回がんばれば賞味期限切れの保存食は一掃できそうだ。周囲の軽蔑の眼に負けずに、がんばるぞ。

これが便利なスパイク長くつ

左が雄長子内岳、右が雌長子内岳
 温泉は増田・猿半内の「さわらび温泉」。漫画家・矢口高雄さんの生れ故郷だ。ここの温泉は秋田には珍しく建物も浴場もシンプルで上品だ。泉質もいい。なによりフロントの女性たちの接客が秋田とは思えないほどレベルが高い。さらに館内にゴテゴテしたお土産売り場風のポスターや飾り物が少ないので落ち着く。いまのところ私たちは「秋田日帰り温泉好感度ナンバーワン」と推奨している温泉だ。モモヒキーズで表彰状を贈呈しよう、という話まであるのだが、もらっても迷惑なだけだろうナ。
 温泉の帰りは真人公園横にある佐々木農園に立ち寄り、リンゴを買った。知り合いの農園なので安いうえ、屑リンゴを好きなだけタダでもらえる。これでうまいのだからありがたい。リンゴで車がずっしり重くなるほど買いこんで、秋田に帰ってきた。
 家に着いたのは4時ちょっとすぎ。晩飯にも晩酌にも早すぎる中途半端な時間帯だ。こんな時は家庭ではかみさんの迫害にあっている「さびしい男たち」が集い、無明舎の2階で酒を飲むのが慣例だ。いつもの常連、Sさん、Oさんに声をかけ、簡単な酒のつまみを持参し、早速一献。今日はヘルシーにタコのカルパッチョ(Oさんが釣って冷凍しておいたもの)、Sさん得意のムキタケの土瓶蒸しなどで焼酎。おかげで夜はぐっすり眠られた。

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●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No.3 白神のブナの森を彷徨う
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No.5 巨木の森で、雨に追われて
●No.6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No.7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No.8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山

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