Vol.757 15年5月30日 週刊あんばい一本勝負 No.749


DM通信の作業は終わったが……

5月23日 少し疲れている。夜は熟睡できるが、軽い疲労感が目覚めに残っている。週末なので2,3時間余計に寝ても誰も困らない。そうなのだが、それでは夜寝られなくなる。だから定時で起きる。食欲もある。朝のコーヒーもおいしい。仙台ではメガネと夏のブレザーと登山靴の中敷きを購入。買い物でストレスを解消する女子の気持ちがよくわかった。昨夜の若者宴会は酒が飲めず炭酸水。やっぱり身体のネジがどこか緩んでいる。ストレッチなどの逆療法で活力を取り戻すか、鄙びた田舎にでも行ってリフレッシュするか。結論は決まっている。いつもと同じ日常を送る、こと。

5月24日 身辺がバタバタ。いいこともあれば応急処置の必要な困りごとも。でも日曜は山だ。もう2週間後無沙汰なので、ここらでリフレッシュしなければやってられない。閉じこもっているとストレスがたまることばかり。今日は好天、目指すは太平山奥岳だ。いつもの旭又、御手洗コースでなく矢源沢分岐から宝蔵岳に登り、そこから奥岳へ。下山は旭又コースを降りてくる周回コース。太平山には何十回と登っているが宝蔵岳コースを登るのは初めて(下りは何回か経験している)。山頂付近のクサリ場はスリリングで、まるで北アルプスだ。石と根っだらけの旭又コースより、急峻でクサリ場の法蔵岳の登りのほうが好き。先月鳥海山のハイペースで失敗したので、ローペースを守り快調に登頂できた。1周コース6時間半、一度も痙攣のそぶりもなかった。

5月25日 「本の雑誌」創業者の作家・目黒考二さんから『昭和残影』(角川書店)という著者を送っていただいた。目黒さんの父親のことを追った新刊だ。目黒さんの祖父は私の祖母と兄妹だ。編集者として尊敬する目黒さんと、厚かましながら親戚なのである。本のしょっぱなに私との個人的な関係が綴られている。普通であれば好きな作家の本は仕事をさておき読んでしまうのだが、この本は読む前からドキドキハラハラ、ページをくくることができない。なにせ本一冊まるごと自分のルーツに関わる「知らなかった事実」が書かれている。そう考えただけで全身に血が上りカーッと身体が熱くなり、冷静に活字を追えない。こんな時は大きく深呼吸して少し時間をおいて向き合うことにしよう。「深呼吸」と書いて思い出した。詩人の長田弘さんが亡くなった。生前一度だけ、津野海太郎さんの紹介でお会いしたことがある。詩集はほとんど持っている。ご冥福をお祈りしたい。

5月26日 夏用DMがようやく脱稿、印刷所に。読者の手元に届くのは6月初旬か。年4回のルーチンだが、いつも終わるとホッとする。HPのトップ写真は小さくてよくわからないが笙ヶ岳をバックにした藤原優太郎さん。晩年、藤原さんはこの山がお気に入りだった。これまで撮った山のアルバムから藤原さんの姿を探してみたが、ほとんど出てこない。写真を撮る役割が藤原さん自身だったので被写体としては登場してこないのだ。本格的な夏山シーズンが始まった。これからの山行は県内でも大きくて大変な山ばかり。体調管理に努めなければ仲間に迷惑をかけてしまう。DM制作ごときで酒を飲んでいる場合ではない。

5月27日 上小阿仁の芸術イベントが今夏の開催を最後に終了、という新聞記事。2年ほど前、内陸線でこの村を訪ねた。いたるところに彫刻作品が飾られ村おこしイベントとして好感が持てた。あれって国の補助金でやってたわけだ。先日、北海道の夕張を訪ね、その街の荒廃のひどさに驚いた。目玉の映画祭の手書き看板の風景が街の貧弱さに拍車をかけていた。夕張映画祭のために公的な補助金(税金)が数億円使われていたのを知ったのは赤字債権団体になった後だ。山形の映画祭もしかり。いいイベントだなあ、ユニークな町おこしだなあ、と感心するものはほとんどが「税金」で開催されている。そのことの是非はともかく、何かに感動した時、ここに税金は使われていないだろうな、と疑うことが必要な時代になった。公的な資金に頼らず創造的な表現活動はもう無理なのだろうか。

5月28日 ANAの株主優待券というのをいただいた。5月中であれば日本国内どこに行っても飛行機代が半額になる。その券を4枚。乗り継いで行けば沖縄まで往復可能だ。日帰り沖縄旅行という馬鹿げたシャレも考えたが、半額といってもかなりの金額になる。けっきょく使用を断念した。友人数人に声をかけたが、やはり期限限定がネックになった。ヒマそうにみえても定年後のオジサンたちはいろいろと日程が入っている。忙しいというほどではないがヒマと言い切れるほど退屈もしていない。それは小生にしても同じ。毎日似たような退屈な日々だが、必ずやらなければならない仕事が一つ二つはかならず入っている。その一つ二つのために一日が拘束される。

5月28日 横手地方でよく耳にする「若勢(わかぜ)市」が気になっていた。若勢は県内では広く見られた若者の丁稚働きのこと。決まった日に市が立ち、雇用主たちが直接出向いて若者と雇用交渉をする。ほとんど人間奴隷市場と批判する人もいるが、そう単純なものではない。さらに全国どこでもあるものでもない。横手の若勢市は「奇習」として民俗学の世界では知られている。この若勢の歴史や舞台裏を知りたいと思っていたら、そのものずばり「若勢」という題名のついた原稿が送られてきた。著者は宮本常一のお弟子さんで写真家Sさん。民俗研究者として高名な方だ。この原稿を今読んでいるのだが、う〜ん、面白い。ぜひ本にしたいが、まだクリアーしなければならない問題もある。
(あ)

No.749

アインシュタインが考えたこと
(岩波ジュニア新書)
佐藤文隆

 困ったときの岩波ジュニア新書頼み。そう決めている。還暦過ぎた老人がジュニア新書もないが、実際そうなのだからしょうがない。世界史もそうだし医学や生物もそう。理系の初歩を知りたければ、とても人に聞けないことを知りたければ、もう岩波ジュニア新書に頼ることに決めている。今回は最も苦手な物理学入門。というか「重力」のことが知りたかった。地球や宇宙のことに人並みに興味を抱いたからだ。きっかけは「ニューヨーク白熱教室」というテレビで番組だった。「最先端物理学者が語る驚異の未来」というサブタイトルに引き込まれてしまった。講演者はNY市立大学ミチオ・カク教授。物理学者から見た未来は、なかなか説得力がる。老化はDNAのコピーミスに過ぎない。いずれ是正可能だ。車は自動運転になり交通事故という言葉はなくなるだろう。身体やトイレに直接CPチップが埋め込まれ、がんの発生率が劇的に低くなり、とうぜん腫瘍という言葉も消える。医療機器MRIは携帯電話程度の大きさで済み内視鏡はすべてカプセルで済み、ナノテクノロジーによって人間の寿命は驚異的に延びる。そうした医療や科学を支えているのが物理学だ。生命と物理が結びついているのが現代なのだ。特殊相対理論も知らずに「現代」は語れない。そんなわけで物理学の初歩を学んでいる昨今です。

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