Vol.743 15年2月21日 週刊あんばい一本勝負 No.735


青森・仙台・沖縄・秋田

2月14日 昨日、春DMの編集作業を終え、印刷所に入稿。なんとか間に合った。というのも実は今日から1週間、冬休みなのだ。沖縄まで行くつもりだが、その前に仙台で1泊、先日は青森に行ったばかりだ。どうにか後顧の憂いなく外に出ることができそうだ。旅にはサーフェス(モバイルPC)を持参するので、HPは毎日更新することもできそうだ。旅先でも鵜の目鷹の目で「仕事」を探す自分が情けないので、今回は仕事のことは忘れよう。

2月15日 仙台で「飲食店」「おでん」「ワイン」と検索したら一軒ヒット。行ってみると若者向けの明るいワインバーで、味も雰囲気も悪くなかった。いや美味しかった。ワインとおでんがこんなに相性がいいのには理由があった。おでんのだしが鶏ガラと昆布なのだ。なるほど。チーズトマトやうどん巾着、仙台雪菜にタケノコおでんも見事に美味しかった。ワインも赤、白どちらでもOKだが、ロゼだけは味が口の中でバッテング、おいしく感じられなかった。明日の朝が早いのでホテルに帰ってPCをチェック。函館の人から出版依頼のメールが入っていた。少し長めのお返事を書く。モバイルはやっぱり便利だなあ。

2月16日 沖縄に来ているのだが、特別やることはない。沖縄には友人がたくさんいる。この友人たちに連絡をとれば、いろいろと世話を焼いてもらえるのだが、今回は一人でレンタカーでフラフラする予定だ。先日の青森ではあまりの大雪にびっくりしたばかりだが、那覇は当然だが暑い。すぐにモモヒキと長袖シャツを脱ぎ、シャツ一枚に。秋田の6月中旬ぐらいの気候か。途中の東京が4月中旬くらいの暖かさだった。那覇は観光客であふれているが、半分以上は台湾、中国、韓国からの観光客のようだ。

2月17日 那覇は朝から雨。レンタカーを借りていろんなところに行く予定だったが、さて、どうしようか。着いたばかりの昨日は国際通りをブラブラ往復、牧志の公設市場の中にある古本屋「うらら」に顔を出したら日曜で休み。その上18日まで臨時休業になっていた。いやはやタイミングが悪い。市場の中で観光客が「ステーキ食うならハンズ以外ダメ」という会話を小耳にはさんだ。ちょうど裏通りにその店を見つけたので入ってみた。巨大な肉の塊はもう無理なので中ぐらいのやつを注文。それでも300グラムの肉の塊が出てきてびっくり。オージービーフなのだろうが、これで値段が2000円ちょっとというのだからどういうことになっているのか。味はまああんなもんだろう。久しぶりに肉の塊を食って大満足。

2月18日 二日酔い。昨夜12時過ぎまで那覇の出版社ボーダーインクの女子社員たちと泡盛を痛飲、まだアルコールが抜けない。それにしても彼女らは強い。あんなに飲んだのにけろりとして今日も仕事。昨日は天気が回復しそうだったのでレンタカーでコザ市までドライブ。途中、浦添市で東京ヤクルトスワローズの1軍キャンプ(韓国のプロとの練習試合)を見て、宜野湾市では横浜ベイスターズの打撃練習に寄り道した。選手そのものより取材や視察に来ている元スター選手たちを見ているほうがドキドキワクワク。何せ私のすぐ横で私服の往年の名選手たちが普通にしゃべっているのだ。大島、小川元監督、坂東、槙原、田口、武田、宇野……。ベイスターズの打撃練習でガンガン飛ばしている外人選手がいた。去年まで巨人にいた、あのロペスではないか。そうか移籍していたのか。ボーダーインク社を訪ねる約束の時間になったので、あわてて那覇まで戻ってきた。昼からはぐんぐん気温が上がりクーラーがなければ暑苦しいほど。夜の宴会のオンザロック泡盛のうまいこと。

2月19日 車を運転していたら道がわからなくなり、タクシーに先導してもらい(お金を払って)目的地まで着いた、と佐野洋子著『役にたたない日々』に書いていて、笑ってしまった。が、昨日同じようなことをしてしまった。痛飲した那覇の夜、愛用している夏用帽子を紛失してしまった。外国で買って15年間、登山にも外出にもかぶっている好きな帽子だ。飲み屋には忘れていないといわれた。とすればタクシーだ。丸1日たっているが、幸いなことに手元にタクシーの領収書がある。タクシー会社と運転手個人の電話番号が載っている(知ってましたか?)。ここに電話をしたら「あります」の返事。ホテルまでメーターを倒して届けてもらった。この帽子運び代が980円。近頃、この数字ほど「安いなあ」と感じたことはない。 それともうひとつ、世紀の大発見。ずっと悩んでいた突然の「こむらがえり」だが、沖縄に来てからなぜか連夜襲われ続けている。沖縄とこむらがえりには何か関連があるのか。旅先で足の疲労度が高い、ホテルの寝心地の悪さで足に負担がかかる、環境が変わった精神的ストレス……と、いろいろ考えたのだがどれも決定打ではない。う〜ん、悩んだ末の結論は「沖縄の暑さ」。夜中に暑くて何度も目覚めた。タオルケットの打掛すら邪魔で何も掛けず寝ていた。そして夜半に決まったようにこむらがえし。何もかけずに寝ているので身体(足)が冷え、それが原因でこうらかえしが起きるのではないのか。それを証明するため連夜、足の部分だけにタオルケットを巻いて寝てみた。あら不思議、二晩ともこむらかえしはピタリと止まった。仮説は正しかった、としか言いようがない。登山で不意にやってくるこむらかえしも多くは下山中。山頂で汗が引き、身体が冷えはじめると突然のように襲ってくる。私の寝床の中のこむらかえしは「身体(足)の冷え」が原因の一つだったのだ。これからは足をしっかり温めて寝てみよう。

2月20日 昼に那覇を発って、東京からは新幹線で、秋田に着いたのが夜7時過ぎ。7時間ほどで沖縄から秋田まで帰ってこられた。これは「近い」のか「遠い」のか意見が分かれるところだ。昔の交通事情を知る身としては「異常なぼと近い」と感じるのだが、その近さよりも驚いたのが秋田市の雪の少なさ。少ないというより雪を見つけるのが難しい。ここは本当に雪国なのか。いったいどうなっているのか。いつもなら盛岡から先は車窓が真っ白になり、一面の銀世界だ。ああ別の国に入国した、と気持も引き締まるのが習慣なのだが、その景色が沖縄の延長なのだから始末が悪い。今年の秋田市は異常だ。県北部は大雪らしい。そういえば先日訪れた青森市の雪の多さにも驚いたばかりだが、なぜ秋田市だけがこうも雪がないのか、科学的な説明が欲しい。
(あ)

No.735

死に支度
(講談社)
瀬戸内寂聴

 この作家のいい読者ではない。過去の作品をほとんど読んだことがない。法話の類も興味がない。信仰心はゼロの、ダメ親父である。それなのに、いつもメディアに登場する彼女の発言には共感するところが多い。著者は、どんな犯罪者もデタラメ芸能人も温かく受け入れる。それでも自分の核になる部分はかたくなに崩さない。老いてなお凛とした若さがある。そんなところが魅力なのだろう。ある業界誌で辛口評論家が本書をベタボメしていた。そういえば情況への発言はけっこう耳にしているのに、小説は読んだことがない。読みはじめて初めて内容がわかったのだが、これは小説というよりは身辺雑記というか私小説、いや寂聴日記とでも呼ぶべきものだった。だから面白くないわけではない。面白い。自寺に住まいするお手伝いの女性たちの物語と言っていいかもしれない。12編の連作からなる長編小説だが、前半部、5,6人いた手伝いさんの物語から、後半は「革命」が起き、お手伝いさんは3分の一になり、2名の若い女性だけになってしまう。この若い女性たちとのやり取りも読みどころだ。個人的に気になったのは、夜中に足がつるようになり医師に相談すると「糖尿の病のある人がなりやすい」と診断されたこと。ケイレンと糖尿が関係あるというのをはじめて知った。それにしても92歳、心身ともこれだけ元気な作家は、もうそれだけで貴重だ。

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