Vol.738 15年1月17日 週刊あんばい一本勝負 No.730


バタバタしていて体調崩してしまった

1月10日 散歩用の冬用帽子が見つかった。いろんなものを試してきたが、「お気に入り」の定番ものを見つけられなかった。年々頭は淋しくなるばかりで、暖房用としても帽子は欠かせない。見つけたのはワッチ・キャップと言われるもの。TVの自転車番組で火野正平がかぶっている、あれだ。軽いうえに保温力抜群、耳も一緒に隠せるのがうれしい。耳を隠そうとすれば帽子のファッション性やヴァリエーションは狭まってしまう。吹雪の秋田では耳の防寒は必至だ。「ワッチ」というのはアメリカ海兵隊員が甲板で警備(ウオッチャー)をするときにかぶることからついた名前。よくスポーツ選手が冬のトレーニングでかぶっているから、前から知ってはいた。が、耳の防寒機能があるとは、かぶってみるまで知らなかった。数年前、流行に乗って買ったはいたのだが、棚の肥やしに。それを引っ張り出しかぶっている。今度山に行くときもこの帽子で登ってみようか。

1月11日 懲りもせず日曜日は男鹿・真山スノーハイク。夏場ならどうってことのない1時間ハイキングコースだが冬はそうはいかない。急坂も多く頂上までたっぷり2時間、いい汗をかいた。それはいいのだが前夜、珍しく深酒して午前様。寝不足だ。サンパウロから知り合いの家族が来日中で、今日も角館・田沢湖方面を観光している。本来なら小生が案内するのだが、新入社員がガイドをひきうけてくれた。新入社員も小学生のころ2回もブラジルに行っている。彼らには一方ならぬお世話になっているのだ。男鹿でいい汗をかいた後、ブラジル組も合流、駅前「さかなや本舗」で前夜に続き大宴会。ポルトガル語と英語と秋田弁の飛び交う、笑い声の絶えない一夜だった。タクシーで帰ってきてバタンキュー、朝目覚めるまで熟睡。

1月12日 週明けからずっとブラジル・サンパウロからの2組の家族が来日中だ。連日の宴会で、早口のポルトガル語、意味不明な日本語の海をさまよい続けていたが、ようやくひと段落。と思ったら今度はHP上で「卒業旅行de南米」という短期連載がスタート。執筆者は山仲間でもある国際教養大学4年生の横山翼君。以前にもリトアニア留学日記を書いてくれた若者だが、今春には大手新聞社への就職が内定している。いま卒業旅行で南米をさまよっている。その旅行記を不定期に更新連載する予定。南米からのお客が帰ったと思ったら、今度は日本人大学生による南米レポート。なんだか今年は南米に行くはめになりそうな予感がする。

1月13日 朝の時間帯に変化が起きている。以前は起きてご飯を食べて即出社だったが、ご飯を食べてから自分の部屋で1時間近くボンヤリ、音楽を聴たり、ゆっくり寛いでから、仕事場に出るように。新入社員が早いので、焦って出社する必要がなくなったためだ。ところで、怒涛のブラジル・ウィークがようやく終わった。今週は角館で新年会、後は大阪まで行って関空から香港2泊3日の旅だ。あいかわらずバタバタの1週間になりそうだ。こんな日程が続くので、もう体重増加は防げない。ダイエットは来週から取り組むとして何とか2キロ増ぐらいにとどめたい。ちょっと飲み食いしただけで2キロ前後も体重がすぐに増えてしまう、この体質がうとましい。

1月14日 宮沢りえ主演の映画『紙の月』がポスターを観る限り面白そう。そこで原作である角田光代の本が無性に読みたくなった。文庫になっているのだが届くまでアマゾンでも1週間以上かかった。売れているのだ、やっぱり。で、原作はものすごく面白かった。読みは当たった。これで映画を観なくてすんだが、でも映画も面白そうだなあ。これとは逆に、三浦しをん著『舟を編む』はまるで劇画チックな本で面白くなかったが、映画はシリアスなドラマに仕上がっていた。こんなケースもある。村上春樹の『ノルウェイの森』も原作を読んだが没入できず読み続けるのが苦痛だった。あとで映画を観る機会があり「ああ、こんなストリーだったんだ」と初めて理解できた。本と映画、どっちがいいという話ではない。映画に適した話、本でなければ臨場感が出ない物語、いろんな物語の形がある。

1月15日 昨夜は角館での新年会が盛り上がり、最終の新幹線を逃し、タクシーで帰還という失態。家に着いたら翌日になっていた。そのまま寝てしまったので今日は二日酔いと寝不足と風呂に入れなかった不快感で気分はグチャグチャ。気分入れ替えのため昼に温泉、リフレッシュしてきた。が、これがよくなかった。湯冷めが原因なのだろう、風邪の初期症状のような「さむけ」と「熱っぽさ」が襲ってきた。よりによってこんな時に。2日後には香港に行く予定だ。慣れないことはすべきではない。昼の衝動的温泉行きが、いまになって悔やまれるが、今夜は早めに薬を服んで寝よう。夕食はうどんとご飯の炭水化物定食でスタミナをつけた。

1月16日 昨夜は8時には就眠。10時間以上熟睡したら寒気や熱っぽさが消えた。これで香港に行ける。それにしても65歳過ぎて10時間以上コンコンと眠り続けることができる、というのは少し自慢したい。早起きは苦手なので、この点(睡眠)に関してだけは「老化現象」とは無縁なのだ。とはいいながら、このところ旅に出て新幹線チケットをなくしたり、間違った日付でホテルを予約したり、なにかと老化現象を思わせるミスが続いている。海外旅行の前に温泉にはいる、という不用心、不注意も老化現象のひとつだ。慣れないことをして風邪をひいたらどうする、という自己管理にまったく無頓着なのだ。慎重さが失われている。老化現象と言うより、ただ単に「おっちょっこちょい」なだけか。毎日、自分は老人、慎重に行動しよう、と自分に言い聞かせる必要がある。
(あ)

No.730

ぽてんしゃる。
(東京糸井重里事務所)
糸井重里

 「ほぼ日刊イトイ新聞」に1年間書いた文章のベストセレクト集である。2007年から毎年1冊ずつ出ている。そのほとんどを買い求め読んでいたのだが3年前、ふとしたことからネットで読むことも本を買うこともやめてしまった。深い理由があるわけではない。著者の言葉の力があまりに強く、深く、詩的なので「必要以上の影響を受けてしまう」ことを危惧したためだ(この会社で発売しているカレンダーや手帳は毎年買っているが)。著者の才能は掛け値なしに突出している。経営者としてもブロガ―としても。とくに著者の書く文章はほとんどが「詩」のように輝いている。もしかすると全共闘世代と言われる時代の生んだ、最高峰の詩人の一人、といっていいほどだ。3年間、読むのをやめて気がついたのだが、著者の言葉が「懐かしい」しくなる。「詩」に飢えてしまった。読んでいなかった2年分の本を買い読みはじめたら、やめられなくなった。言葉はこんなにも力がある。「無口な動物を見ているのは、いい本を読むのに勝る」といった何げない一言も心に食い込んでくる。「あの人はまちがっている! と騒ぐよりも、ゆっくりでも、自分が正しいと思ったことを実現していく道を行く。そういうふうに動いている人と、手をつないでいたい」。この言葉には著者の経営哲学が詰まっている。「詩」が読みたいとき、本書をめくれば「詩の言葉」に出合える。

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