Vol.737 15年1月10日 週刊あんばい一本勝負 No.729


荒れ気味のなか、新しい年に出帆

1月3日 箱根駅伝の給水規則が変わった。監督が車を降りて直接選手に水を手渡すのが禁止、学生同士による定点給水に。これはいいのだが、走る選手の後ろで車からスピーカーで怒鳴り散らす監督と言うのは見苦しくないか。大人げなく、幼児性丸出しだ。戦術も選手本人に考えさせたらいい。高校野球でも「監督はベンチ入りさせず、サインも出さず、ネット裏で観戦するのみ」というアイデアを出した評論家(玉木正之)がいた。学生の健康や勉学よりも、大人が試合を楽しみ盛り上げたいため、学生に娯楽の主役を演じさせるのは、もう時代錯誤だ、という。さらに玉木は「夏の甲子園はヘン。高校生の健康や勉学を配慮すれば、夏休みに予選をはじめて気候のいい北海道で開催したら」と提案していた。こういうの大賛成だなあ。

1月4日 今日は「靴初め」だ。「靴納め」があるのだから「靴初め」もあっていい。市内ザ・ブーン真向かいにある山(妙見山)に行くのだが、去年もこの時期に登っている。山頂に神社があり参拝して帰ってくる。ランチは寒いので下山後ザ・ブーンで、ということになりそうだ。雪山ハイクは早起きがないので好きだ。小さな近場の山に限定されるので早起きの必要がない。「雪山なんて本格的ですね」と驚かれるが、登りに2時間以上かかる山はほとんどない。ハイキングコースがほとんどで、スパイク長靴にかんじき、スノーシューを履き、防寒装備で行く雪上ハイキングは楽しい。夏山よりも雪山に登るほうが頻度としては多いほど。雪と積極的に遊ぶ気持ちがなければ雪国では暮らしていけない。今日はこれから始まる雪山ハイキングのオープニングでもある。

1月5日 妙見山で参拝後、Sシェフと2人で新年会。事務所2階で恒例のやつ。シェフの料理は純和風、おばんざい風なので太らないのがありがたい。そういえばお正月のオセチも、今回は成功だったなあ。ここ10年、市内の料理屋さんからオセチを買っていたのだが、美味いオセチに1度も当たったことがない。いつも半分以上は捨てていた(甘辛過ぎ)。が、今回から「和食みなみ」がオセチに初参戦してくれた。常連客としては、待ってましたッ、という気分だ。やっぱり、これが当たりで美味しかった。2日間できれいにお重から料理が消えた。田作りと生ゴボウ叩きが美味しかったなあ。なんだか今年は幸先がいい。何かいいことがあるかも。

1月6日 今週はブラジル・サンパウロから家族での来客が2組ある。偶然に重なったものだ。どちらの家族とも縁があり、冬の秋田を楽しんでもらうため、今いろいろと考えているところだ。再来週には関空発着で香港2泊3日の小旅行も。なんだか外国づいている。そんなこんなで昨日、メールで英語の返事を出す必要があり、初めてネットの無料自動翻訳機を使った。こちらの日本語がいともたやすく翻訳、直す必要がまったくないほど正確なのに驚いた。テレビでは詐欺まがいの「流すだけで英語が話せる」CMがかまびすしい。これはネットの無料翻訳機や英会話教室への切羽詰まった対抗策だったのか、と翻訳機を使ってみて気がついた。スマホがあれば外国旅行に困らない時代だ。数万円も取られてインチキ教材で英会話を学ぶ時代ではないのだ。

1月7日 朝から吹雪。昨夜からの風雨で道路はコチンコチンのアイスバーン。実はこんな「悪条件」のときに散歩をするのが大好きだ。街には歩いている人がほとんどいない。横殴りの猛吹雪だから数メートル先が見えない。外界は荒々しいが、防寒具にくるまれた身体は歩けば歩くほど熱くなる。このギャップがたまらない。眼鏡も外して(吹雪で前が見えないし)、アイスバーンの足元だけを注視して慎重に歩を進める。転ぶのだけは怖い。転倒は事故ではなく高齢者の老化現象だ、と片付けられるのがイヤだ。ゆっくりとアイスバーンの上を歩いていると、なんだかちょっとランニング・ハイのような状態になる。自分の世界に入り込んでしまうのだ。普通の日の散歩はゴールまでの距離がやたら気になるが、吹雪の散歩は不思議なことにゴールが気にならない。身体もなぜか軽い。家につくころは、あれっ、もう着いちゃった、という感じだ。

1月8日 朝、新聞を読みながらTV番組欄をチェックして、その日に録画する番組に印をつける。ほとんどがBS・NHKプレミアムのドキュメンタリーで、たまには映画も録画する。BSの映画は日本語吹き替えなので、それが重大な欠陥だがドキュメンタリーはほぼ外れがない。録画した番組は夕食後の時間潰しに観る。冬になって夜の散歩が危険なので(足元が見えずアイスバーンでこける)、なるべく午後の仕事が暇になる時間帯に歩くようにしている。録画したドキュメンタリーの多くはアウトドアやスポーツものが多い。昨夜は手足を失くした登山家のマッターホルン登山を撮ったBBCの「手足をなくして」、マウンテンバイクのオーストラリア9日間レースの2本立ての豪華版だった。

1月9日 ずっと気になっていて頭を離れないことがある。お正月4日に市内の妙見山に初詣登山をした。そのとき山頂に鉄砲を持ったハンターがうろついていた。お正月に秋田市内の神社で鉄砲撃ちと雪山ハイキングをしている人間が、狭いエリアに一緒に居る。出遭った時はそう深くも考えなかったが、これは異常な世界ではないのか。次第に背筋の寒くなる恐怖が日々芽生えてきた。鉄砲撃ちにとれば「まさかこんなところまで登山者が」という気分だろうが、こっちにとれば「遊び場で散弾銃撃つつもりか!」という驚きだ。近隣集落から初詣にも来る神社のある小さな山である。わざわざこんなエリアでウサギや鳥を撃つ必要があるのだろうか。すぐそばにはスキー場や温泉がまじかにみえる場所だ。我々が下山した時間をみはからったかのように、パンパンと乾いた銃声が二発聞こえた。一キロ四方もない小さなエリアで登山者と鉄砲撃ちが趣味を楽しんだ。と言うだけの話なのだが、なんだかかなり「貧しい環境」に私たちは生きているのではないのだろうか。
(あ)

No.729

「自分メディア」はこう作る!
(文藝春秋)
ちきりん

 サブタイトルに「大人気ブログの超戦略的運営記」とある。ブログで人気を得るためのガイドブックである。字義通りの単純な案内書ではない。自叙伝的エッセイとしてもおもしろい。読んですぐに著者のまねがきる、というわけにはいかない。隅々にまで配慮された、ブログを成功させるための「戦術」が用意周到である。この本でその人気の秘密を盗んでしまおう、という見え透いた魂胆で読みはじめたが、そう単純なものではない。ブロガ―なる人たちの立ち位置を知るためには有効だが、現代の起業家たちに共通する強靭な意志がどんな業種にも必要なことがわかる。著者の視点は安定している。論旨が明快だ。巻末にこの10年間のブログのベストエントリ集が収録されている。さすがに面白いが、ひねくれ者のオジサンはネットで直にブログを読みたいとは思わないから厄介だ。金儲けや自己顕示欲、ストレス発散(誹謗中傷で)の3パターンがネット上のうっとうしい人たちだ。慎重にかつ大胆に「ネットで日記を公表すること」の危険性と可能性を著者は熟知している。10万人以上のブログ読者を抱え、本を出せば平均7万部、500人の有料講演チケットが1週間で売り切れる。そんな著者が尊敬するのは「ホリエモン」。なんだか少しわかってきたような、ますます謎が深まったような……。

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