Vol.717 14年8月23日 週刊あんばい一本勝負 No.710


大雨・参勤交代・DM発送

8月16日 Sシェフに誘われて河辺の「ユフォーレ」にS&S(ストレッチと温泉)に。閉じこもってもいいことはない。S&Sだけでなくプールにもはいってくる予定だが、泳ぐのは何年ぶりかなあ。泳ぐのは得意種目でバタフライもOKだ。でも泳いでいるとすぐに飽きてしまう。河辺は車で30分以上かかる遠隔地。わざわざそんな遠くまでフィットネスごときに出かけるのには理由がある。近くのスポーツジムの会員になりたくないからだ。会員になると「行かなくちゃ」という義務圧力が強くなる。行かないと悪いことをしているような罪悪感にさいなまれる。結果、いろんな理由をつけてジムから遠ざかる。その義務化を避けるため,単発でいける不便な遠隔地を選んでいる。えらいでしょう。それにしても、もう2週間山登っていない。身体が新鮮な酸素を欲しがっている。

8月17日 朝起きるのがツラい。昨日プールで泳いだのがこたえているのだろうか。5年ぶりくらいのプールだった。身体はナマッてっていた。それでも身体は水に溶け込み同化しようとけなげに努力していた。今日はお盆休み最後の日、来週からはじまる秋DM通信を仕上げてしまわなければならない。いや別に明日でもいいのだが、今日仕上げてしまうと来週は「楽に、遊んで暮らせる」と思って机の前に向かってしまう。実際は明日になると明日の仕事があり、結局、楽どころか、どこにも行けず仕事をしているだけ。それはわかっているのだが、目の前の仕事はできるだけ早く片づけてしまいたい。そういう性分なのだ。いまの仕事を早めに片付けてもシジフォスのように、また同じ日常が目の前に現れて延々とそれを繰り返す。これを苦と思わない限りは、こんな暮らしが続くのだろう。

8月18日 ここ1,2年、江戸時代の「参勤交代」のことが知りたくて調べているのだが、今ひとつ浅学の身には理解が深まらない。要するに意味のわからないことが多いのだ。こんなときは窮余の一策、参勤交代の小説を読むことにする。グーグルの検索にも引っかからないような事項だが、運よく浅田次郎に『一路』(中央公論社)という上下巻の参勤交代をテーマにした長編小説があった。さっそく読みはじめた。まだ上巻の半分ほどだが、これまで勉強したのは何だったのか、としおれてしまうぐらい豊富な情報量で、それらがエンターテインメントに紛れこんで披瀝されている。明治維新も中世の日本も戦時中の暮らしも、調べようと思ったら、まずは小説がいい入門書、と若い人には教えてきたのに恥ずかしい。そういえば、東京オリンピックが開催された60年代の東北の実態や出稼ぎについて調べているとき奥田英朗『オリンピックの身代金』(角川書店)に出会い、知りたかったことがほとんど記述されているのに驚愕したこともあった。小説家って、やっぱりすごい。

8月19日 今って梅雨? なんだかずっと雨が降り続けている感じ。7月中の梅雨の印象がないから、もしかしてここまで梅雨も異常気象でずれ込んだのかも……ってことはないか。いよいよDM週間が始まった。肝心なところはお盆中にほぼ手をつけていたので、もう高いハードルはない。これがちゃんと片付いた日、どこか遠くに遊びに出かけよう、と思っているのだが、いざその日が近づくと「面倒くさいからヤーメタ」となってしまう。困ったものだ。カビのように事務所に張り付いたままでいると、新入社員にとっては疎ましい限りだろう。でもカビにはカビの言い分がある。でも今は黙して語らず。語ると長くなるし説教っぽくなるのが目に見えている。外は雨、カビにとって環境は最高だ。

8月20日 ある本で、ちょっと意外な事実を知った。20世紀に人間や社会について3つの重要な発見があった。それは「無意識」「未開」「子ども」という領域で、以前の歴史ではまったく意識されることのなかった領野だという。「老い」というのもそれに加わった。「老い」という時間を今まで人類は経験していないのだ。当方も「老い」を意識する日々。同年代の方々とは山だ飲み会だと、しょっちゅうつるんでいるが、ほとんど会うことがないのは働き盛りの40代前後の人たち。最前線で汗をかいている彼らが今どんなことを考えているのか私にはまるっきしわからない。逆に20代の若者たち(学生や新聞記者など)とはけっこう深く広くおつきあいがある。あるのだが、これまた何を考えているのか、よくはわからない。年代や世代で人を区分するのはあまり意味はない。こんな短歌があった。「のび盛り生意気盛り花盛り 老い盛りぞと言わせたきもの」(築地正子)。

8月21日 深夜の雨は怖かった。広島の惨状が脳裡に残っているからだろう。今朝には雨は上がったが今日一日は外に出る予定。雨はこれで終わりにしてほしい。いろんなトラブルがあったが秋DM通信の入稿が昨日で終了。安堵感より不安感のほうが大きいのだが、もうサイは投げられた。新聞では堰切ったように各紙とも「大潟村」連載が始まった。今年10月で干拓開村50周年を迎えるためだ。昔、大潟村の現在進行形ルポを現代書館という出版社から本にしてもらった関係で、私のところにもさまざまな取材や問い合わせがひっきりなし。若い記者たちの書いた自分のまったく知らない大潟村を期待しているのだが、難しいかも。開村当時の、まるでヨーロッパの農村を思わせる明るくおしゃれで上品な村内の空気感を経験として知っている人は、年々少なくなっている。

8月22日 20日を過ぎれば月末という表現を使ってもそうヘンではないかも。今月の月末は忙しくなりそうだ。ちょっと時間が前後してしまうが、秋DMの発送は29日予定なので注文がはいるのは9月に入ってから。27日に新刊(「釜石ドリー物語」)が出来てくる。明後日の24日には朝日新聞に久しぶりに5段12割の広告。これは定期にしたいと思っているのだが値段がいまひとつ合わない。さらに大きな壁は「決算」。9月決算なので8月末が〆だ。新入社員は初めての経験だし、私にしたところで決算の月は緊張する。去年より数字はいいようだが内容がイマイチ。もう心は来期の決算の数字に思いをはせている。こればっかりははじまってみないとわからないが。昨夜、『花嫁と角砂糖』というイラン映画を観たが、文化の違いか意味のわからない場面が多かった。浅田次郎の参勤交代小説『一路』上巻読了。今日から下巻、こちらは面白い。
(あ)

No.710

気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている
(散歩の達人)
村瀬秀信

 なんとなく面白そうなので読みはじめたのだが、これは読ませる。並のライターではない。一気に最後まで飽くことなく読ませられてしまった。本書で登場するチェーン店は36店。このうち私自身が行ったことのある店は「吉野家」「COCO壱番屋」「びっくりドンキー」「餃子の王将」「マクドナルド」のわずか5店のみ。「すき家」「牛角」「日高屋」は1,2度だが行ったことがあるが、その程度だ。チェーン店に入らないのが「豊かな食の指標」だと思い込んでいるエコオヤジなのだ。でも本音を言うとチェーン店はけっこう好き。最近の居酒屋はほとんどチェーン店だ。それにしても36店中8店しか知らないというのは致命的だ。実を言うと掲載されているチェーン店のほとんどが秋田にはないのだ。これでは行きようがない。「山田うどん」「シェーキーズ」「サイゼリア」「かっぱ寿司」「ハングリータイガー」「ロイヤルホスト」「レッドロブスター」「蒙古タンメン中本」「やよい軒」「カラオケパセラ」「くるまやラーメン」「とんかつ和幸」「PIZZA-LA」「ビッグボーイ」「鳥良」「築地銀だこ」「バーミヤン」「ケンタッキーフライドチキン」「てんや」「どん亭」「SIZZIER」「A&W」「リンガーハット」「ビリー・ザ・キッド」「東京チカラめし」「野郎ラーメン」「ファミール」。これらは行ったことがない。行きたいなあと思った店は「てんや」かな。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.713 7月26日号  ●vol.714 8月2日号  ●vol.715 8月9日号  ●vol.716 8月16日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ