Vol.357 07年7月14日 週刊あんばい一本勝負 No.353


山の花の名前を覚えたい!

 毎週のように山に登っています。今年からはじめた初心者です。山の仲間たちの後をゆっくり付いて歩くだけで、まだまだ周りの花や山菜に興味を持つ余裕はありません。登るだけで精一杯。
 つい先日、東京から遊びに来た人を白神山地の岳岱自然観察林に案内して来ました。白神はエゾアジサイが最盛期で、きれいでした。東京の友人にそのことを教えると、高山植物の名前をしっていることに驚かれました。山の花の名前を人に教えたのは、もちろん生まれて初めてです。
 山の仲間内ではもっとも花の名前をしらない初心者ですから、自分自身も「人に花の名前を教えるなんて」と驚きました。そういえば、知らないとは言いながらも高松岳のシラネアオイの群生は今も目に焼きついていて、あの花はどこでも見分けられます。駒ケ岳の黄色い小さな花たちはなかなか区別が付かないほど似ているのですが、コマツメクサだけは絶対に間違わないように覚える努力をしました。そうすれば自然とエゾノリュウキンカかもキンコウカもミヤマダイコンも、区別がつくようになりました。
 白くて大きくて形に特徴のあるコバイケイソウや、ポピュラーなコマクサ、ニッコウキスゲなどはどうにかわかります。
 今年の3月、一人旅で行った鎌倉の鶴岡八幡宮に、はやくも桜が咲いていました。それから行く先々で桜の見ごろに遭遇することになります。最後は5月中旬になって開花した地元秋田ですが、そのころから本格的に山に登るようになりました。山に入ると6月、7月になってもミネザクラの花見をすることができました。今年の前半期はまるで桜の花を追っかけて遊び歩いているようアンバイでした。明日からは薬師岳、早池峰に行きます。たぶん有名なハヤチネウスユキソウはもちろん数種類の花の名前を覚えられると思います。桜の花も見られるかも。ところで山の花の写真ですが、ほとんど撮っていません。名前を知らない時期のものなので、貧弱コレクションですが、こんな感じです。
(あ)
高松岳のキバナノコマノツメ
ミネザクラ(高松岳)
これなんだっけ?
駒ケ岳のコバイケイソウ
男鹿のカタクリ

No.353

ねにもつタイプ(筑摩書房)
岸本佐知子

  人気の翻訳家のエッセイ集だが、これがものすごい(筆者の文学レベルではうまい形容できない)エッセイばかり。とにかく「妄想力」が並ではないのだ。外国の作家が書くシュールな意味不明ショートショートみたい、というのが一番当たっているかな。とてもついていけない爆走気味のものもあるし、ほとんど日本人離れした極上ユーモアのセンスもある。こんなエッセイ読んだことないので、驚きを通り越してその才能の豊かさに嫉妬したくなる。読み進めるうち、彼女の不思議な世界に少しずつはまり込み、挙句の果てに自分まで飛んでしまい、大あわてで、読者としての態勢を立て直さないと、現実に戻れなくなる。私「きのう面白い夢見てさ……」 友人「その話ならこのあいだ聞いた」 なんていう落語風の落ちもちりばめてある。かなり「濃い」妄想話に付き合うのが疲れると随所にこうした落ち着く場所がつくられている。 それにしても、翻訳の仕事が一刻をあらそうのに、コアラの鼻について真剣に考えだしたり、「ちょんまげ」を気持ち悪いと感じない「あなた」はヘンではないのか、と読者にも切り込んでくる。なるほど、そうだよなあ……といったぐあいに、しらずしらず彼女の世界にのみこまれていくから危ない危ない。

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