Vol.1112 22年4月23日 週刊あんばい一本勝負 No.1104

毎日がお花見だ

4月16日 今日は県北小旅行。伊勢堂岱や北秋田市の中世城館・明利又館、能代の手打ち蕎麦屋さんから料亭金勇見学、三種町の織田信雄住居跡など目いっぱい歩き回る予定だ。先日の貝吹岳山行と同じメンバーで女子大生2人と70代ジジイ2人の4人組だ。なかなか一人では億劫で行く気にならないところばかりだが、ワイガヤガヤの旅ならば思いがけぬ発見があるかもしれない。それでは行ってきます。

4月17日 午後、とつぜん若い女性の訪問があった。女性の後ろには小さな子供が恥ずかしそうに隠れていた。先日、路上で倒れていた小学2年の、あの男の子だ。学童保育まで送り届けてもらった礼に来たという。名前も名乗らなかったのによくここがわかりましたね、と訊くと途中で休ませてもらった理髪店のオヤジから私の名前を聞いて訪ねてきたという。男の子はまだ足の痛みがあるそうだから、やはりかなり強い打撲だったのだろう。理髪店でとっさにシップ貼薬を出してくれなければもっと悪化していたかもしれない。何はともあれ、まずは最悪の事態は避けられたようで、うれしい。

4月18日 広面地区に引っ越してきて40年以上になる。2階のシャチョー室からは大学病院の最上階が見える。広面地区の大きな特徴は個人病院が多いことだ。やはりこの大学病院のおかげだろう。整骨院や医療老人ホーム、歯科医なども入れれば、たぶん100を超す個人病院があるかも。ひとつの町内に100もの病院がある地域というのは珍しい。なかには「乳腺」や「アレルギー小児科」などの専門病院まである。実に心強いが、ちょっとこの地域に集まりすぎのような気がしないでもない。

4月19日 千秋公園の桜が満開だというので散歩コースを変更。ちょうど明徳館でも調べ物があったので好都合だ。天気も良く、平日なのに公園内は若いカップルや犬連れの女性たちでにぎわっていた。明徳館は休館日だったが、お隣の県民会館は工事が完成していた。桜は満開だが屋台は閑散としていた。唯一行列ができていたのは「なにわ大阪焼き」の店で、はて何を食わせる店なのだろうか。ショックだったのは屋台の食品の値段がみな300円以上だったこと。焼き鳥やタピオカ、鳥皮餃子やゲーム系など、みなその値段帯だった。100円が相場の時代しか知らないので思わず「高いなあ」とつぶやいてしまった。

4月20日 NHKの「知恵泉(ちえいず)」という番組で織田信長の子育て術を特集していた。信長の長男は信忠で、本能寺の後、父と同じく自害している。この長男をほめたたえる番組だが、次男の信雄(のぶかつ)のことは完全無視だった。三谷幸喜の映画「清須会議」で信雄はほとんど志村けんのバカ殿と同じに描かれている。この次男は秋田とも縁が深い。先日もその住居跡を三種町に見に行ったばかりだ。お隣の天童藩主(の宗家)としても名前が残っているし、あのフィギュアスケートのオダクンのご先祖さまでもある。史料や映画を観る限り、あのフィギュアのオダクンとかなり似たキャラクターだったようだ。

4月21日 3日連続で千秋公園お花見散歩。明徳館で調べ物があったせいだ。散歩帰り近所で「オタクBAR」なる看板を発見。写真を撮ろうと近づくと入り口に「マスターがアイドルを追っかけて不在なので店が開けられません」というバイト一同による苦情の貼り紙があり、笑ってしまう。これはジョークなのか本心なのか、ちょっと判断に苦しむところだ。ジョークだとすればなかなかのものだが、わざわざ「バイト一同」と記すのもなんか変。再開したら覗いてみようかな。

4月22日 ウクライナの製鉄所への攻撃がニュースになっている。戦争時の鉄の重要性について思い出したことがある。太平洋戦争のさなか、ある野の発明家が砂鉄から純鉄を取り出す「日本的製鉄法」を発明した。砂鉄の山にアルミニュームの粉を振りかけ、火をつけると一瞬にして純鉄に替わる。魔法のような大発明だ。当時の内閣は驚愕、この発明を国策として取り上げ、東条首相に至っては「これで大戦を賄う鉄は不自由なし」と声明を出している。種明かしをすれば、戦車(鉄)一台を作るために飛行機(アルミニューム)百機をつぶさなければならない詐欺的発明なのだが、戦時下では誰もそこまで疑わなかったというのだから何とも恐ろしい。反論を躊躇した科学者の責任も重い。対岸の火事のごとく他国の戦争の愚かさを嗤ってはいられない。 
(あ)

No.1104

「トランプ信者」潜入一年
(小学館)
横田増生

 アメリカの歴史に汚点を残したトランプ前大統領は、ウクライナ侵攻のプーチンと似ている。というかもしいまだトランプがまだ大統領の座にいたとしたら、ウクライナはまったくも想像もつかない展開になっていたかもしれない。あるとき彼は「グリーンランドを買いたい」と暴言、物議をかもしたことがあった。お隣のカナダ国民はおこったろうなと同情したものだが、グリーンランドはれっきとしたデンマーク領だった。怒ったのはデンマークの人たちだった。本書はあの連邦議会議事堂襲撃事件のときに現場の最前線にいた。トランプの最後の1年に密着し、全米を歩いた濃密なノンフィクション。身分はジャーナリストではなく共和党の選挙ボランティアとして取材したものだ。このへんの発想にまずは脱帽してしまうが、アマゾン、ユニクロと潜入取材といえばこの著者の名前が挙がる。中身は徹底的なトランプ批判だ。権力者のウソや陰謀論にアメリカ国民がいとも容易く騙され、民主主義の根幹を揺るがしていくかを浮き彫りにしていく。政敵への憎悪とウソ、亀裂をつき広げる手法は、プーチンのいい手本になったのではないのだろうか。プーチンとトランプが組めば世界制覇は目の前にある。

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