Vol.764 15年7月18日 週刊あんばい一本勝負 No.756


発疹と腰痛はどうやら峠を過ぎた

7月11日 首と肩の境目あたりがかゆい。もう1週間ほどむず痒い状態が続いている。山でウルシにかぶれた時に似ているが、それとも違う。もしかして帯状疱疹の初期症状? 以前、帯状疱疹になった時もこんな感じだったなあ。この半月間、けっこう忙しく飛び回っていた。忙しさやプレッシャーにはめっぽう弱い。仕事が忙しくなると胃が痛くなり、身体の一番弱い部分に異変が起きる。今は腰痛だ。昨日は近所の整骨院に行きマッサージをしてもらった。背中の筋肉が緊張でこわばってくると腰に来るケースが多いのだそうだ。腰も首筋のかゆみも「疲労」からきているのは間違いない。さて、どうしたものか。

7月12日 日曜日なのに山に行かず、朝からテレビを観ている。別に楽しくもないのだが、山を一回キャンセルしたのはけっこう勇気ある決断だった。今日はモモヒキーズは岩手側から和賀岳。行きたかったがかなり疲れている。夏バテ状態なのは間違いない。無理にでも体を休めたほうがいい、と体が信号を出している。首筋にできた発疹はまだ小さいが相変わらずかゆい。帯状疱疹を心配したが、今日観たテレビ「ためしてガッテン」を見る限り帯状疱疹ではないようだ。発疹の広がる速度や痛みが、それとはかなりちがっている。最近食べた何かのアレルギーかもしれないし、山で樹木にかぶれた可能性もなくはない。

7月13日 週末はたっぷり栄養を取って、どこへも出かけず英気を養った。そのおかげで体重は増えていた。年を取って枯れていくと食欲も落ち、体重も現状維持が大変だ、と以前聞いたことがあるが、まったく逆だ。とにかく四六時中食欲がある。「食べたい」という欲求との戦いだ。食べるとてきめんに体重に反映され2,3キロは朝飯前。自由に飲み食いさせたら、ものの2週間で元のデブに戻ってしまう。「痩せたい」というのは切実な願望だ。「これからは、だまっていても痩せていく」と忠告されても、にわかには信じられない。食べたものが即栄養になり、体重に反映される体質が、そう簡単に変わるはずがない。毎朝、体重計で一喜一憂する暮らしから抜け出せる日は来るのだろうか。

7月14日 とんでもない暑さだった。寝床でクーラーをつけてしまった。今日は一雨来そうな雰囲気だが、どうかなあ。この蒸し暑さの中、朝から湯沢で打ち合わせ。終わったら角館に寄り、ある人の展示会へ。そこから逆方向に戻って美郷町で打ち合わせ。秋田に帰ってからは駅前の料理屋さんで山仲間の長老Aさんの退職祝い。といってもモモヒキーズとは関係なしで、Aさんの職場の女性たち主催の会。1日中事務所を留守にする。なんだか「今日の出来事」というより「今日の日程」ですね。

7月15日 昨日お会いした高校の1年先輩の名刺肩書に「自宅警備・家事手伝い」とあった。自宅警備とは家の戸締りをすること。これは問題ないのだが、家事のほうは定年後いきなり「上司」になってしまった妻からのダメ出しがきつく「ほとんど家事ハラです」と真顔で打ち明けてくれた。やることがないので家事を手伝っても「邪魔くさい」「洗い残しで2度手間になる」「余計なことをするな」と散々なのだそうだ。家事ハラスメントというのは言いえて妙だ。先輩はけっきょく自宅警備しかすることはない。カギをかけたり外したりは数秒で終わるから、とにかく家の周り回りつづけることになる。ほとんどシジフォスの世界だ。

7月16日 仙台で授業のある日だが日帰りだ。明日午前中に打ち合わせがあるためだ。何とも世知辛い。腰痛と首筋の発疹はようやく収まった。やっぱり疲労が原因だったようで、山をキャンセルした成果ありというところか。業界4位の取次店栗田が倒産、その債務処理を巡って問題は深刻化している。私たちのような零細出版社にも何らかの形で影響はあるが、どこか対岸の火事だ。それと関連あるのかもしれないが暑さと比例するようにピタリと本が動かなくなった。来週から読売、朝日に新刊広告を打つのだが、このぶんだと効果は期待できない。いったいどうすれば本の存在を読者に知らせたらいいのだろうか。これまでに経験したことのない危機感を覚えている。

7月17日 夜8時の新幹線で仙台から帰ってきた。仙台の切符売り場の混雑、渋滞がひどかった。昨日は何か特別の日だったのかな。待ち時間にして1時間ほど。ずっとイライラし通しで精神衛生上きわめて悪い。とにかく並ぶのが嫌いだ。人気ラーメン店に並ぶ人とはまず絶対に友達になれない。スーパーのレジでも、金額を言われてから財布を散りだすおばちゃんを見ると張り倒したくなる。せっかちというか狭量なのだろう。スーパーに行くたびにレジでイライラ、ムカムカしているのだから世話はない。新幹線車中ではずっと川上量生『鈴木さんにもわかるネットの未来』(岩波新書)を読む。恥ずかしながら半分も理解できなかった。このボンクラ頭にもむしょうに腹が立つ。「鈴木さん」というのはジブリの名プロジューサーのこと。
(あ)

No.756

反知性主義とファシズム
(金曜日)
斎藤環×佐藤優

 出版社が「金曜日」であることにバイアスがかかってしまう人もいるかもしれない。あの「週刊金曜日」の連載対談をまとめたものである。考えてみれば、この内容、この人選からいけば、単行本を出すのは大手出版社にはかなりハードルが高い。いや断言してもいいが、無理だ。リスクが大きすぎる。「対談」は成立しても単行本で出す大手版元はいないだろう。金曜日でなければ出せない本といってもいい。批判の俎上に挙げられているのが「AKB」であり「村上春樹」であり「宮崎駿」だ。それもほめているわけでなく辛辣に批判されている。宮崎アニメはファシズムと親和性がある、とはっきり書いているのだから、大手出版社はどう考えても手が出せない。カルチャーから日本社会を読み解く本だと思って、人気も実力もある2人の自由奔放で歯に衣着せぬ言説に期待を持った向きもあろうが、穴を深く掘り下げすぎ、という感じは否めない。「週刊金曜日」にという過激な媒体に背中をおされ、競い合うようにお互いとんがり過ぎたのかもしれない。ペダントリーというか衒学的な言説が多すぎる。そのためページ下段には語句解説欄も設けられている。この下段の解説を2人の対談の中にうまく混ぜ込んで、対談を再構成するべき、という反論もありそうだ。

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