Vol.1089 21年11月13日 週刊あんばい一本勝負 No.1081

鶏インフルが心配だ

11月6日 野球中継もなくなったので録画したテレビ番組を観ている。映画やドキュメンタリーが主で99パーセントがNHK。新聞を読む際、最初にラテ欄をチェックし番組を録画予約する。特に好きなジャンルは歴史とアウトドア・アドヴェンチャーと硬派な社会派ノンフィクション、グルメ関係だ。昨日観た『極限生活―灼熱の大地 塩の民―エチオピア・タナキル砂漠』も面白かったなあ。砂漠のど真ん中で塩をとるアファール族と、その塩をラクダに積み売るキャラバンを取材したもの。火野正平のすごみのあるナレーターもいい。

11月7日 天気もいいのだが山行はなし。カミさんのアッシーで県南へ。増田までひとっ走り。して日の丸酒造へごあいさつ。社長の案内で蔵を一回り。そこから十文字の「紅玉」で夜の惣菜を買い込み、横手へ。県立近代美術館で「生誕100年 滝平二郎展」が今日のメインイベント。秋田とのつながりにほとんどスポットが当たっていなかったのが残念。滝平の版画による「花岡ものがたり」は故野添憲治氏の尽力で、ゆくえ不明だった版木が水戸で発見されたものだ。小舎では1981年にその版画集を出版している。もう40年も前の話だ。私自身もこの幻の版木を水戸まで受け取りに行ったので、柏市に住んでいた滝平さんと電話でお話した覚えがある。なんだかもう「明治は遠くなりにけり」といった心境だ。

11月8日 ふと以前に出版した本が読みたくなった。10年程前に出した『アマゾンの空飛ぶ日本語教師』という中瀬洋子さんの本だ。中瀬さんは横浜に住むフツーの主婦だが、突然、国際協力に係る仕事がしてみたくなり、まるで縁のないアマゾンで日本語教師になった。本はそのアマゾン暮らしの2年間を記録したもの。中瀬さんとはアマゾン川のほとりでたまたま会い、本を出すことになった。先日、夜中に寝床で「自分にもこの年で中瀬さんのようなことができるだろうか」と考えてみたが、答えがわからなかったので、もう一度本を読んでみようと思ったのだ。実に面白い本だった。この人の好奇心、バイタリティ、慎重さ、冷静さ……やっぱり今の自分には無理だ。そのことが分かっただけでも再読した価値はあった。

11月9日 昔、秋田からアマゾンに一家で移民した大島孫鷹君という少年がいた。彼のミドルネームは「ファルコン」で名前の「鷹」からとったものだろう。山行で鷹や鷲、トンビや隼を見る機会が多い。でも飛ぶ姿を観ても鳥の種類はわからない。それぞれの違いを調べてみたらファルコンは「ハヤブサ」のこと、タカではなかった。タカは英名で「ホークス」。ワシは「イーグル」で、このへんはプロ野球の球団名でおなじみだ。でもみんな同じタカ目タカ科の鳥類だ。トンビだけは英名で「カイト」。カイトってあの三角形の西洋凧じゃなかったの。さらにファルコンもタカ科ではなく「ハヤブサ科」。でもみんな同じタカ目だよ、といわれれば分かったような気になるが、そう単純でもない。プロ野球ファンに、ホークスもイーグルスも同じタカ目だよ、なんて啖呵切ったら怒られるだろうな。

11月10日 横手市の養鶏場の鶏から高病原性鳥インフルエンザが確認された。ネットニュースでは9日の簡易検査で陽性反応があり、遺伝子検査で疑似患畜と確認され、全国の養鶏場で今季初の鳥インフル発生、と報じられている。この養鶏場では採卵鶏14万3千羽を飼育、県は殺処分する方針だ。さらに半径10キロ以内にある養鶏場には鶏や卵などの搬出を制限し、自衛隊に災害派遣要請をしたという。過去にも日本で狂牛病やSARS騒動があった時、その非日常的な言葉の響きに「他人事」とまったく取り合わなかったのだが、海外に住む友人たちから「暮らしや健康に直結する大事件」とひどく叱られたことを思い出した。今回はしかも秋田発だ。大事件にならないことを祈るしかない。

11月11日 もう2日間、雨のため散歩に出ていない。このままでは身体がなまってしまう。だから筋トレに余念がないのだが、こちらも問題がある。スクワットなどやりすぎるとテキメンに膝を痛め、運動自体の継続が危うくなる。「やらない」ことも重要な決断だ。昔と変わらないのは「食欲」だ。ヒマがあると食べることばかり考えている。でもアルコール類はめっきり弱くなった。昨日のランチはSシェフとA長老の3人でホテルの中華料理とシャレ込んだ。割引のある食事券が余っていたからだ。割引券さまさまだ。

11月12日 毎朝コーヒーを1杯だけ、豆から挽いて飲む。そんなに好きではないから1杯で充分だ。でも正直なところ、外(コンビニ)で飲む1杯200円のカフェラテのほうが自分のコーヒーよりも明らかに美味い。さらにスーパーから150円ほどで買ってくるペットボトル入り無糖アイスコーヒの芳醇な香りと濃厚さに、ひっくり返るほど驚いた。私の豆の選び方や挽き方、淹れ方に何か大きな問題があるのだろうか。でもまあ、たいした問題ではない。そんなことで毎朝悩んでもしょうがない。 
(あ)

No.1081

シェルパの友だちに会いに行く
(青土社)
石川直樹

 コロナ禍で登山客が減少し、困窮するシャルパの友だちに支援金を送るため、シェルパの写真集を製作し、その売り上げを現地まで届けるという旅日記だ。あいかわらず写真が美しい。いつもはフイルム撮影を常とする著者だが、この本では珍しくスマホで撮った写真が多い。というかカメラは持って行かなかったのだろう。でも写真集としても十分鑑賞に堪えるから見事だ。同行した仲間の人選も面白い。本書の版元の女性編集者はトレイルランナーで、初のヒマラヤなのに最後まで石川と行動を共にした。この旅のドキュメンタリーを撮る映像ディレクターは極地取材の経験豊富な人物だが、なんと彼が一番先に高度障害からのトラブルでリタイアしている。そしてシャルパの写真集を作った登山未経験の編集者、という4人だ。このメンバーで5千メートル級の高山地の村々に旧知のシャルパを訪ね、旅を続ける。ロプチェイではストピークという6119メートルの高峰にも登頂を果たしている。軽々と6千メートル級の山に登ってしまう「身軽さ」が著者の真骨頂だ。いまエベレストに入るには入山料がひとり100万円は必要だそうだ。2020年の世界からの入山者は408人。これはネパール政府にとれば大変な外貨収入に当たる。

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