Vol.108 02年9月21日号 週刊あんばい一本勝負 No.105


久し振りのコンサート

  先日、仙台市にある「ゼップ仙台」というコンサート会場で、アイルランドからきた「アルタン」というバンドのコンサートを見てきました。リード・ボーカルとフィドロ(バイオリン)を担当する紅一点のマレ−ドと、少し腹の出たおじさん4人の計5人で構成する、平均年齢が50歳に近いベテランバンドです。彼らは音楽の盛んなアイルランドに無数にあるバンドの中でも、トラディショナル・ミュージックのジャンルでは一、二の実力バンドとして知られていています。アイルランドの北の果て、ドニゴールに住む彼らが何で仙台に来るのか、とは思いながら会社の近くのローソンでチケットを購入しました。始めてコンビニのチケット販売システムを利用しましたが、秋田で簡単に日本中のチケットを購入できるシステムにはとても感謝です。
 「アルタン」のコンサートには、河北新報記者の古関君と行きましたが、予想を超えるハイレベルなコンサートで大いに満足。半年前に行ったアイルランドの風景がありありとよみがえって来ました。ゲストのミュージシャンがアイリッシュダンスを披露してくれたのも拾い物でした。最近はコンサート会場に行って音楽を聞くことがあまりなくなってしまいましたが、この夜は古関君と沖縄料理店の「ゆんたく」に行って、泡盛のグラスを重ねながら、仙台に時々コンサートを見に来る約束を交わしました。
(鐙)

会場で買った「アルタン」のCDとプログラム

今年のお米と新築工事

 旅行から帰って2週間ぶりに石井さんの田んぼを見て感じたのは「倒伏」のひどさです。近年、これほど稲が倒れているのを見たことはありません。大潟村の友人の話だと「今年は天候不順の割にはまあまあ」とのことでしたが、「去年から新しい品種の稲に変えた人が多いので、もしかして倒伏はその影響があるのかも」とのことでした。最近の品種改良はすべて「味覚優先」になっているので、ひとたび自然災害が起きると全滅ということも考えられます。こわいですね。ところで先週から本格的に石井さんの田んぼの周りで(ということは事務所の隣近所)で家の新築工事が始まっています。工事の物音というのは人を落ち着かせない独特の響きがあり仕事中はイライラしますが、これはしょうがありません。いったいどんな人が住むことになるのか気になるところです。
(あ)
倒伏の田んぼと新築工事

2冊の本が中止と延期になりました

 秋に予定していた2冊の本が中止と延期になりました。1冊は大森山の動物園の死んだキリン「たいよう」の絵本で、これは地元新聞社と東京の出版社の2社が同じコンセプトで同じ時期に出版を企画していることがわかったために無益な競合を避けるために中止したものです。余談になりますが地元新聞社のタイトルは『走れたいよう 天国の草原を』で東京の出版社は『義足のキリン たいよう』です。地元新聞社のタイトルはどう贔屓目に見てもうまいとはいえません。いやはっきり素人といっていいダサさです。どちらが売れるのか内容まで見ていないのでなんともいえませんが、タイトルでの勝ち負けははっきりしています。ちなみに私どもがつけて本の題名は『義足のキリン たいようの87日間』というものです。
 もう1本、これは延期ですが、『ババヘラ』の本です。業者の一つから「ばばへら」は商標登録してあるので出版に使ってはまかりならぬ、という通告を受けたためです。見てもらったゲラにも不快感をしめしたそうですので内容にも納得いかなかったのかもしれません。

これはちょっと珍しい長崎のギャルヘラ
と畠中理恵子さんが描いてくれたイラスト
 相手側の意見は尊重しますが、内容に関しては相手側の都合のいい意見だけも聞いていられないので著者と協議のすえ、しばらく延期をして新聞かインターネットでも連載として再開する方向を考えています。ここでも「ばばへら」という言葉は使えない可能性が出てきますが、そのこと自体にも異議を唱えるようなものにしていきたいと思っています。楽しみに待っていてくださった方には、今しばらくお時間をください。
(あ)

No.105

鬼の腕(れんが書房新社)
殿谷みな子作品集

 たしか以前「SFマガジン」でこの著者の作品を読んだことがあったのだが、作品名は忘れてしまった。先日、秋田美術短大の石川好学長(というより評論家のといったほうが通りがいいか)とお会いしたとき、横にいた佐高信さんが「石川さんの奥さんは殿谷みな子という作家なんだよ」と教えてくれた。作家名は聞き覚えがあったが、まさか石川好さんの奥さんとは知らなかった。家に帰ってアマゾンで調べると記憶がよみがえってきた。「SFマガジン」で読んだのだ。さっそく表題作を買い求め、読んだ。アーバン・ファンタジーと呼ばれる8篇の短編で編まれ作品集だが、表題作の「鬼の腕」がめっぽう面白かった。骨董市で買った「鬼の腕」で、隙間風が吹いていた恋人同士の仲がもとに戻ったのはいいが、売主であるフェルト帽にマント姿の老人に追いまわされる。というストーリーなのだが不思議な読後感の残る作品である。いっけんドタバタふうの筋立てなのに作品の中には静かで穏やかな風がふいている。このへんの繊細なタッチが作品の「怖さ」をかもし出しているのだろう。

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