Vol.1079 21年9月4日 週刊あんばい一本勝負 No.1071

スマホからガラケーに変えることにした

8月28日 週に一度はシャチョー室で料理をする。自分の昼や晩酌用の常備菜を作っているのだ。定番はおにぎり。作って冷凍しておく。ゆで卵も毎回作る。ポテサラも欠かせない。すべてレンジで作るので火は一切使わない。ランチ定番のカンテンもママレード入りで作る。ヨーグルトもお手製だ。近所の肉屋さんで買ってきたソーセージを炒める。おかずにもなるしつまみにもなる。これら全部を作るのにほぼ半日ほどかかる。

8月29日 週末の食事は朝抜き、昼カンテンランチ、夜は簡単な晩酌で済ませる。この夏、晩酌はホッピーだ。ビールがあまり好きではない。つまみは焼いたアブラゲや冷ややっこ、自家製のポテサラ、それに大好きなふかしナスや野崎(宮崎県)のたくあん。呑んでいる時間も正味1時間半ほど。パンを買ってきてワインを飲むときもあるが、こちらもすぐに腹いっぱいになる。月1回の和食みなみの家族食事会は楽しみで、この時だけはよく食べる。お酒は複数の人間で楽しむようにつくられている。

8月30日 駒ケ岳リタイア事件から毎日地道な筋トレ。散歩の途中、信号待ちで片足立ちをしてみたが、5秒と持たなかったのもショック。予想以上にバランス感覚はヘタッていた。もしかして体の中で一番弱っているのが「バランス感覚」ではないのか。大腿四頭筋も腕力も腹筋も鍛えればすぐに応えてくれるが、バランス力はそれを取り戻すのにかなり時間がかかる。

8月31日 週末、亡くなったパズル会社の鍛冶さんの追悼文を書いていた。原稿用紙(400字)10枚というのは、素人にはなかなかの分量だ。むのたけじさん亡くなった時も、ある出版社から評伝風弔文を依頼され、これは40枚という長さで1週間ほどかかりっきりで格闘したことがあった。しかし関係者から内容に対してクレームがあり、ボツになるという痛い経験もしている。頭の中でぶっ散らかっているいろんな思いを、文章を書くことで整理していくことは、ちょっとした排泄にも似た快感だ。でもやはり文章を書くのはしんどい作業だ。

9月1日 中世のことを勉強しているのだが、鎌倉から南北朝、北条と足利尊氏、後醍醐天皇と室町時代へと流れていく人と戦さの関係が、よく理解できない。今朝、NHK衛星放送「英雄たちの選択」で、実にタイミングよく北条時行の特集が放送されていた。まるまる1時間、瞬きもせずに見入ってしまった。わかりやすさ、という点で本はテレビに敵わない。

9月2日 2年ほど前からスマホを使っているが、電話として使うぐらいだ。外出時もスマホは持たない。なのに毎月使用料として6千円ほど取られている。冷静に考えてガラケーで何の問題もない。毎月千円台ですむガラケーに変更することにした。時代に逆行するのはなんだか気分がいい。

9月3日 今年はなぜか講演依頼が多い。これまでに10件ほどの依頼があったがコロナ禍のため、ほぼ中止か延期になった。一つだけ、こちらから断ったものもある。6月に大規模に開催される予定だった大手食品メーカー主催のイベントで「秋田の食文化」について話すことになり、わざわざ担当者が東京から打ち合わせに秋田まで来てくれた。かなり細部にわたって(講演内容の)詰めを終え別れ際に、「今回は公的な人たちも多く参加します。講演料などは出ませんのでよろしく」と軽く耳元で「当たり前のように」ささやかれた。全国規模のイベントを秋田で「やってあげる」のだから、あなたも県民として協力してくださいね、というニュアンスだった。カチンときてその場で「やりません」といって出てきた。これからもまだ講演依頼は続くのだろうか。
(あ)

No.1071

泣くな道真
(集英社文庫)
澤田瞳子

 今年(165回)の直木賞作家だ。母親は歴史小説家の澤田ふじ子。本人も大学で奈良仏教史を勉強した、母親に負けない歴史に強い女流作家だ。その旬の作家が、日本史上最も「大宰府に左遷されたことで有名な」菅原道真のことをユーモラスに描いた歴史小説である。面白そうだなと手に取ったのだが、思わぬ収穫もあった。主役ではない「美貌の歌人」恬子(しずこ)の活躍だ。主人公の道真よりも、著者は同性であるこの恬子の方に思い入れが強いようで、いたる場面で主役を食ってしまう活躍を見せるのだ。恬子とはそうあの小野小町のことである。大宰府の全権は次官たる大弐にゆだねられる。その大弐は小野葛絃で従3位参議・小野篁の子息だ。その姪に当たるのが恬子だ。恬子は25歳。内裏で女房仕えをしていたが、幾人もの官人との間に色恋がらみの騒動を起こし、大宰府まで流れてきた。恬子は雛には稀な美女で、頭の回転も速く、どんな相手にも遠慮のない口を利く。失意の中で京から左遷された道真は、その恬子に導かれるように大宰府で生気を取り戻していく……という物語だ。こんな場所で小野小町に出会えるとは思ってもみなかった。

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