Vol.1075 21年8月7日 週刊あんばい一本勝負 No.1067

そろそろ怠惰から抜け出さなければ

7月31日 そろそろ青森の印刷所から「嶽キミ」が届くころ、楽しみだ。トウモロコシは大好物だ。アメリカ人のことを「歩くトウモロコシ」と揶揄する言葉があるのを最近知った。彼等ってそんなにトウモロコシを食べたっけ。調べてみるとトウモロコシは甘味料や油、飼料や発酵原料(コーンスターチ)としての使われ方が異常に多い。トウモロコシを原料にした甘味料(砂糖より安い)は日本人によって開発された(1971年)のだそうだ。ここから大きく食の歴史は変わる。ほとんどの加工食品にこの高果糖コーンシロップ(ブドウ糖のことですね)が大量に使われ工業化されることによってトウモロコシの需要は一挙に伸びた。ここからアメリカ人は「歩くトウモロコシ」やら「デブの帝国」と揶揄されることになる。トウモロコシ、けっこう怖いなあ。

8月1日 ウィキペディアにはお世話になっている。その正確性などに疑義も持つ人もいるが、オフィシャルな文章に安易に引用しなければ日常の百科事典的役割としては十分すぎる役割を果たしている。そんな状態なので不定期にだが1000円程度の寄付を続けている。消えてほしくないからだ。学生運動の影響で寄付やカンパ、オルグといった言葉に強い嫌悪感が今もある。でも利用はするが、嫌いだから寄付はしない、というのもなんだかかなり身勝手な理屈だ。そうした呵責の念もあり少額だが寄付をするようになった。これ、詐欺じゃないよね。

8月2日 ひゃあぁ油断したらもう8月か。7月は2本の新刊があったが後半はオリンピック一色、おまけにワクチン接種も終わり、ダラダラしているうちに終わってしまった。今月こそ、ちゃんと「山城」の原稿を書き、新刊も2冊以上出し、山も3座以上登り、外飲みも3回は実現させたい、というのがささやかな願いだ。暑さで運動不足になってブクブク太るのも懸念事項だが、食欲も落ちているので、期せずしてプラマイゼロ。今日のように一雨来ると、夕方はがぜんいい風が吹くのになあ。

8月3日 面白い本を読んだ。朝倉かすみ『平場の月』(光文社)は50歳になった中学同級生の恋を描いた物語。高卒、人工肛門、パート、がん、結婚……日本の底辺に位置する普通の男女の暮らしと恋の物語だが、主人公の青砥と須藤の造型が見事だ。本はアマゾンのユーズドで200円で買ったものだが、この本の見返しに黒々と著者の直筆サインと落款が入っていた。誰かに寄贈したものだろうが、これだけの作家から頂いた本を楽々と古本屋に売っちゃう人間もいることに、ちょっとショックを受けた。

8月4日 暑いですねえ。この暑さが始まったのが7月初め、少なくともお盆あたりまでは確実に暑さは続くだろう。約1か月半の間、猛暑に悩まされる計算だ。もうずっと暑さを苦痛に感じ続けている。もう勘弁してほしい。年寄りなんだから。雪国なんだよここは。なんだかものすごく損している気分になる。

8月5日 ちょっとずつだが仕事(原稿)に熱が入り始めた。良い傾向だ。オリンピックや猛暑のせいにするつもりはないが、なんだかいっときのツキが落ちて、原稿書きにストンと身が入らなくなってしまった。書いても書かなくても誰も困らない。被害者がいないからサボっても怒る人がいない。こんな状態でずっと昔から自分を追い立て、勝手に焦りまくり、義務感のように仕事をしてきたから、その流儀はそう簡単には変わらない。二歩進んで三歩後退の日々だ。

8月6日 夕食は一人だったのでレトルトのブラジル料理・フェジョアーダを食べた。豚の臓物(耳や鼻)と豆を一緒に煮たアフリカ起源の料理で、見た目はほとんど黒いカレーライスだ。これがときどき無性に食べたくなる。これをつまみに晩酌はブラジルの地酒ピンガで作るカイピリーニャ。サトウキビの焼酎にレモンをしぼり砂糖を入れて飲むのだが、砂糖抜きが好みだ。ところで日本からブラジルの友人に本や荷物を送るときの「送り状」の手書きが禁止になった。通関電子データ送信が義務化されたのだ。スマホで海外送信用アカウントをとって送信する時代になった。

8月7日 自分でも素直じゃないなぁと思いながら、あえて炎天下のそれも真昼間、散歩コースを大きく逸脱して2時間ほど市中を歩いてきた。出発前に水分や塩分を2杯のみそ汁でとり、あとは喉が渇いたらペットボトルでも買えばいい。折り返しの駅前を通り越し川反の手前まで歩き、いつもと違う景色を楽しみながら、小路に寄り道し、汗だくになって帰ってきた。歩数計は意外と少なくて1万7千歩ほど。これなら毎日の散歩の約2倍程度だ。今日も暑い。今度は逆に山側にロングウォークをかけてみようかな。
(あ)

No.1067

足軽仁義
(双葉文庫)
井原忠政

 中世の秋田の山城にハマってから5カ月ほどになる。この時代は史料が少なく人々の関心も薄いのだが、調べれば調べるほど、知れば知るほど、奥が深く興味深い。本書は参考資料にと軽く考えて読み始めた。「三河雑兵心得シリーズ」の1巻目だ。主人公の茂兵衛が仕官する三河・夏目家の知行は300貫。江戸期の感覚で800石ほどか。身分は国人階級で、国守に軍役義務を負うが年貢の負担は免除されている。ここで足軽になる茂兵衛の給金は年2貫(銭2千文)、これは現代の感覚でいえば20万円ほど。寝床と食い物付きだが、こんな雇用形態で、あとは戦での働き次第で騎乗の身分に成り上がれる可能性もある。だから誰もが戦があるのを心待ちしている。戦国の足軽出世物語で、以後シリーズは「旗差足軽」「足軽小頭」「弓組寄騎」「砦番」と続く。余談になるが時代小説を読むために、手元に日本史用語辞典おいているのだ、この辞典、「管領」「押領使」といった基本的な言葉が載っていない。昔買ったもので、今ようやく使えると喜んだのもつかの間、ガックリと来てしまった。辞書といってもピンキリ、千差万別なのだ。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.1071 7月10日号  ●vol.1072 7月17日号  ●vol.1073 7月24日号  ●vol.1074 7月31日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ