Vol.939 18年12月15日 週刊あんばい一本勝負 No.931


冬DM発送終了

12月8日 土曜日だが来客や打合せ、カミさんのアッシー。お昼は温かいうどん。県南部から来た人から聞くと、昨夜からの雪がもう30センチ近く積もっているそうだ。遅い雪だったが、けっきょく来るときはこうして一挙に襲ってくる。初雪が大雪もありの世界だから油断できない。秋田市内は小雪チラホラ。寒さだけは一丁前に真冬並み。

12月9日 今日は「靴納め」。太平山前岳に登る予定だったが、昨夜遅くリーダーから電話。大雪のため中止に。朝起きたら雪は積もっていたが青空がひろがる絶好の登山日和。でも、こうした際の決定は、100パーセント、リーダーのSシェフの意見を尊重する。さて今日一日、どう過ごそうか。夜はいつものようにモモヒキーズの宴会(納会)がある。これはどんなに大雪が降っても決行である。

12月10日 スマホを持っていないせいもあるがユーチューブというのをほとんど見ない。でも昨日は3時間近く、ダンサー菅原小春の画像をユーチューブで観続けてしまった。彼女の踊る3,4分間の踊りを1時間のスローモーションで再生すれば、あの暗黒舞踏の舞台と同じになる。いや同じになるかどうかはやってみないとわからないが、似たようなものになるのは間違いない。

12月11日 外はすっかりアイスバーン。雪用シューズに変えたが、この靴、2年目にしてもうソールがツルツル。山靴はソールだけの交換もできるが、雪用ブーツはそれもかなわない(ようだ)。冬は嫌いではないし、吹雪の夜の散歩は「孤独の中の静かな祭り」のようで好きだ。でも滑って転ぶと致命傷になる。悩ましいが「歩くこと」をやめるわけにはいかない。

12月12日 今週は「冬DM」の注文が入る。週末には2本の新刊が出来てくる。ものすごく忙しくなる予定で身構えているのだが、出だしは拍子抜けするほど静か。ほんとうに読者のもとにDMは届いているのだろうか。現在編集中の本は2本。いずれも来年早々出る本なのだが、これも年末にしては少ない。こんなふうに少しずつヒマになり、しまいには飢えて、誰にも知られず干からびて事務所で死んでいくんだオレなんて……と妄想を膨らませて一人落ち込んでいる。そのくせ夜の散歩では、この次に出す本が売れに売れたら、お金をどうやって使おうか、シュミレーションして笑いながら歩いている(らしい)。困ったオヤジだ。

12月13日 寝床に入るのが怖い。寒いからだ。身体の新陳代謝が落ちているせいなのだろうか。昨夜、寝具の見直しをした。羽毛布団と毛布と掛け布団の順番が問題のような気もする。敷布団を厚手のものに替えたり、寝巻も本格的な冬用にチェンジした。いろいろやってみないと原因ってわからない。でも毎年毎年、新陳代謝が落ちていくのだけは間違いない。

12月14日 久しぶりに毎日トイレに入るのが楽しくなる「便所本」に出合った。『理系のネタ全書』(青春出版社)なる380ページの大著、値段は1000円(!)。このボリュームでこの値段は信じられないが、もともと「面白いほどわかる算数と理科 大人の1週間レッスン」というタイトルで2011年に出た本。文系アホ人間には目からうろこのお話が満載だが、同じシリーズに『封印された古代史の謎大全』なんていうのもあり、こちらはちゃんとまじめなものを読みたいと思う文系的理性はまだ残っている。「理系」という言葉に過剰反応気味なのかもしれない。
(あ)

No.931

孫物語
(新潮社)
椎名誠

 椎名誠の本は面白い。面白いだけでなく、ジャンルにこだわらず、途切れることなく書き続けている、その持続力も魅力だ。毎月、新聞紙上に出る「文学界」「新潮」「すばる」「群像」といった文芸誌の広告には椎名の名前が必ずと言っていいほど見いだせる。その著作は多岐にわたっている。SFっぽい小説も何作か書いているようだが、そちらはほとんど読んだことがない。ノンフィクションっぽい私小説が圧倒的に面白いと個人的には思っている。これを本人は「日常お茶碗味噌汁卵焼き的な話」といい、扱い品目の多い作家なので「コンビニ作家」だと自身で言ってしまう。そういえばこれまで書いた本の中でも『岳物語』が最も感動した本だ。本書はその続編というか、その岳の子どもたち、孫たちの物語だ。オビには小説とは謳っておらずスーパーエッセイとある。「岳物語」に比べてフィクション性が薄いのだろう。本好き、おませな娘、活動派の個性的な3人の孫たちとイクジイこと椎名が繰り広げるバトルが楽しい。装画はいつもの沢野ひとし、と思っていたが少し絵が下手になっている。と思ってよく見ると椎名自身が描いた沢野風の絵だった。

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