Vol.891 18年1月13日 週刊あんばい一本勝負 No.883


今年もよろしくお願いします

12月30日 東京は相変わらずの人込み。早々と東京駅をたち、車中ずっと村上春樹『騎士団長殺し』上巻。いつもの村上ワールド全開だが、この小説は自分的には当たり。

12月31日 大晦日だが仕事。普通通りに朝ご飯を食べ、歩いて10秒の仕事場に。これはもうクセなのでだれにも止められない。ご飯の横にオモチャのある赤ちゃん状態だ。。お正月は旅行で七日まで留守だから何としても今日中にやらなければならないことがある。皆様よいお年を。

1月1日 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしく、お願い申し上げます。

1月2日 元旦の夜8時過ぎ散歩に出た。街はひっそりしたものでほとんど人とは出会わなかった。今日は初売りがあるせいか、昼に散歩に出たら結構な人。近所に三吉神社があるので参拝客が車で渋滞していた。コンビニに入る人の数は多いが、例年よりやはり閉まっている店が多い。天気も荒れ気味だ。

1月3日 明日から香港旅行だ。今日の新幹線はちゃんと動くのだろうか。明日の羽田からの飛行機は朝が早い。今日中に東京入りしておかなければならない。秋田の冬の海外旅行は実にリスキーだ。

1月4日 朝5時半起きで羽田空港。ホテルでは加湿器をつけっぱなし。機内で映画2本。題名は忘れたが中米麻薬密売パイロットの半生を描いたものと、女子テニスのキング女史の半生を描いたもの。香港のホテルはベッドが狭くて大失敗。幸先が悪い。

1月5日 2日目はマカオ。昔社員旅行できたことがあるが何もかも変わっていた。あまりに巨大な未来都市で息苦しい。世界のマネーが流れ込む都市というのはこんな光景をいうのだろう。昼を食べたレストランが美味しくてびっくり。腹ごなしに地下街を歩いてみたが、巨大、金ぴか、ド派手で、まるで映画のセットを歩いている感じ。お店はすべて世界のブランド店ですべてホンモノだ。日本がはるか彼方に追い抜かれてしまったことを実感。欲望が渦巻き、活気にあふれ、若さが爆発し、ビルはニョキニョキと天に伸び続ける。日本のバブル期さえ、こんな活気はなかったように思う。過剰ですさまじいエネルギーに圧倒されどっと疲れてしまった。

1月6日 熟睡。どんな狭いベッドでも人は慣れてしまう。午前中はタクシーで中心街に出てブラブラ。とにかくブランド店しかないのだから退屈だ。台湾のように日本のチェー店がいたるところに、ということもない。街を走る車も未来の電気自動車(テスラなど)が当たり前。ベンツが幅を利かしている世界はとっくに終わっていた。夕食はシャコ料理でこれもおいしかった。今日はゆったりとしたスケジュールで心身ともリフレッシュ。こんなぼんやりした1日が旅では必要だ。

1月7日 香港のすさまじい経済発展の現実に驚いているうちに最終日。タクシー、トラムを乗り継いで飛行場へ。空港名のインド料理屋で昼食をとり機内へ。機内での映画は、瑛太が売れない役者を演じボクサーに挑戦する邦画。九段下の定宿に夜の11時ころたどり着く。

1月8日 もうお正月は終わっているのに電車は満員で午後の遅い便しか取れず、けっきょく夜遅く秋田着。事務所でメールや年賀状などのチェックをしているうち翌日になってしまった。

1月9日 今日が仕事始め。日記と1週間分の新聞の切り抜き。時間がかかる作業だが、やらないと気分的に落ち着かない。毎日食べたものを記帳している手帳もつけなければ。そんなこんなで、けっこう毎日のルーチンは大変。

1月10日 旅の疲れか今ひとつ心身のバランスが悪い。年末からずっと読み続けていた村上春樹『騎士団長殺し』上下をやっと読了。

1月11日 ダウンジャケットを2着持っている。1着はユニクロの羽毛がスカスカの安物。もう1着は雪山防寒用のノースフェースの高いもの。ユニクロのダウンは冬のみならず一年中役立っている。気温が下がる冬の夜は寝巻の上に羽織るし、香港でも朝晩冷える時は役だった。もう旅先の必需品になりつつある。ユニクロに比べて10倍も値段の違うノースフェースの出番がないのは暑すぎるからだ。

1月12日 新入社員から聞いて初めて知った。クロネコヤマトのメール便が近々廃止になるそうな。これはショック。うちはもう20年以上、送料無料で読者に本を届けてきた。読者もそのサービスにこたえる形で注文が途切れることがなかった。それもこれも宅配業者との交渉で値段を安く設定できたからだ。それができなくなる。大昔に帰ってまた1冊200円内外の送料をとらなければならなくなるのだろうか。
(あ)

No.883

だから、居場所が欲しかった。
(集英社)
水谷竹秀

 読みたい本があると夜が待ち遠しい。本書のサブタイトルは「バンコク、コールセンターで働く日本人」。もうこのサブでゾクゾクする。30代の若い女性たちがコールセンターで働くためにタイに移住する。遠く離れたバンコクの高層ビルで、一斉に日本からの電話を受ける日本人たちが働いている。TV番組でその若い女性たちの優雅なクラスぶりが大げさに報じられているのを何度か見た。なぜ若い女性たちがバンコクまで行く必要があるのか、いまひとつよくわからなかったが、本書を読んで溶解した。若い日本人女性たちの闇と孤独、閉塞感が丁寧にあぶりだされている。若い女性たちだけではない。非正規労働者、借金苦、風俗にはまる女、LGBTの男女、生きづらい日本を離れて「努力なしに職と暮らし」を手に入れられる場所へ、安易に流される日本人たちを追った、「もう一つの日本」のルポルタージュである。水谷は東南アジアに移住をする買春オヤジの実態を描いた『日本を捨てた男たち』などで注目を集めたフィリッピン在住ライター。その堅実で真正面からの取材姿勢には定評がある。

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