Vol.888 17年12月16日 週刊あんばい一本勝負 No.880


どうにか体調は元に戻った……かな

12月9日 ずっと体調の悪かった一週間。ほぼ回復したが平熱ショックは頭の隅にこびりついたまま。普段からあまり冷たいものを口に入れないほうがいい、というアドヴァイスをもらったので昨日から「白湯派」になってみた。魔法瓶にぬるめの白湯を入れ仕事中も寝る時も朝起きた時も一口。まだ2日目なので何とも言えないが体にやさしく便通もスムース。胃のあたりから不快感が消えた…かな。しばらく続けてみようと思っている。

12月10日 モモヒキーズの忘年会。直前まで体調が良くなかったが「病は気から」と思い直し出席。食べてしゃべって笑っていると体調の悪さを忘れた。プレゼント交換で「いちご」が当たったが、今の自分にぴったりのプレゼントだ。どうにか咳も止まったし、食欲も戻りつつある。でもまだ何となく体はだるい。今日も耳鼻科に行き薬をもらってきた。

12月11日 ローカル線の中で車いすの重度の脳性麻痺の青年と隣り合わせた。吹雪のため1時間近く列車は遅れ、長く車内に閉じ込められていたせいか、彼はトイレに入ろうと悪戦苦闘し始めた。防寒具を着込んだ上にポシェットやバッグなどを体に巻き付けているため思うように服が脱げないのか。トイレでドタンバタン。これは大変なことが起きていると介助。担ぎ上げるのも大変だったが、列車内の誰もが無関心をよそおって下を向いている。閉じ込められた狭い列車内で全員が見て見ぬふりとはどういうことなのか。女学生たちもたくさんいたがスマホに夢中で何も聞こえないと全身で意思表示。純朴で素直な田舎の学生などというのは幻想だ。本当に腹が立つ。

12月12日 今日は今年最後の本ができてきた。書名は『北前船寄港地ガイド』。著者は加藤貞仁さん。オールカラーで初版が数千部という本を出すには、昨今勇気がいる。もしこの本が売れないようなら、小生も本格的に引退を覚悟しなければならないだろう。いったいどんな作れば本を買ってもらえるのか、試行錯誤の日々は続いている。

12月13日 15年以上使っている暖房機がいよいよ買い替えの時期に。昨日、業者の方が来てくれたのだがうまく故障をカバリーできない。古いうえに体育館や保育園のような広い場所で使う巨大暖房機、部品交換もままならない。広さから言えば18畳クラスのもので十分なので買い替えることにした。こうして身の回りの道具たちはどんどん軽量化し、デジタルになり、使い勝手がよくなっていく。悪いことではない。

12月14日 月に2度か3度、昼食用カンテンを作る。もうルーチンなので、30分もあれば2棹のカンテン(小豆とママレード味)が完成する。最近はそれ以外にも3か月に1回、5合のコメを炊いておにぎりを作り冷凍庫で非常食として保存している。無性にお茶漬けや卵かけご飯を食べたくなるからだ。チンすれば食べられるから甘ものに手を出さずに済むのもいい。日常的に炭水化物をとらない傾向が年々強くなっている。その行き過ぎへの警戒心も自分の中にはあるのかもしれない。冷蔵庫にカンテンやおにぎりが備蓄されていると無条件に満たされた気分になる。
(あ)

No.880

定年ゴジラ
(講談社文庫)
重松清

 開発から30年経った、年老いたニュータウンで定年を迎えた山崎さん。その山崎さんに散歩仲間が数人できた。この定年仲間たち4人組の日々を、山崎さんを中心に哀歓を込めて描き出した連作小説である。書かれたのが1998年、だかから今からもう20年近く前なのに、今読んでも何のタイムラグも感じない。作家というのはどうのこうのといってもすごい想像力の持ち主なのだ。昨日書き終わったばかりですと言われても、何の違和感もなく読めるのだから驚いてしまう。定年になって地域の中で生きることになった山崎さんが、散歩仲間から最初にくぎを刺されたルールもおもしろい。「ジャージ禁止」である。気が緩むと腰を痛めるし腹も出る、からだそうだ。これはけだし名言だ。何となく高齢者の自分に当てはめると納得できる。定年後に奥さんから離婚を言い渡されるのは「落とし穴に突然落ち、這い上がろうとしても縁が砂で、ボロボロ崩れて上がれない」という気分だそうだ。著者が本書を書いたのはまだ40代前後だと思うが、どんな取材をすればこんなに高齢者の気持ちを自分のことのように書けるのか。

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