Vol.1094 21年12月18日 週刊あんばい一本勝負 No.1086

解体作業の振動にイライラ

12月11日 最後の2割が問題だった。おおざっぱなデスプレイは問題なしだがモノが多すぎる。なかなか捨てられない。大量の産廃ゴミが出す後ろめたさもある。燃えないゴミは河辺・御所野にある清掃センターまで車で持ち込み有料処理してもらうのだが、分別せずにごみを捨てることに若干抵抗がある。15日おモモヒキーズの大忘年会ではシャチョー室が会場だ。お披露目の改装記念兼忘年会である。それまでには完ぺきを期したい。

12月12日 今日は雨だが午前中は大丈夫、というリーダーの言葉で恒例の岩谷山登山。今年の靴納めだ。登山口に戻ってきたとたん本格的に雨が降り出した。ユフォーレで風呂に入りレストランで食事。みんな精一杯の豪華な食事をする決まりだ。小生はかつ丼(950円)。他のみんなは上エビ天丼コーヒー付き(1450円)で、これは贅沢が過ぎるだろう。今年も多くはないが、いくつかの県内の山のお世話になった。山歩きでコロナ禍のプレッシャーはかなり軽減できた。来年もフツーに山歩きができれば、これにまさる幸せはない。

12月13日 酒ビンに少量だけ酒が残っている。思い切ってそれらの酒を残飯処理することにした。ピンガ(ブラジルの焼酎)やテキーラ(メキシコの焼酎)、マオタイに紹興酒、ジンや日本酒……お気に入りのグラスや盃を選んで、一気に呷った。すごく美味かった。最近めっきり酒が弱くなった。老化現象で片付けていたのだが、こうして酒に合った環境にこちらが身を寄せて呑むと、なかなかどうして酒はうまい。

12月14日 山本志乃著『団体旅行の文化史』(創元社)という本が出た。サブタイトルは「旅の大衆化とその系譜」。3500円近い大冊で、買うかどうか迷っている。団体旅行のルーツは言うまでもなく江戸期のお伊勢参り。領主が土地の支配権を持っていた時代で人々が領外に出るのは至難の業だった。それでもお伊勢参りという団体旅行だけはフリーパス、例外中の例外だった。近年の社員旅行や修学旅行といった団体旅行は日本独特の風習といわれるが、そのルーツは旅に大義名分が必要だったこの時代(江戸のお伊勢参り)の名残だろう。本書もそんな内容の本なのだろう。それにしても最近の創元社(大阪)はいい本ばっかり出す。矢部さん(社長)、「火事場の老舗力」(小生の造語)っていうやつだね。

12月15日 ようやく仕事場が落ち付いた。と思ったら今度はお隣の家の解体作業がはじまった。大型機械が入り、その振動がハンパではない。地震でいえば震度3ぐらいか。地盤が緩いうえ安普請なので2階の家具や棚がカチカチ、カラカラ、チンチンと反応する。これがイライラする。仕事に集中できず仕事場を逃げ出した。とはいっても行くところがない。すぐに戻ってくるのだが作業が終わる4時半ごろになると、ホッとする。

12月16日 今日も天気は悪い。なんだかムシャクシャする。ある信州出身の作家が、学生として過ごした秋田時代を「冬の雪や寒さは耐えられるが、冬に青空がないのには驚いた」と書いていた。なるほど秋田はかなり特殊なのかもしれない。この時期に太平洋側の街を旅すると、その青空のもたらす爽快感に立ち眩みしそうになる。冬の青空って、それだけで人間の心身を健康にするエネルギーを持っている。

12月17日 今日も雨。お隣の解体作業もまだ続いている。イライラ。リフォームの後片付けはほぼ終わったが微調整はまだ必要だ。仕事を始めると不具合に気が付いて、仕事をいったん中断。消しゴムひとつ探すのに20分かかるのだから情けない。昨日から「50年史」の原稿を再び書き始めた。原稿に集中するとコロナも不況も、過去も未来も、すべて忘却の彼方。雨も寒さも不安も閉塞感もどこかへ吹き飛んでいく。
(あ)

No.1086

われは歌えどもやぶれかぶれ
(集英社文庫)
椎名誠

 椎名誠さんの新刊はサンデー毎日の連載を編んだもの。まずは圧倒的に書名が奇抜で面白い。室生犀星の小説のタイトルからとったもので、前立腺を患った室生の夜中の苦闘(おしっこがでない)を描いたものだそうだ。この病魔タイトルに「誘発」され(たのかどうかはさだかではないが)、本書の内容も自身の病気に関するものが多い。痛風やピロリ菌、うつ症状に不眠障害、目の衰えから来る緑内障の疑いとコロナ禍の入院、そして熱中症まで、果てしない病魔との戦いと通院生活が綴られている。椎名さんといえば頑強な肉体派で冒険作家の代名詞のような人だがこの病魔のオンパレードには衝撃を受けてしまった。プロの物書きなので悲惨で悲痛な病気との戦いも、お笑いの粉にまぶし、クスクス笑いながら読めるのはさすがだが、あの椎名さんでも年には勝てないようだ。ニューヨーク州の弁護士になった娘さんの宣誓式に出席したエッセイも印象的だ。珍しく飛行機のビジネスに乗り、着なれないスーツを着た椎名さんの一世一代のような晴れ舞台なのだが、読者に嫌味をまったく感じさせることのない文章で、逆に好感が持てる。このへんが彼の真骨頂だろう。

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