Vol.102 02年8月10日号 週刊あんばい一本勝負 No.99


東京の夏は暑いぞ!

 夏に東京に行くのはかなりの抵抗がある。汗っかきだしネバリつくような不快な熱波のなかにわざわざ入り込むのはアマゾンに行くより勇気がいる。今回はどうしても出なければならない会や打ち合わせがあり意をけっして機上の人となった。1日目は湯島にある篠田次郎先生の設計事務所へ。「幻の日本酒本」の打ち合わせなのだが2時間ほどで終了、その後は事務所の女性や奥さんも交えて日の高いうちから酒宴。秘蔵のいろんな酒を飲ませていただいたが「越の寒梅・本醸造」がうまかった。先生も「こいつは飲ませるねえ」と感心しきり。寒梅の大吟はたいしたことがないと暴言を吐いたら、「あれは燗して飲むと良いんですよ」とたしなめられた。なるほど。夜は四谷へ移動。山川三太さんと久しぶりに会い新事務所を見せてもらう。一緒に暮らしている女優の大崎由利子さんも交えて食事。大崎さんは弓立社の宮下さんと親しいとのこと。世間は狭い。翌日は灼熱地獄のなかを世田谷まで足を伸ばし「ミロ展」。その後デパートで買い物をする予定だったが暑さに耐えられず宿に帰り仮眠。夜は岩波ブックセンターの新オーナーになった柴田信さんを励ます会に出席。2次会まで付き合い3次会は弓立社の宮下さんと山の上ホテル地下のワインバー。若い酔っ払い女が数人奇声を発し大声で怒鳴りまくり合コン状態。ここが本当に山の上か、愕然としながらカルバドスを飲む。3日目の朝は神保町にある嶋田晋吾さんの編集事務所を訪ねて今秋出す予定の絵本のレクチャーを受ける。実際に岩波ブックセンターに行って見本にする数点の絵本を買う。柴田オーナー自らにレジを売ってもらう。いやはや恐縮。帰りの羽田は帰省客で大混雑。出発が30分も遅れる。ガキたちがチョコマカ、奇声を発して動き回り苛立つ。秋田は25度。これが人間が心地よく暮らせる夏の気温だ。
(あ)

篠田先生

大崎さんが出る
芝居のチラシ

柴田さんを励ます会

インターネットで結ばれたラリードライバー

 先日、大潟村で開かれた、「第10回 2002ワールドソーラーカーラリー」を取材しました。このソーラーカーラリーは、太陽エネルギーを貯め込んだソーラーカーで、いかに長い距離を走るかを競うレースです。今年は、色とりどりでユニークな形のラリーカー93台が参加して、1周32キロメートルのコースを、23時間走りとおしました。男性のドライバーに交じって健闘する、女性ドライバーが2人目につきました。
 「Korea&潟郎」(大潟村)のラリーカーを操るのは、韓国から参加した31歳の大学講師の女性です。大学といっても、この人はマレーシアの大学で韓国語を教えているのだそうで、大潟村で農業を営むメンバーが結成したチーム「潟郎」が、海外から参加する人をインターネットで募集したのに、マレーシアからかけつけたけということでした。
 もう1人が「ガメラ」(大潟村)というチームのドライバーの女性。この「ガメラ」は、大潟村のチームなのに、メンバーのほとんどは神奈川や東京のエンジニア。インターネットで交流ができた、チーム「潟郎」の倉庫を借りてラリーカーを製作してレースに臨んでいるチームです。女性ドライバーは、横浜で仕事を持っている人ですが、大潟村にある県立農業短大の卒業生という縁で、このチームに加わったということです。
 インターネットで、世界につながる大会になっているようです。
(七)

汗だくでコックピットから出
る韓国人女性ドライバー

今週の花

 今週の花はピンクのスプレーカーネーション、赤紫のカーネーション、りんどう、小菊。りんどうを「竜胆」と書くのは根っこが龍の胆のように苦いから。根は「龍胆(りゅうたん)」という胃腸の薬になるそうです。いつもの年の今頃ならすでに夏バテしているはずの私にとってこの生薬は魅力的ですが、今年の夏は違います。ここ数日の秋田は雨が続いているうえに、日中の事務所は冷房が効いています。さらに、目の前には秋に咲くりんどうと菊があって、なかなか夏という実感がわきません。暑さが苦手な私ですが、夏バテしない夏はやっぱり物足りなく感じます。
(富)

No.99

対岸の家事(講談社OH文庫)
南伸坊

 タイトルが抜群にいい。このタイトルが思いついただけで本は確実にできる。編集者の命名らしいが、「シンボー主婦やってみた」というサブタイトルを三流の編集者ならそのまま題名にして痛い目にあっていただろう。女性の専売特許のような主婦業を男がやってみて、その体験記を面白おかしく書く、という発想は小生にもあった。HPに自分で連載も考えていたのだが、1冊分の原稿を書くにはタネが足らないような気がして踏み込まないでいた。本書もやはり同じような問題に直面しているようで、一つのテーマで3回分書いてみたり、ネタ探しに四苦八苦した結果、最後は「料理」に逃げてしまう方法をとらざるを得なかった。主婦業に「料理」を入れてしまうのは邪道だろう。これならいくらでも書けるし、料理本になってしまえば本質から大きくズレてしまう。著者の本は本業の装丁はもちろん、すっとぼけた持ち味の著述も大好きでよく読むのだが、この本に限っていえばテーマの「深さ」に抗しきれていない印象が残った。編集者の下準備というか力量(アドバイスや構成力)に問題があったのではないか。

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