Vol.995 20年1月25日 週刊あんばい一本勝負 No.987


長いも・カフェラテ・封書切手

1月18日 繁華街にある小野時計店の奇抜な建造物を見るたび「バブルって恐ろしい」といつも思っていた。100年以上の歴史をもつ老舗時計店だが20年ほど前、若者向け飲食業に参入し沖縄にまで店舗を展開した。その無茶苦茶な経営のため倒産した。その後、残った社員たちが自社ビルを売り細々と営業を続けていた。結局、立て直しはかなわず幕を閉じることになった。でもそのバブリーな残滓である建物は欲望や愚かさを象徴するものとして秋田の「経済遺産」に残したいものだ。戒めのためにも。

1月19日 正月気分は抜けた。その「賞味期限」が年々短くなっている。年をとると「せっかち」になる。残りの時間が限られているせいだろうか。いつもアクセク、アタフタ、イライラを繰り返している。じっとしているのが苦痛になる。温泉に浸かってのんびりする、なんて死んでもイヤ。

1月20日 便通の数年前から「タケダ漢方便秘薬」の世話になっている。朝、体重をはかるとき、少しでも数字を軽くしたいという浅はかな目論見のためだ。先日、友人から「TVで便秘には長いもが効くと言ってた」とお教えられ試してみた。食べ物をとして長いもは大好きである。好きな長芋で便秘がなおるなら一石二鳥ではないか、と飛びついた。まだ3日目なので報告するような成果はないが、しばらく続けてみる予定。

1月21日 1週間のほとんどを温泉のトレーニングルーム通い。積極的に外に出かけるようになると考えもしなかった人と再会したり、会いたくない人と接触する機会も増えた。「犬も歩けば棒に当たる」である。犬はその昔、個人が飼うのではなく集落単位で飼われていた。その集落の犬が隣の集落までいい気になって出かけると、「見慣れぬ犬だ」と棒で追い払われる……これが本来の意味とものの本で読んだことがある。先週はまさにその犬になった気分を味わった。

1月22日 散歩の途中、コンビニでカフェラテを呑む。コーヒー以外にもお惣菜や雑誌、新製品を眺めるのも楽しみだった。過去形なのは、先日、コーヒーを飲みながら店内を歩き回わらないで、と店員に怒られた。昨日、同じ店でコーヒー。今度は店内を歩かずコーヒーを入れる場所でおとなしく呑んでいた。それでも店員がやってきて「消費税の問題があるので店内では飲食禁止」とまたしても怒られてしまった。要するにコーヒーは家や車で飲めということなのか。

1月23日 手紙をよく出すので1円切手を大量に買ってある。残っていた62円のハガキと82円の封書切手に添付するためだ。ハガキは1円切手一枚貼るだけでいいのだが、封書は2枚貼らないと駄目なことを実は昨日気が付いた。ずっと「83円」で出していたのだ。そのことに気が付いたのは古い切手がようやく底をついた昨日、新しい切手を買いに行って分かった。封書用切手は「84円」だ。83円と信じ込んでいた。

1月24日 一念発起して音楽CDを整理。整理と言っても捨てたわけでない。1000枚以上あるCDをジャンル別にわかりやすく分類した。もうこれで「こんな音楽が聴きたい」と思えば、すぐにその居場所が分かるようになった。好きな作曲家や歌手別にジャンル分けすると同じCDがダブっているものもけっこうあって驚いた。いま背後にはリヒテルが流れている。1984年、東京の日本家屋(茶室)で演奏したハイドンのピアノ・ソナタだ。こんなCDを買っていたことすら忘れていた。もう死ぬまで新しいCDは買わなくて済みそうだ。
(あ)

No.987

ニセ医学が危ない!
(育鵬社)
桑満おさむ

 これが正式なタイトルではない。書名の前に「意識高い系がハマる」という言葉が付いている。これが曲者だ。こういう長ったらしい説明文(惹句)が書名につく本は「トンデモ本」が多いからだ。でも本書は違った。著者は「ニセ医学バスタ―」を名乗る現役の医者。ヘンなことは言えば商売ができなくなる立場だ。偽薬(プラシーボ)に代表される「病も気から」的な精神的効果も認めながら、最近のニセ医学は度が過ぎている、と警告を鳴らす。コラーゲンでお肌プルプルなったり、合成添加物、酵素、デトックス、半ワクチンから水素水、ひえとりまで、意識高い系がハマりやすく、カルト化していく危険な現象を俎上に挙げ、丁寧に科学的な根拠を説明してくれる。特にホメオパシーには厳しい。「同種療法」と言われる古典的なニセ医学(代替医療)で外国では保険適用されている国もある。わかりやすく言えば、二日酔いを直すには迎え酒が一番、という例のやつだ。
 本書の内容の99パーセントは私自身も賛同できるし、よく理解できる。ただひとつ意外な事実があった。水にいい言葉を聞かせるときれいな氷ができる、というのは根拠ないニセ医学だが、お酒にモーツアルトを聴かせると美味くなる、というのはオカルトではなく「振動によって酵母が活性化」したもので、「あり」なのだそうだ。これは意外だった。

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