Vol.852 17年4月8日 週刊あんばい一本勝負 No.844


4月は超多忙な月になりそうだ

4月1日 先週に続いて今日も山形・鶴岡市の高館山。パートナーも同じカメラマンのS氏。朝7時に出て8時半には待ち合わせの酒田Rホテル到着。高速道のおかげで本当に近くなった。鶴岡大山にある八森山からスタート、縦走し高舘山に至る「春の花トレッキングコース」。ずっと雪山ばかりだったので何カ月ぶりの春の山だ。オーレン、ヒメアオキ、マンサク、カタクリ、イチリンソウ、イワウチワにショウジョウバカマ、ツバキ、キブシなどが今を盛りと咲き誇っていた。一番の目玉は「ミスミソウ」。すれ違う登山客のほとんどが「ミスミソウ、みませした?」とあいさつ。ミスミソウって初めて聞いた。こっち(山形)の方言と思ったら「雪割草」のことだった。私が俗名で覚えていただけ。恥ずかしい。

4月2日 酒田Rホテルで熟睡。ホテルでの目覚めがすっきりなんて何年ぶりだろう。ずっと旅に出るのが苦痛だったのはホテルで熟睡できないから。乾燥のため風邪への不安もあった。パジャマを持ち込み、ホテルの加湿器を目いっぱい活用、それが功を奏した。昨夜は山行後、友人夫婦と食事。行きつけの店はすべて満杯。やむなくホテルのディナー・バイキング。これが正解だった。ステーキと地場野菜だけを腹いっぱい食べ、費用もいつもの半分ほどで済んだ。もしかするとバイキングは高齢者にとってはねらい目かもしれない。

4月3日 いつのまにか4月に。今年の4月はマジきついっス。中旬まで4本の新刊。半月に4本というのは尋常ではない。本は1冊1冊がテーマも読者も違う。だからまとめて販促ということができない。読者に合わせた販売戦略がそれぞれに必要になる。この間にも町内会の役員会(小生、副会長です)が何度かあり、山仲間からは「プロセッサー」とバカにされる仙台私立大学の出前講座もある。まずは大きく深呼吸してみる。

4月4日 今週は1本だが来週は3本の新刊が出る。怖いのはミス。何度も確認しながら作業を進めても爆弾は思わぬところに隠れている。今そこにある危機への緊張は経験も年齢も関係ない。何十年やっても気が抜けないし、ストレスはたまる一方。こんな時は深呼吸、あえて関係のない原稿書きなどでリフレッシュ。食料買い出ししたり、打ち合わせに出かける。週末山行も何よりの楽しみだ。忙しい時ほど山に行く。

4月5日 午後から時間が空く。「餃子」をつくることにした。先日Sシェフの手作り餃子をいただいて、こんなにうまかったかと、また餃子に目覚めてしまった。なによりも大量に作って冷凍して好きな時に食べることができるのがいい。今日はとりあえず50個。近日中にもう50個作れば当分こまることはない。無心に皮に餡を詰めていると、仕事のことをすっかり忘れている自分がいる。これからはストレスがたまったら餃子づくりだ。

4月6日 少しずつだが体重が落ちている。ダイエットしているわけではない。外食が減り、酒量もコップ一杯程度に落ち着いている。昼もあいかわらずリンゴと寒天。でも夕食後、小腹が減る。そんな時は冷凍している小さなおにぎりをチン、お茶漬けか卵かけご飯で食べる。焚きたてを自分で握って冷凍しておいたもの。最近わざと夕食を減らし、事務所で野球中継を見ながら、夜食を食べるのが楽しみになった。スタミナをつけるためにも「炭水化物も大事」と屁理屈をつけて。夜食バンザイ。

4月7日 山王の官庁街で「??の会場へ行かれるんですか?」「はい」「一緒に行っていいですか」とリクルートスーツ姿の若い女性同士が会話していた。そして笑いながら並んで歩きだした。見知らぬもの同士が一瞬で仲良しになった瞬間。彼女たちはこれからもずっと友達として過ごすことになるかもしれない。その一瞬に立ち会うことができ、ちょっぴり得した気分。男同士ならこうはいかない。まず会場付近で迷っても同じ年代の人間に場所を訊いたりしない。プライドがあるし、ライバルだし、見栄っ張りだからだ。いや気軽に声をかける男もいるだろうが、自分はダメだ。そっと前の男の後をつけて会場に行くタイプだ。これからの時代は「女性的なもの」が社会の規範になっていく。
(あ)

No.844

ことばの地理学
(大修館書店)
大西拓一郎

 最近、方言に関する本が多数出るようになった。それも専門的なものでなく一般読者向けのものが主流である。岩波ジュニア新書の『方言萌え!?』などその代表だろう。その背景には関西人でもないのに「なんでやねん」と突っ込んだり、高知弁や東北弁を演出的ツールとして効果的にネットで使う若者たちが増えたことによるものだろう。本書はそうした一般的な方言の本ではない。といっても専門書でもない。その一歩手前の上級者用の方言研究の書といっていいかもしれない。読み通すのに一苦労するが、具体的な調査報告書なので、丁寧に読むと、「なぜ方言という言葉の違いがあるのか」という疑問がゆるりと溶解していく。方言にはそれを生み出す場所(地理)がある。本書が力点を置いているのは「方言と地理の関係」だ。多数の方言分布地図が本書に登場する。メインのフィールドが信州なのでそこに偏っている。大阪生まれの著者は東北大学で学び、信州や富山でフィールドワークを行い、現在は国立国語研究所の教授。生活者、言語使用者の思考、感覚に根差した方言並びに方言分布形の要因・解明に取り組んでいる。少し難しいが短い論考が多いので、教科書のような気持ちで読むのがいいのかもしれない。

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