Vol.849 17年3月18日 週刊あんばい一本勝負 No.841


もう少しで忙しさを抜けられる

3月11日 目が覚めると身体に異常がないことに感謝。丈夫な身体を授けてくれた親に頭を下げる。その親(父)は血圧が高く糖尿病だった。デブの大酒飲みで、その遺伝子は自分にも受け継がれているはずなのだが、こちとら血圧は120の80台。父親は晩年200近い血圧に苦しんでいた、と母から聞いたことがあるから、このあたりは遺伝しなかったのだろうか。血圧が若いころよりも逆に安定したのは60代に入ってからだ。毎日意識してキライな「黒酢」を飲み、欠かさず1万歩歩くようになった。これと因果はあるのだろうか。仕事のストレスは半端ないし暴飲暴食もする。塩分大好きで甘物も拒まない。歯以外はめだって悪いところはない。老眼も進行していないし、体力も山行のせいで40代より今のほうがある。「健康なのは悪いことが起きる前兆」とおびえているほどだが、このあたりは確実に母親の異常な「心配性」の遺伝子だ。

3月12日 河辺に二ッ森という300メートルほどの山がある。やぶがひどくて登山道がない。雪山ならどうにか山頂まで行ける。初挑戦だが、経験者のSシェフも一緒。が、やはり道のない雪山は何があるかわからない。下山で1本降りる沢を間違えてしまった。やむなく谷に下り沢沿いに歩いた。スノーシューを脱いでツボ足で川の中を歩くのは初めての経験。どうにか戻ることができたが冬山はやっぱり怖い。山行後は近くの温泉場で温かいラーメンを食べた。これが実は昨夜から楽しみだった。実際に食べると不味くて残した。前日からラーメンを食べる楽しみでワクワクするなんて中学生に戻ったみたい。

3月13日 『病気の9割は歩くだけで治る!』(山と渓谷社)を1時間で読了。「1時間」という数字を自慢したいわけではない。書いてある内容がななめ読みでわかってしまうスカスカ本。内容自体は意に沿うものだし、医学的にも納得。でも何となく「いやな本だなあ」という印象。本を書いたのは、この手の健康本を書きなぐっているタレント医師。売れるのがわかっているのでヤマケイも手をを出したのだろうが、そういう裏事情も透けて見える。このお医者さん、最後に告白しているのだが自分はゴルフをやるぐらいで「ほとんど歩いていない」。正直でいいが、「医者より靴に金を使え」って、あなたに言われたくない。

3月14日 5,6年前、魔がさしたとしか言いようがないのだが、飛び込みの「NTT子会社」を名乗る電話リースの営業に引っかかった。一度は追っ払ったが、懲りずに再びやってきた。情にほだされ契約。詐欺ではないが、かなりきわどい「ニッチビジネス」と気が付いたのは電話機をつけた後だ。電話機の使い勝手が悪く、以後営業マンは一度も姿を見せず、リース契約なので解約することができない。毎月8千円近いお金を5年間払い続けた。そのリースも今年で終わり。リース契約が終わったら今の電話機をすぐ別ものに代えようと思っている。

3月15日 忙しさの最初の波はこえた。第2波は今月下旬。第3波は4月中旬。これであらかた片が付く。大波の合間にぽっかり何もない時間帯がある。そこをうまく利用して旅にでも出ればいいのだが、近頃めっきり「他所の枕」で寝るのがおっくうになった。旅先の愉しみをあれこれ想像しても最後に寝ることを考えると「自分のベッドで寝たい」となってしまう。快適な睡眠の前には景勝地もうまい酒も友人との再会も吹っ飛んでしまう。年とともに「睡眠」が生活優先順位のトップにせりあがってしまった。年をとるってこういうことなんだ。

3月16日 夜はSシェフの恒例の料理教室。先日ウサギをさばいている、というメールが入ったので悪い予感。案の定、今日のテーマは「ビンツマ」。要するに食材を調理し保存用に瓶詰にしておいたものを肴にして一献やろうという趣旨。でも毎回Sシェフのお世話になってばかりもいられない。小生も今夜は「缶つま」で対抗することに。その準備でこの2日間いろいろ考え悩み深い迷走状態。市販の缶詰に一工夫を加えて酒肴をつくるのだけなのだが、アサリ、マッシュルーム、焼き鳥、サケ、サバ、コンビーフにイワシ……と缶詰を買いすぎ収拾がつかなくなった。「イカダイコン」に「焼き鳥チヂミ」「コンビーフの玉ねぎ炒め」あたりで十分かな今回は。

3月17日 糸井重里さんの『ほぼ日刊イトイ新聞』がジャスダックに上場。というニュースには驚いた。株とは縁のない生活だが、こんな会社の株なら買ってもいいな、と思わせる。最近はウエブサイトをほとんど覗いていない。でも昔は毎日のように覗いて、「すごいなあ」とため息をついていた。今でもカレンダーや手帳は「ほぼ日」のものを使っているし、糸井さんの『インターネット的』という本は名著だと思っている。インターネット関連の本ではもっとも刺激を受けた本だ。ひとつの企業や人物から多大な影響を受けるとよくない、という自制が働いてウエブものぞかなくなったのだが、同年代の糸井さんのやることことごとくが、やっぱり気になる。
(あ)

No.841

殺人犯はそこにいる
(新潮文庫)
清水潔

盛岡のさわや書店フェザン店の文庫担当書店員が仕掛けた「文庫X」という、例の書名が伏せられた文庫本である。東京の書店で、無粋な手書き文字が印刷されたこの「異様な装丁」をみて思わず手に取ってしまった。見事に書店員の術中にはまってしまったのである。でもその時は何となく「あざとさ」を感じ、買うことはなかった。騒ぎが収まり、本の中身もわかり、まじめな書評も出て、著者の出自も判明したところで買い読み始めた。なるほど書店員の「熱い思い」通りの本だった。一気に引き込まれ読了した。サブタイトルは「隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」。調査報道のノンフィクションだ。群馬と栃木の県境で姿を消した5人の少女を追いかけたものだが、驚いたのはあの冤罪事件としてまだ記憶に新しい「足利事件」が「序章」だったこと。足利事件が本書のとっかかりだったのだ。姿を消した5人の少女たちは同一犯による連続殺人事件では、というのが著者の主張だ。ドキュメンタリーなのに日本推理作家協会賞を受賞していることからもわかるように、「真犯人」を探して執念の取材を続ける記者自身のプロセスを描いたもの。後半、決定打を欠くまま物語は失速。真犯人は闇の中に消えたままだ。

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