Vol.1030 20年9月26日 週刊あんばい一本勝負 No.1022

男鹿にもクマがいるようだ

9月19日 めん類ランチの熱がすっかり冷めてしまった。めん類はもう見たくない。いつでもめん類を食べられる準備はしているのだが、食欲のベクトルがそこに向かわず、結局は昔のリンゴ・カンテンへと本家帰りしつつある。朝夕の冷え込みが本格的になり寝巻も長袖に替えたあたりからめん類に興味を失った。なんだかうまく説明がつかない。年とともに食欲そのものが落ち始めていることも考えられるか。

9月20日 男鹿真山登山。昨夜からワクワク、ドキドキで、ちょっと寝不足。昨日は山行準備のためちょこまか動きまわった。明日は明日で山行後の疲れで、ぐっすり熟睡できそうだ。山行は前後3日間、日常に貴重なアクセントとリフレッシュをもたらしてくれる。一粒で500メートルの世界、である。昨夜の突然の夕立には驚いた。傘を持って散歩中だったが急いで引き返した。

9月21日 3カ月ぶりの山だったが、真山神社横の登山入り口に「クマ出没注意」の標識。売店にいた巫女さんに訊くと「今年になって県の人が来て標識をつけていった」とのこと。男鹿には何百年もクマが出た記録はないし、今年もクマは出ていない。なまはげがいるのでクマもういない、と笑い話があるほどだ。近年たびたび目撃例があり、男鹿にもクマがいるとすれば県内で安全なのは大潟村のみだ。ここには日本一低い山(10メートルぐらい)がある。もうあそこに登るしかない。

9月22日 4連休最終日。退屈せずに過ごせた一番の要因は久しぶりの山行と夜の映画と本とひとり酒。映画は大型テレビでアマゾンプライム見放題。その日の気分で過去の名作をチョイス。本は奥田英朗一本やりだ。この人の長編は大好きだったが、読み逃していた過去の連作小説集を5冊(!)一挙にまとめ読み。エンタメ小説の王者の世界にどっぷりはまった。ひとり酒はホッピーとの出会いが幸運だった。この安酒は今の自分の気分に実にピッタリ合っている。つまみを選ばないしカロリーもプリン体も心配なし。怖いものなしだ。

9月23日 この2カ月ほどラジオを聴いていない。朝、仕事場でラジオを聴きながらコーヒーを飲む。コーヒーは1日1杯しか飲まないので丁寧に豆を挽き、ラジオはNHKFMで音楽を聴く。これが朝の儀式だったのだが、なぜかラジオを聴くのをやめていた。コロナ禍のTVワイドショーの喧騒雑音が煩わしく、音がみんな騒音のように感じられていたせいかもしれない。それが今日からラジオを聴き出した。。

9月24日 毎日のように外に買い物に行く。ほとんど食料品だ。意識的に買い物にでも行かないと「ひきこもり」になってしまうからだ。遠出(?)して駅前駐車場に車を停めて、駅前周辺をうろつくこともある。駅まで行くといろんなものが一挙に手に入る。マスクと買い物袋を小さくたたんで携行できるポーチのようなものが欲しいのだが、これはどこにも売っていまい。

9月25日 ウィキペディアは毎日のように利用している。最近はクリックするたび「継続活用のための協力金要請」の画面が出る。毎日利用しているのに知らんふりも申し訳ない。とりあえず1000円のカンパ。これからも機会を見てはカンパを続けたいと思っている。
(あ)

No.1022

ララピポ
(幻冬舎文庫)
奥田英朗

 これは面白い小説だった。もともと大好きな作家だが、連作小説集はこの人の得意分野。短編や中編を、その都度、主人公を変えながら物語が進行していく。この連作(群像)小説というジャンルが私好みなのだ。各主人公のキャラクターが秀逸だ。本書は6話で構成されているのだが、それぞれの主人公は、対人恐怖症のフリーライター、NOと言えないカラオケボックスの店員、AV・風俗専門のスカウトマン、ポルノ小説専門の純文学にあこがれる老作家、AV女優になりたがる普通の高齢主婦、デブ専裏ビデオ女優のテープリライター……。こうしたどうにもならない下流の人々の日常を描きながら、物語は主人公を変えながら、どんどん破天荒に展開し、最後にはすべての登場人物たちが大団円(謎解きのようにリンク)のクライマックスを迎える。実に見事で、これぞ小説家と構成の見事さに拍手したくなる。これまで読んだ小説の中では、奥田の書いた長編小説『オリンピックの身代金』がベストスリーに入る傑作だと思っているほどの大ファンなのだが、見逃していたこの本も見事に面白かった。本の惹句に「下流文学の白眉」という言葉があった。この言葉も秀逸で好きだなあ。

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