ミヤマヨメナ(深山嫁菜)
キク科
ふもとの所々に群落があり、
暗い所に咲く
だれも通らない林の奥でひっそりと、まるで見られるのも恥ずかげにその花は咲いていた。古い記憶を懐かしんでいるのでもいるのであろうか。そこには影をとどめる明るい光もなく、ただ、うす紫色の淡い光が花たちをそっと包んでいた。この静かな物音一つしない世界で、身動きもせず咲いている花を見て、沈黙は、ある意味では燃えさかる情熱を表現する最高の方法かもしれないと思った。それ程、花は煮えたぎる情念を強く抑えているように見えてならなかった。 (本文より一部抜粋)

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