Vol.916 18年7月7日 週刊あんばい一本勝負 No.908


白内障手術終わりました。

6月30日 仕事がひと段落。この15年来(!)、やろうとしてやれなかったことをすることにした。冷蔵庫のクリーニングである。事務所二階に鎮座しているのだが、毎日お世話になっているのに何一つ恩返しをしていない。ということで大型冷蔵庫を引っ張り出し、背面のふき掃除。それから中身を全部外に出し、一段ずつきれいに洗う。全て元通りに納め終わったのは二時間後。思ったほど時間はかからなかったが、精神的には曰く言い難いほどの安堵と清涼感と満足感に包まれた。

7月1日 モモヒキーズ有志(といってもいつも3人だけ)のシャチョー室食事会。Sシェフのサムゲタンがメインで、手羽先で代用したナンチャッテ・サムゲタン(命名は私)。これが美味しかった。翌日もちょっと味を濃くして食べてしまった。近所のスーパーで買える食材でしか料理を作らないというSシェフのポリシーはかっこいい。ところで通風だが、原因がわからずイラついていたのだが、Sシェフとの議論で「水分不足」という結論に達した。これは説得力がある。暴飲暴食はしてないし、ストレスはあるものの毎日散歩は欠かしていない。暑くなり汗をかいているのに水分補給に無頓着だった。昨日からOS1や麦茶を積極的に飲むようにしている。

7月2日 月曜日はなんのかんのといっても1週間で一番忙しい。出たばかりの『「星地名」縄文紀行』の個人注文もけっこう多く、発送作業だけで半日とられそうだ。水曜日に右目の白内障手術がある。でもその前後が打ち合わせや来客で埋まりつつある。手術の前後に配慮して「空き」を作るべきなのだろうが、かまわずに予定を入れている。こと白内障に関しては「手術」という言葉がちょっと実態とそぐわない。眼帯で顔半分が覆われるのは丸一日。翌日からは普通に眼帯なしで生活できる。歯医者に行くほうがよっぽど苦痛に思えるほど。でもまあ何があるかわからないから油断は大敵だ。

7月3日 連日ものすごい暑さ。冷房のせいか近年は「暑い!」とめげてしまうような日がほとんどなかった。こんなに暑いと感じるのはこちらの衰えが原因か。数年前まで、どんなに暑くても日中に散歩に出ていたような記憶があるが、今はとても無理。陽が落ちて熱気がさった町にソロソロと出ていく。とくにシャチョー室は西日があたり日中は40度近くになる。新築当時、この大欠点に気が付いて二階は「開かずの間」になってしまった。いろいろ改造、リフォームし夏でも冷房さえあれば過ごせるようにした。風もよくとおるし、一日中でもこの部屋に閉じこもっていられる。

7月4日 こう暑いと風呂より断然シャワーのほうが気持ちいい。散歩から帰ってきて汗でびしょ濡れの体をシャワーでサッと洗い流すのは快感だ。散歩の後のアイスというのもたまりません。でもアイスは「食べない」と決めている。コンビニで売っている「フルーツどっさり生菓子」を冷凍庫で凍らせて食べている。こんな面倒くさいことをするのはモモヒキーズの山仲間に「一生アイスは食べないことに決めた」(太るから)とホラを吹いてしまったから。でもこれもけっこうカロリーは高そうだ。

7月5日 右目の白内障手術完了。手順が分かっているせいか、なんだかイやな感じ(身構えるから)で、術後も目に違和感が強く残った。今日、眼帯を外す。手術そのものはあっという間に終わるが、その前後の検査や目薬のさす回数がハンパない。昨夜、風呂洗いをしていたら、残り湯にビッシリ小さな虫が無数にうごめいていた。ボウフラのような茶色い虫で水面が赤くなるほどの数だ。ガシガシとたわしで洗い流したのだが、なぜ今ボウフラが……と不思議に思った。これは眼帯をしている術後の右目から見えている「幻影」だ、と気が付いた。よく見ると風呂にボウフラは湧いていなかった。

7月6日 白内障の手術は終わったが病院通いは続く。手術で劇的に目がよく見えた、とはよく聞く話だが、当方、そんな実感はない。昔からの古いメガネが今の視力と合わないためだ。新しいメガネをつくらなければならないのだが、まだ視力が安定していない。でも「目」が商売のようなものなので眼科医院から近い駅前のメガネ屋で急きょ新しいメガネをしつらえる。1カ月後には視力が変わる可能性もあるが、1カ月も待つわけにいかない。駅前JINSで医師の処方通りに作ってもらったら5000円しなかった。便利な世の中だ。
(あ)

No.908

ニュータウンは黄昏れて
(新潮文庫)
垣谷美雨

 読書ではフィクションよりもノンフィクションを好んでいる。一昔前のよくわからなかった「事件・事象」が、小説という形で整理され、語られるのが好きになった。例えば、バブル。あるいは結婚難、少子高齢化、老後や定年、経済や政治の問題など、ほどほど事件から時間が経過し、客観化できる状況のなかで「物語」になったものが、テーマとしては好みだ。ノンフィクションでは過去になりすぎてリアリティが感じられない。物語だと時間の経過が逆に説得力をます役割を果たす。戦後の日本の中流層を切り取った物語を読みたい、と思っていたら、この作家と出会った。まったく知らない作家だが、私より10歳年下。戦後中流層の小さな家庭の問題を描きながら、それが家族小説でなく社会派エンターテイメントになっている。テーマで選んだ作家だが、本書はバブル前夜に買った分譲団地のローンに苦しむ、どこにでもいそうな家族の物語。ところが物語は途中から息子の結婚問題がメインに。最後はちょっとエンタメに走りすぎて、なんだか味が薄くなってしまった。

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