Vol.563 11年8月27日 週刊あんばい一本勝負 No.557


ようやく外に出て……

8月20日(土) 友人と二人、本荘アリーナへ。生まれてはじめてのヨット競技観戦。インターハイである。快晴で日本海は輝いていた。鹿児島や大分といった九州の高校の旗が目に付いたが大会は「北東北」インターハイ、これってどういうこと? 午前中いっぱい観戦して午後からは酒田市の土門拳記念館で石川直樹の写真展。昼食は久しぶりに大松家。そのあと鶴岡に移動して藤沢周平記念館を見て、さらに庄内町まで移動、清河八郎記念館を見学。ここでタイムアップ、庄内映画村には残念ながら行けなかった。1日で何もかも片付けてしまおうという貧乏人根性の限界でした。

8月21日(日) 山の仲間たちと森吉山滝めぐり。幸兵衛滝3か所と安の滝の計4カ所をへめぐった。滝めぐりと言ってもみんな山のなか、普通の山歩きとなんにも変わらない。傾斜がきついので普通の山より疲れたかも。先週の川遊びといい滝めぐりといい、水ってホント活力を与えてくれる。水のそばにいると人間はなんとなく安心する動物なのかも。後半は雨。これも水だ。

8月22日(月) ホンダのアコード・ワゴンに乗っているのだが昨日、森吉山に行く途中で走行距離が30万キロを超えた。買って7年、前任者から引き継いで乗りはじめたのが3年前だった。その時ですでに28万キロだったから前任者は年平均7万キロ近く乗っていた勘定になる。それはともかく、満身創痍で30万突破を機に乗りかえることにした。こんなきっかけでもなければ乗り心地がいいので、いつまでもこのボロ車に固執してしまいそうだ。車検も半年ごだし、これが潮時かも。それにしても30万って、信じられる?

8月23日(火) 暑かったり雨だったり右足首が痛かったりで、それを理由に散歩時のストレッチをサボっていたが、昨日から本格的に再開。涼しくなったせいもあるが、山の友人たち(先輩)のトレーニング内容をきいてショックを受けたせいだ。スクワット50回腕立50回腹筋50回を3セット、なんて軽々言われると目眩がしてくる。その10分の一もできない。先輩たちに少しでも近づきたい。各30回ずつ2セットぐらいこなせれば達成感はあるだろうな。でも現実はそう甘くない。

8月24日(水) 夜中までパリの世界柔道を観てしまった。眠い。いつもは12時前には寝てしまうのだがスポーツを観はじめるとダメ。ノンフィクションもスポーツものが好きだし、最近はプロ野球を観るのがテレビでは一番好き。昔はこんなに夢中というか熱心ではなかったような気がする。自分の中の何がスポーツにこうも敏感に感応しているのだろう。今の夢は陸上競技を「生」で観ること。先日は高校生のヨット競技を観に行ってきた。スポーツとしての登山競技も一度は観てみたい。マラソンやツールドフランスもたまらない。

8月25日(木) 連日の雨、なんだか梅雨に逆戻りしたような気分の日々。雨だと外に出る機会がガクンと減ってしまう。ところで車の話。30万キロを超え、来年2月に車検で、いよいよ新しい車を購入することにした。が、納車は半年後になるそうだ。車って売れてるじゃん、と驚いたのだが、特定の車に人気は集中するのだそうだ。そうか、おれが選んだ車は人気車だったのか。ま、それはともかくそれまでどうすればいいのか。今は代車に乗っているのだが、結論は今まで通り30万キロアコードを徹底修理して乗り続けることに。

8月26日(金) 9月にはいったら少し長い夏休みをとれそうだ。が、つらつら考えるに、どこに出かけても結局は夜、酒を飲んで終わり。「酒を飲む」という一点で想像力が止まり、土地への興味や愉しみがちっとも湧いてこない。信州の山々のトレッキングも友人と計画していて、こちらは今から楽しみでわくわくなのだが、一人旅への意欲がいまひとつなのだ。一人旅も夜の酒も若いころはそれが旅の絶対条件のようなところがあったが、もうどちらも魅力が薄く、できれば避けたいと思うほど。誰か年相応の旅の楽しみ方を誰か教えてくれないかなあ。
(あ)

No.557

ふたたび、ここから
(ポプラ社)
池上正樹

短期間に何度も現地に足を運び、事実を客観的に伝え、事大主義や露骨な正義感、ことさらな美談や醜聞もさけた震災本である。副題に「東日本大震災/石巻の人たちの50日間」とある。小学校校長、町内会長にNPO主催者、ボランティア医療団、大衆食堂のお母さん、酒蔵主人に病院関係者……彼らの話を丁寧に聞き、その等身大の姿と声を淡々と静かに代弁する。取材対象者の選択は、著者のライフワークである「ひきこもり」のネットワークから紡がれたもの。行間から取材対象者との間に「絆」のようなものが感じられるのは、そのためかも知れない。奇跡的に金庫に残っていた「卒業証書」でおこなわれた門脇小学校の卒業式が印象的だ。今春、定年で最後の卒業式となった鈴木洋子校長の、万感の思いを込めた祝辞は胸を打つ。後にサプライズがまっていた。卒業生たちが一斉に校長に向きなおり、手書きの卒業証書を校長に手渡すのだ。卒業生代表の校長への感謝の言葉も感動的だ。椅子さえ満足にそろわない粗末な卒業式を、「世界一素敵な卒業式だった」と著者は記している。「震災前は自分のために仕事をしていた。震災後は人のために働く」と決意する割烹料理人に、シンプルながらも深みのある書名の輝きが重なった。 (本稿は日本農業新聞の読書欄のために書かれた書評を抜粋し、再録)。

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