Vol.450 09年5月2日 週刊あんばい一本勝負 No.445


後半戦の英気を養うGWです

 GWが来ると、今年も半分が終わった、という気分だ。そして、時が経つのは早いなあと嘆息する。思えばGWはずっと嫌いだった。この時期になると、なぜか「うつ的兆候」が出てきたのだ。いつもいつもこの時期には深く落ち込んでしまうのが常だった。
 それがここ数年、逆に、早く来い来いGW、という感じ、である。
 山歩きをするようになったからだろう。

 GWはいつもシャカリキに仕事をしていた。これからの後半戦に備え、みんなが遊んでいるすきに「後半の予習」をやっておこう、というまさにこずるい優等生だった。一人でモクモクと仕事をしていると、集中力はどんどん研ぎ澄まされていく。能率が上がるのだ。が逆に、孤立感と焦燥感も募っていく。こんなバカなこと、いつまで自分はやっていくの……自己懐疑と自己嫌悪と孤立感のスパイラルがはじまってしまうのだ。

 そんなことから抜け出したくて、3年ほど前からGW中は積極的に「仕事をしない」ことに決めた。極力外に出るようにしたのである。
 前哨戦で「今年のGWはどこに行くか」を決める計画段階から、もうワクワクははじまっている。別に山歩きでなくてもいい。でも山と出会わなければ、頭はともかく身体が付いていけなかっただろう。ようするにフットワークを山歩きで身に着けたのが大きい。身体が軽くなりフットワークが良くなると、例えばホテルが取れなくとも、まったく落胆しない。どこかでキャンプするか、なんて自然に考えてしまうのだ。雨の天気予想でも、カッパと長くつの機能を確かめる絶好の機会だな、とニンマリするし、おにぎりかパンさえあれば食べ物の不平不満は、まったくない。とにかくいろんなことから自由になった。旅先ではipodの音楽と数冊の本さえあれば無聊をかこつこともない。何日でも一人でいれるし、行く先々で設備の整った日帰り温泉に入るのも楽しみだ。

 その昔、GW中はけっこう来客が多かった。それはそうだろう。東京などで働いている人たちが帰省する。懐かしくてずっとこの場所にコケが生えたように居続ける無明舎を訪ねてくる。彼らにとっては年に1度の帰省でハイテンションなのだが、こちらは日常そのものだ。そんなうざったさから逃れたい気持ちも強かったのかもしれない。
(あ)

No.445

アメリカは今日もステロイドを打つ
(集英社)
町山智浩

 著者前作の「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」があまりに面白かったので、ついつい本書にも手が出てしまった。これはもう「笑える書名」の一線を越えてしまった感じですね。タイトルの冠には「USAスポーツ狂騒曲」とまじめなワンフレーズもあるが、こっちを書名にしていたら、う〜ん、やっぱインパクト弱すぎだったろうね。本書は前書より内容的には数倍パワーアップしている。圧倒的に面白い。前回のアメリカ全般の面白話より、逆にアメリカ・スポーツに限定したことが成功したようだ。それにしてもアメリカのスポーツマンたちのあまりにめちゃくちゃ、極端、下品、無教養ぶりには驚いてしまう。何の教養もない大男にある日突然大金が入る。そうなるとバカはどのような行動をとるか、まるでそんな動物の見本市である。帯にもはっきりと「スポーツバカ大国アメリカ」と書いてるように筋肉ムキムキ男たちの果てしないバカぶりには笑うしかない。本文に「生たまごを飲む」ことを世界中に流行させた男の話がある。ロッキーなんか試合前に必ず生卵5,6個をコップに入れて飲む。なんとなく精がつきそうなイメージだが、そのブームを作ったのもアメリカ人で、ファストフードや肉食の好きなアメリカ人に警鐘を鳴らす意味で生たまごや野菜摂取を呼び掛けた結果なのだそうだ。

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