Vol.1290 2025年9月20日 週刊あんばい一本勝負 No.1282

「書道」の情報がもっと欲しい

9月13日 東京に行かなければならない用事ができた。神保町周辺のホテルは2万5千円台が「普通」。コロナ禍前は1万円ちょっとで泊まれたのに。2泊する予定なのだが、宿代だけで5万円、などという土地に行くのはさすがに勇気がいる。そこで新幹線の途中駅、大宮駅周辺で宿を探すと、みな1万円台前半ではないか。大宮から東京駅までは新幹線で25分。仕事場から県立図書館まで行く時間じゃないか。こんな形の旅が可能だったのだ。これからはこれをルーチンにしよう。東京行が増えそうだ。

9月14日 70歳を超えてから「爪がのびるのがはやい」。月に2,3回は指の爪を切り、足指は月に1回だ。最近はしょっちゅう爪を切っている気がして、爪のことが頭を離れない。足爪に関しては、山に行くようになった50代後半から、登山靴に引っかかるので、よく切るようになった。デブなので、足の爪を切るのもひと騒動だ。足爪切りの専門家が近所にいれば、まちがいなくお金を払ってでも行くのだが。

9月15日 3連休はずっと「原稿書き」。10月からはじまる新聞連載のため、そのラフ・スケッチのようなものを作っている。書きたいことは山ほどある。あり過ぎるため文章がとっ散らかって、まとまらない。能力がないのに高望みする。自分に下駄をはかせて1センチでも背を高く見せようとする。編集者におもねって読者に媚を売る。自分の原稿はみんなそれらに当てはまる。恥ずかしい。

9月16日 昨日、小学生の子供を含む3名が鳥海山で遭難、というネットニュース。まだ全貌はわからないが、どうやら鳥海湖付近で3名は無事捜索隊に救助されたようだ。遭難したのは32歳の東京の男性と、その姪っ子(12)と甥っ子(9)。9歳の男の子は体力の消耗が激しくヘリコプターで救助されたという。鳥海山はかなり難易度の高いハードな山だ。たぶん下山の体力まで計算に入れず、エネルギー枯渇状態で陥って動けなくなったのかもしれない。プロのガイドが一緒ならともかく、親族でのパーティとなると、やはり鳥海山を見くびった、と言われてもしょうがない。私にはもう無理な山だが、山はやっぱり怖い。

9月17日 いつも行く床屋さんは混んでいて、終わるまで3,4時間かかる。その待ち時間がもったいなくて今日は浮気をしてしまった。浮気先はその店主のお姉さんがやっている理容院で、広面からはかなり離れている。お姉さんはよく広面の弟の店に手伝いに来て、髪を切ってもらったことが何回かあるから安心だ。社交的でおしゃべり、陽気な50代の女性なので、気持ちよく1時間半、楽しい時間を過ごした。

9月18日 散歩の途中から急に雨が降り始めた。あきらめて引き返してきた。少し大きめのお金を郵便局でおろす必要があり、いきなり行っても「オレオレ詐欺云々」で尋問され面倒くさそうだ。「今日は必要ありません。明日お金を受け取りに来ます」と「余裕の2日間作戦」を考えたら案の定、スムーズに事は運んだ。寝巻を長袖に替えた。暑がりなのでまだ半そででもいいのだが、朝がた寒くて目が覚めるようになった。仕事場ではまだクーラーを使っているが、やっぱりもう秋なのだ。今年はもうお正月まで長袖が必要ないな、とほざいていたのに、これからは雨が降るたび冬に近づいてくる。「大人の休日倶楽部」でチケットを買いたいのだが、駅の窓口で「ネットオンリーの切符です」と言われた。家でパソコンをいじるがうまくアクセスできない。なんだか面倒くさいことばかり。

9月19日 芸術といわれる分野では「書道」が好きだ。書道という芸術ジャンルをもっと知りたいのだが、絵や音楽や踊りなどと違ってマイナーな世界(ビジネスにならない)で、展覧会などもこじんまり、情報がこちらまで届いてこない。最近、購読紙を毎日新聞にかえた。どうやら毎日新聞は「書道好き」な新聞のようで、しょっちゅう「書」の情報が載っている。これはうれしい。今日の新聞にも全国の書道展情報と、仙台で開幕する自社の地方巡回展の記事。毎日新聞社は「毎日書道会」というものを組織しているようだ。私には何人かの書道家の「推し」がいる。この人の展覧会があると、たとえそれが九州でも出かけてしまう(ような気がする)。アイドルの「推し」をバカにしていたが、自分もけっこうミーハーなことが分かってしまった。

(あ)

No.1282

科学の扉をノックする
(集英社文庫)
小川洋子
 本のカヴァーの装丁を「南伸坊」が描いていると、からなり確率で内容は無視、買ってしまう。悪い癖だが伸坊がカヴァーを描いてる本が面白くないはずはない、という「偏見」が抜きがたくある。本書も伸坊のカヴァーがきっかけだ。かわいらしく、ユーモラスで、かつ上品なイラストに一発でやられてしまった。書名もいい。こんな本を読みたかった。「宇宙」や「鉱物」、「核とDNA 」「粘菌」「遺体科学」といった難しい科学の世界を、そのトップレベルの研究者たちを訪ねて、文系の小川が話を聞く、という企画だ。もうこの時点で本は売れるに決まったようなものだ。訪ねた科学者7名だが、最終章に登場したのが「続木敏之」という人物だ。どこかで聞いたことのある名前だなあ、と思ったら元プロ野球選手で、現在は阪神タイガースのトレーニング・コーチだ。一人だけちょっと毛色が違うような気もするが、テーマは「肉体と感覚 この矛盾に挑む」だ。やはり問題は科学なのである。野球のトレーニング科学は他のスポーツよりも遅れている。ものすごく封建的な世界と思い込んでる人も少なくない。私もその一人だ。うさぎ跳びや水泳禁止(肩を冷やす)、水飲みはダメ、という世界の代表が野球だった。それが今はまったく別物で、科学トレーニングの導入が常識になったのだという。いずれの科学者へのインタビューも見事だったが、自ら「阪神ファン」という著者の続木へのインタビューが一番面白かった。

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