Vol.1058 21年4月10日 週刊あんばい一本勝負 No.1050

「自舎保存本」を求めて黒石へ

4月3日 週末は書斎と保管庫の本整理。保存本ストックがそれなりに固定化(ゴールが見えてきた)してきたので、それを核にして周りの本も大幅に整理(処分)し、すっきりしたい。自分の身の回りにどんな本があり、読んでないものと読まなければならないもの、もう必要のない本、役目を終えた本など、書架を簡素化することで可視化したい。

4月4日 ノンビリした日曜日にはならなかった。選挙があった。投票所まで歩いて行ったがマスクを忘れて引き返す。サラダを作るモッツァレラ・チーズを買う予定だったが大きなスーパーまで買いに走る羽目に。昨日から続けている本整理の途中で事務所は足の踏み場もない。そこにSシェフから夜の会食の誘い。シャチョー室宴会をやろうというのだ。なんだか忙しくなってきた。まずは本を片付けて、宴会の場所を確保しなければ。

4月5日 保存本集めも一段落。保管庫と書斎の本整理も昨夜、宴会直前にどうにか形が付いた。あとは「50年史」の年表作成が残っているが、これとて来年まで完成させればいい仕事だ。春の陽気に誘われて、ちょっと長いひとり散歩にでも行ってみるか。選挙の喧騒も終わったし。

4月6日「引っ越し大名」という映画を観た。先日は「決算!忠臣蔵」だし、今読んでいる本は「大名格差」。平泉・藤原4代の祖、安倍一族の勉強もしている最中だし、安東愛季の時代への興味も尽きない。歴史に興味を持つのは「現代のスピード」について行けなくなった老人になった証拠、と喝破した作家がいたが、なるほどそうかも、と素直に自分を振り返り首肯できる。歴史は動かない。何度でもそこに立ち返ることができる。

4月7日 酒を呑む機会がめっきり減った。朝はがっつり食べ、昼はリンゴ・カンテン、夜は冷蔵庫のあまりもの晩酌で終わり。年のせいかもしれないが夕食が1日のメインの食事という感覚が薄れてしまった。早く夕食を済ませて事務所で仕事や野球・映画鑑賞したい。それはカミさんも同じで、さっさと自分の仕事をしたいのが目に見えている。酒を呑みすぎると眠くなり、その夜の自由時間が制限されてしまうのが嫌なのだ。

4月8日 自舎の保存本を求めて青森・黒石へ。ここの印刷所はうちの本をずっとやってもらっていたところ。うちの本の約半分はここの手になる。早起きして3時間余りをかけ、じっくり本を漁ってきた。これで保存本は約9割、集まった。あと50冊ほど欠けているが、すべて書名ははっきりしているので、いずれ古書店あたりに出回るのを待つしかない。

4月9日 朝起きたら雪。これが「春の雪」というやつなのだろうか。昨日、黒石の印刷所から分けてもらった自舎本の整理に昨夜は忙殺された。プロ野球中継もつけっぱなしで見逃してしまった。でもなぜいま自分の過去を振り返るような行為に、これほどまでに燃えているのだろう。自分のつくってきた本を書斎に並べても、「うっとり」よりは「悔恨」のほうが先に立つ。一所懸命、情熱を燃やして本を集める。たいした理由はないのだろうが、なんだか少し空しくもなってくる。 
(あ)

No.1050

混迷の国ベネズエラ潜入記
(産業編集センター)
北澤豊雄

 ベネズエラは南米の国で日本の国土の2・5倍の面積と人口2800万人。豊富な石油資源と野球が盛んな国で「南米で最も豊かな国」だ、とばかり思っていた。それが本書を読むと、まるで違っていることにショックを受けた。その極端な社会主義的政策でアメリカの経済制裁を受け、19年以降はインフレ率160万%(!)で最低給料は200円(!)、400万人の国民が国外流出している「最悪の破綻国家」に成り下がっているというのだ。いまは入国も難しく、治安も最悪で、外国人は殺される可能性が極めて高い地域だ。そこにあえて乗り込んだ日本人ジャーナリストの旅行記だ。著者の勇気というかやけっぱちな行動力には感嘆するしかないが、「あれ、聞いている事実とはちょっと違うぞ」という謙虚な反省もいたるところにあり、そのへんが本書の面白いところだ。いつか行ってみたいと思い続けていた国だが、本書を読んでベネズエラ行きはあきらめた。巻末に長い付録として、メキシコからアメリカに移民する人たちのルポ「野獣列車を追いかけて」が併録されている。これは明らかに蛇足だ。ベネズエラだけで十分面白い本だ。

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