No.90
ここから本格的な雪山がスタート
[保呂羽山(438m・横手市――2014年12月7日)]
 スノーシュ―を準備、雪山仕様の完全装備で横手市に向かう。目的地に近づくに従い、雪は深くなる一方だ。さすが豪雪地帯。最初から雪山登山とわかっているので準備は万端。どんな豪雪でも大丈夫だ。
 新雪を歩くのは気分がいい。出発前から心が華やいでしまう。
 ようやく雪山シーズンがはじまった。
 それにしても保呂羽山という山名は秋田には似つかわしくない格式の高い響きがある。アイヌ語のようだとは想像できるが山名についてはいろんな説があるようだ。「ホロ」はアイヌ語で大きいという意味。集落の端(羽)にある大きな山という説がある。この周辺に鷹が多くいたので「タカのハネ」からの命名という人もいるが、この意味がよく分からない。なんとなくだがアイヌ語説のほうが説得力がある。

 「保呂羽山少年自然の家」前が登山口だ。雪山なのでどこから登っても楽しいのだが、雪にはしゃぎすぎて事故につながるのには要注意だ。どうしても雪はフカフカのイメージが強く、転んでも安全なような気がしてしまう。余計な危険は避けたほうがいい。特に怖いのは「雪庇」だ。無難な夏道を選んで慎重に登り始める。
 思ったよりも雪は深い。先頭でクマ避けの役割も果たしてくれるSシェフ一人にラッセルを任せるのは無理だ。膝まで埋まるほどの雪だ。積雪70センチはあるだろう。一人10分ぐらいでラッセルを交代、もくもくと登り続ける。
 新雪といっても雪が重い。かなり湿気を含んでいる。身体から汗が噴き出してくる。これは予想外の展開だった。

ずっとこんな雪

リーダーはシャベル持参だ
 わずか438mの山といっても雪山ではお気軽ハイキングとはいかない。冬シーズン初の雪山登山は予想以上のハードワークになってしまった。
 保呂羽山は山全体が御神体とされる格式のある山。古来より霊山として尊崇されてきた。山頂付近にある破宇志別神社は延喜式内社のひとつだ。927年にできた律令の施工規則である延喜式の神名帳に載っている由緒ある神社である。秋田県内には3カ所しかないうちのひとつなのだ。
 今日はこの神社に今年の山登りの感謝と来年の山行の安全祈願をする、という目的もある。
 けっきょく女人堂に着くまで2時間20分を要した。ここからは危険な鎖場などが山頂まで連続で続く。さらに山頂に至る直前の道は切れ尖った要注意道だ。
 全員がラッセルで疲労困憊。本日はここで終了ということになり、女人堂の軒下を借りてランチタイム。いやあ、しんどかった。
 登りに2時間半もかかったが、ラッセルの必要のない下山は1時間ほどであっけなく戻ってきた。
 温泉は少し足を延ばし、由利本荘にある「ぽぽろっこ」。ここの道の駅「おおうち」は産直野菜や地元産の菓子類も充実している。いつも人でいっぱいだ。風呂に入る前に売り切れが怖いので「三角あぶらげ」や地元野菜を買ってから、ゆっくりお風呂に入った。

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