No.69
太平山はやっぱりハード――新人・キジ撃ち・遭難者
[太平山(1170m・秋田市)――2014年5月25日]
 冬の間は太平山といっても登り口の違う前岳・中岳が専門だが、今日は旭又コースの奥岳だ。雪が解けなければ登れないコースで集合は現地登山口6時半。それでも駐車場はいっぱい。いよいよメインの登山口がオープンである。
 登り始めが遅いと、駐車場が満杯で、車が止められなくなる。事前の情報によると今日は清掃登山のグループ登山も計画されている。集団登山とのバッテングを避けるため、秋田市内の山にもかかわらず早朝集合となった。さらに、今回はいつものモモヒキーズ・メンバー以外にも大学生や県北部から、「初太平山」という人たちもいて、こちらもなんとなく緊張する。いくらベテランとはいえ、太平山は難コースで知られる山なので、油断は大敵、何が起こるか分からない。コンデションさえよければ約2時間で登れる山なのだが、今日はあいにくの小雨模様。
 小雨の中を出発。何度来ても太平山は容易な山ではない。本格的な「山登り」の範疇に属する山なのだ。雪もたっぷり残っていた。
 歩くとすぐに雨具で身体が蒸され、暑苦しい。歩けども歩けどもなかなか中間地点の「御手洗」が遠い。そういえば、この山を登りながら、楽しい、と感じたことは少ない。いつも、この山さえクリア―できれば、他の山も楽勝なんだから、がんばろう、というトレーニングのような気分になってしまう。何年もかかって、何十回も登っているうち、わずかだが、そのへんの力の抜き具合は少しは分かるようになってきた。
 結局、登り4時間もかかってしまった。それでなくとも木の根っこや、むき出しの石ころも多く歩きにくいうえに、雨で地面がぐちゃぐちゃだ。初心者も多いので無理はできない。初心者たちを隊列の中に包み込むように、慎重に上へ上へと登っていく。上はけっこう雪が残っていて、軽アイゼンを忘れてきたのが悔やまれる。

小屋のテラスで昼食

御手洗地蔵も寒そう

 下りもハードだった。なんどか太ももに痙攣がきた。ゴールは遠い。約3時間の悪戦苦闘で、着いたときは息が上がっていた。明日はもう確実に筋肉痛だ。
 下山途中、30人近い集団で登ってくる清掃登山隊とすれ違った。山中、大声で怒鳴り合い、ペチャクチャおしゃべりに余念のない、なんだか統制の取れていないヘンな集団だった。そこのひとりの男性が、私たちに向かって突然、「命令ばっかりされて、頭にくる」とグループの不平をグチりだしたのには驚いた。見知らぬ人である。すれ違うグループのおしゃべりのうるささに、「少し静かに!」と2度ほど注意したのがカエルのつらに小便。わがままで傍若無人な集団に、「大丈夫なの、あのグループ」と仲間たちと心配したほど。実は下山後、このグループの一人が遭難し、山中で一晩過ごし、翌日未明、自力で登り口駐車場まで戻った、という。やっぱり、あれじゃ事故も起こるよな、と正直思ったものだが、山は怖い。他山の石もって玉を攻(おさ)むべし。
 温泉は「ザ・ブーン」。風呂に入るのが楽しみよりもおっっくうなるほど、疲れた。それにしても今回もちゃっかりと山中でキジ撃ちした。山に入るたびに「キジ撃ち」するのが定番化している。ウンチは山でするもの、と身体が勝手に反応しはじめている。これはまずい。と同時に遭難者が出るほど太平山は懐深い山なのだが、キジ撃ちのために横道にそれても、モモヒキーズの最後尾責任者のOさんは、必ず待っていてくれる。だから遅れても焦って追いかけて道に迷ったりする心配がない。で、そんなOさんに甘えて、じっくりキジ撃ちに専念してしまうジブンも大問題だが。

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