No.294
熊野長峰・ここでも2坐、掛け持ちは高館山
[熊野長峰・430m・山形鶴岡市――2024年4月4日]
 秋田はまだだが、もう雪のないはずの庄内の山なら登れるのではないだろうか、と思いついた。よし行ってみよう、と決めたら、今度は急に仕事関連の連絡がメールや電話で入り出した。世のなかうまくは行かない。外に出るとパソコンはないし、ケータイも持っていない。でももう気持ちは遊びに切り替わっている。
 山形酒田市の友人のカメラマンSさんと相談して、羽越本線羽前水沢駅で降りる形県鶴岡市の「熊野長峰」に行くことにした。朝5時起きだ。天気は薄曇りで山登りには適している。もともと修験者たちの霊場のあった山でハッチョウトンボやギフチョウなど動植物の宝庫でもある。摩耶連峰の北縁に位置している。登り始めの30分ほどはけっこう急な階段が続いて、そこを登り終えると尾根筋に出て、あとはもう山頂、という小さな山だった。花ままだダメで、ショウジョウバカマだけが我が物顔で咲いていた。カタクリさえ咲いていないのだから、完全に選択をミスってしまった。山頂の展望台でランチをする予定だったが、あまりに早く着き、見る花もなく拍子抜け。おまけに楽しみにしていた展望台からの日本海、飛島、男鹿半島も薄曇りの中、何も見えず、このまま下山してすぐそばにある「花の高館山」にチャレンジすることにした。

登山口にある大谷貯水池

山頂にある展望台
 高館山は花の宝庫で、ここからは車で20分ほど移動した場所。登り始めると、いきなりミスミソウ(雪割草)の群落があり、マキノスミレやイチリンソウがいたるところに咲き乱れていた。同じ庄内の近場の山でもこうも違うものなのか。
 温泉はなかなか思うようなところがなく、やむなくホテルのシャワーで間に合わせることにした。このところ温泉選びは苦労続きの連続だ。夜は友人夫婦といつもの町中華「香雅」で小宴会。たまにはこういう思い付きの連続山行もいいものだ。宿は定番のリッチ&ガーデンだ。
 翌朝、朝6時に起き、仕事のことが気になって、矢も楯もたまらず、事務所に帰ってきてしまった。本来なら今日は庄内で美術館やイベント会場に寄り道し、買い物をして、おいしいものを食べて、夜にゆっくりと秋田に帰ってくる予定だったのだが……。


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