No.279
森吉山・里は紅葉、山は雪山
[森吉山(1454m・北秋田市――2022年11月6日)]
 1週間前から天気予報は雨だった。でもそんなひどくはならないはず、というSリーダーの判断で山行を決断。まだ暗い東の空からきれいな朝日が昇り始めた。これで本当に雨が降るの。秋田市から森吉スキー場までは約1時間半。高速道ではなく下道(国道285)を使ったのだが、この道はロードキル(動物の路上死)が多い。注意して観ていたが結局は登山口に着くまで死骸はタヌキ1匹のみ。あきらかに例年よりも少ない。これはいいことに違いないが人口減やコロナ禍によって単に「交通量が少ないため」という裏事情によるものなのかもしれない。
 スキー場の中腹にあるブナ帯キャンプ場から歩きはじめる。この登山口の駐車場がもう真っ白。全体にうっすらと雪が覆っていた。出発して35分ほどで水飲場へ。良いペースだが周りの景色はすっかり紅葉が終わり、葉の落ちた裸木たちが寒そうに身をすくめていた。
 スキー場のゴンドラ山頂駅に来ると、急に雪が深くなった。雪目用のゴーグルもスパッツもかんじきも用意していない。紅葉は合わっているだろうなとは思ったが、まさか雪山とは想像もしていなかったのだ。アンダーパンツもはいていないので、雪が靴に入りこんだらアウトだ。とにかく石森まで行こうと進み続けたが、雪はひざ下まで深くなった。さらにその新雪の上にくっきりとかなり大きなクマの足跡までがついているではないか。彼等も冬眠を前にあせっているのだろう。

青空と雪のコントラスト

この雪の深さでは…

 そこで諦めて引き返すことにした。皮肉にも山からは遠くかなたに町や里山の紅葉がきれいに見えた。1400メートル級の山となると、もう冬なのだ。油断していたこちらが迂闊だった。準備不足は否めない。いさぎよく撤退するのが正解だ。
 それにしても山中ではずっと青空の好天候。森吉の高い青空と真っ白な雪のコントラストは心を浮き立たせてくれた。そして雨が降り出したのは、ようやく秋田市に帰ってきてからだった。天気予報もあまり当てにならない。

 温泉は阿仁前田の「クウィンス森吉」だ。露天風呂は休業閉店中だったが、広い浴場に客は我々だけ。ゆっくりあったまることができた。

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