No.241
本当に「雲ひとつない」鳥海山
[冬師湿原・由利本荘市・428m 2021年2月28日]
 湿原をスノーシューで歩くハイキング。冬師湿原の冬のハイキングは毎年恒例になっているのだが、真っ平らな平原をひたすら歩き続けるだけでなく、鳥海山が身近で、それを見ながら歩ける絶好のロケーションもその魅力だ。平原といっても歩いてみると、けっこう小さなアップダウンが続く。地図で見ると小高い丘の標高が400メートル台もあって、この湿原自体が鳥海山麓の高台にあることがわかる。
 このへんいったいは広大な牧野になっている。火山灰地なので田んぼにはできなかった場所だが、ここをぐるりと1周すると約6キロ。5時間ほどかけて回ってきた。
 それにしても昨日の雲ひとつない、青空にそびえるまぢかな鳥海山は圧巻だった。文字通り本当に「雲ひとつない」のだから、こんなことは地元の人にも珍しいのではないだろうか。森の中で三脚を立てて山の写真を撮っていた人に訊くと、「雲がないとアクセントがないので単調な山しか撮れない」と不満たらたらだった。

本当に雲ひとつない

雪原をゆく
 飛び跳ねて歩くカモシカの足跡が雪上にいくつかあった。どうしてこんなに歩幅の間隔があいているのか、不思議に思ったら、時を置かず、スノーもビルに乗った男たちが背中には猟銃を背負って現れた。なるほどこいつらが追い詰めていたのか。
 昼ランチは真正面に鳥海山の雄姿が見える小高い丘の上で。仲間が焼きリンゴを作ってくれた。美味しい。私自身は3週間前からダイエット中。そのせいかおなかの調子が今ひとつ。長い雪道歩きなので疲れたせいかキジ打ちを余儀なくされる。帰りも何度も道に迷いながら、それも楽しんで帰ってきた。たぶん明日の朝は、日焼けで顔はボロボロかもしれない。


 温泉は大内の「ぽろろっこ」の「楠の湯」。脱衣場で隣のヨボヨボ親父に、脱衣かごの位置をめぐって因縁をつけられた。酒に酔っているのかと思ったほど攻撃的で唐突に「お前、やるか」とすごまれてしまった。ちゃんと歩くのもままならない、小太り気味の80歳前後のジッコだ。その無謀な元気さに怒るよりも感心してしまった。こちらがドンとひと突きすれば、たぶんヨロヨロ崩れ落ちて、はては頭でも打たれると殺人罪に問われかねない。「ハイハイわかりました」とおとなしく引き下がったが、まだこんな不良老人がいるんだね。
 この温泉の土産売り場で「鯨ハム」(和歌山大地産)なるものをゲット。晩酌の肴に早速食べてみたが生臭くて食えたものではなかった。騙されてしまった不愉快な気分。鳥海山の青空が台無しだ。

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