No.154
今年の「靴始め」も男鹿真山
[男鹿・真山(565m・男鹿市――2017年1月15日)]
 今年の「靴始め」は男鹿真山。今年も、か。恭しい神事にはふさわしい山だ。このところ秋田地方は荒れに荒れている。今日も朝から吹雪、とても冬山に行く雰囲気ではないのだが「神事」(靴始め)に山は荒れるもの。気にしないで登り始めた。山頂までの距離は短いものの、ここの登りはかなり急峻だ。先頭のラッセルを交代しながら必死で登りだすうち、いつのまにか山は穏やかになり、風もなく、青空まで姿を見せてくれた。時折木々の合間からみえる海は鮮やかな群青色で、その遠くに見える白神山地は神々しいほどの白い光を浴びて輝いていた。
 石段やうっそうとした杉林を登ると五社殿につく。さらに杉や雑木林の緩い尾根を進むと八王子跡に出る。途中には首がない地蔵がいて、平坦な道や急坂を2度ほど登ると、杉木立に囲まれた真山神社の奥宮が鎮座する真山山頂につく。のだが雪山は外の景色を単調にする。逆に言えば「登ること」だけに集中できるのが雪山だ。

山の中はこんな感じ

榧木のもとに全員集合
 スノーシューを履いて雪山をラッセルすること2時間10分。真山に到着し、そこでランチ。
 とはいうものの山頂の気温は零下10度以下。立ち止まるとすぐに手足の指が言うことをきかなくなる。この環境でお湯を沸かしカップ麺を食べるのだが、それだけでもう冬山の試練そのものだ。
 あまりに寒いので早々に下山。雪山の下山は楽しい。滑るように降りるからだ。滑って前のめりにコケても地面はフカフカの雪、ケガの心配はない。それでもここの急斜面は太ももにかなりの負荷を与える。ラッセルもしたので足はパンパンに張っている。そんな難易度の高い山ではないのだが初スノーシューで、本格的な雪山、さらに初ラッセルなので、これもありなのかも。
 温泉は天王の「くらら」。いつも混んでいて、客の金の首輪率(ネックレス)の高い施設だ。どうも海沿いの町の温泉設備は年寄りネックレス率が高い、というのが小生の偏見だ。じっくりとあったかい温泉で身体を温める。次第に気持ちも緩んでくる。眠くなってくる。温泉に入るために、わざわざ身体を冷やしに山に入ったような、奇妙な感覚にとらわれてしまう。

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