No.137
八合目手前でリタイア、雨の中沼コース
[焼石岳(1547m・岩手県奥州市――2016年6月26日)]
 いよいよ「夏山シーズン」だ。「夏山」というのは、朝早く出発して暗くなるギリギリに下りてこられる「大きな山」という意味だ。日の長くなるこの時期にしか登れない。具体的に言えば秋田県内では「焼石岳」「神室山」「和賀岳」「鳥海山」といった山を指す。
 今日はその第一弾、焼石岳だがいつもの東成瀬コースではなく岩手県側の中沼コース。ここからは初めてのトライになる。
 昨夜来、ものすごい雨だ。2時間半の登山口へのドライブ中も雨足は強くなったり弱くなったり。晴れることはない。なのに誰も中止を言い出さないのは大きな山はその日を逃すと来年の同じ時期まで待たなければならない、という事情もある。とにかく行くところまで行ってみよう、というのがみんなの本音だ。それにしても朝4時半出発なので3時半起き。夜更かし男にはきつい。
 岩手・奥州市の焼石岳登山口へ着くころに、空は明るくなっていた。
 登り始めて40分ほどできれいな中沼が見え、そこから先にはつぶ沼コースの分岐。ここから銀明水という水飲み場まで一挙に登り続ける。約2時間で銀明水のある避難小屋。ここがようやく7合目だ。
 小屋をクリアーしてここからが本格的な焼石岳登山だ。雪の残る八合目近くで雨と風が激しくなった。ここで今日は中止に。これ以上登っても雨はともかく風がきつくて山頂はガスで何も見えない。

七合目から上は雪渓が残る

これが中沼
 七合目の山小屋まで下りランチ。山小屋はごった返していた。みんな風で山頂をあきらめた人たちだ。
 自作弁当を完食した。醤油をつけたのりご飯が食欲をそそった。10年近く山に登っていてもランチ時には食欲がない。朝から甘いあんパンや飴などしゃぶるからと注意されるが、ガス欠が怖いので朝は結構食べる。で山頂ランチでは疲れもあり食欲は思いっきり減退してしまう。朝は軽く、昼はがっつり、夕食はビールとツマミ程度、というのが理想なのだが、うまくいかない。そこで山で食べる食事はコンビニおにぎりやカップ麺ではなく、好きな具材だけ詰めこんだ自作弁当をつくることにした。ご飯に梅干し、豚の生姜焼きにゆで卵、マカロニサラダにおしんこと。具材はコンビニで調達した。弁当ひとつに1500円ぐらい費用かかってしまったのが難点だ。
 それにしても焼石山頂は遠かった。ランチをとった七合目でようやく時間的には半分だ。東成瀬からも遠いが岩手・中沼コースからも4時間半はみなければならない。自分の能力では3時間半を超えると要注意。前日からのコンデションが体調を大きく左右する。
 それにしても岩手側の登山口は、雨模様の天気にもかかわらず登山客であふれていた。東成瀬口でこんな光景を見ることはまれだ。岩手と秋田では「山」に対する意識がだいぶ違うようだ。

 温泉は東成瀬村にある、なるせ温泉「東仙歩」。小さな温泉宿だが、浴場は広くダイナミックな三段の滝風なつくりだ。いつも人がいないので貸し切り状態なのもいい。

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