No.131
雨中も悪くない八塩山
[八塩山(713m・東由利町――2016年5月1日)]
 Sシェフと2人で八塩山登山。ずっと雨だったが、雨の山中を歩くのは嫌いではない。713mの標高がある山だが、ものの1時間もあれば山頂にたどり着ける。イワウチワがいたるところに咲き乱れていた。この時期の山はカタクリやスミレ、シラネアオイなど「紫系」が全盛だが、ピンクに染まった白色の優雅な姿を見せられると、思わず立ち止まって見とれてしまった。
 登山口付近では山菜の「サシボ」や「ハリギリ」も初めて見た。由利地方の人は山菜といえばサシボ。このちょっと酸味のある苦さが何物にも代えがたいという。そういわれてみると若芽がそのまま残っているコシアブラがいたるところにあった。たぶん食べる習慣がないのかもしれない。
 今回は前平登山口からスタート、山頂で昼ご飯をして、下山は風ぴらコースで降り、鳥居ノ沢登山口に降りてきた。

雨中に煙る森

これがサシボです
 この山に最初に登ったのは10年ほど前。確か逆方向の矢島口から整備された階段を上った。その時から「いい山だなあ」という印象は変わらない。もともと東由利側から矢島側に出るための古道だった山だ。
 山には残雪があり、けっこう寒かった。山頂のブナ林がお気に入りだ。ずっとこの林の中に身を潜めていたい気分になる。細かな雨の中に煙るブナ林も風情がある。変な形をしたユニークな木々がいたるところに隠れているのもこの山の特徴だ。この山に来るとどうしてもシャッターを押す回数が増えてしまう。
 温泉は黄桜温泉。秋田県内の日帰り温泉の中でもベストスリーに入る、好きな温泉だ。建物自体がゆったりとしていて、色調も都会的でシックだ。茶と黒をベースにして脱衣場も広く、シャワーの水量も豊か。露天風呂こそないが全体がチマチマしていないし、落ち着いて品格がある。
 ここで冷え切った身体をゆっくりと温め、峠を越えて羽後町まで遠征した。超えた先は羽後町だ。久しぶりに「西馬音内そば」を食べた。そこから高速に乗り、今度は雄和町(国際教養大の裏手)まで移動。Sシェフともども友人である陶芸家・安藤るり子さんの個展へ。リンゴ灰を使った一輪挿しを購入。充実した1日だった。

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