359.2025年12月2日押し屋
 歌人、俵万智の出演するラジオをきいていたら、「押し屋」というアルバイトをしていた友人がいる、という話がでてきた。俵万智は学生時代、早稲田大学のアナウンス研究会というサークルに属していた。このサークル、早稲田大学があるJR高田馬場駅からの依頼で、駅構内のアナウンスを担当していた。このアルバイトを俵万智もよくしていたようだ。そのアルバイト時、必ず会う、駅員の制服を着た男子学生がいたという。彼こそが「押し屋」といわれるアルバイト員だ。朝の通勤ラッシュ時、ギュウギュウの満員電車のドアからはみ出しそうな乗客や荷物を電車の中に「押し込む」ことが仕事だ。朝や夕方のラッシュ時だけの短時間バイトで、時給も高い。加えて、本物の駅員の制服を着られるということもあり、都内にある大学の鉄道サークル所属の学生達の憧れのアルバイトだった。実は、私が高田馬場に住んでいた10数年前、友人の"鉄ちゃん"もこのアルバイトをしていた。その時給の高さに驚いたことがある。
 これは何も高田馬場駅に限ったことではなく、都内JRの主要駅には必ずこの押し屋がいた。ふと、今もこのアルバイトがあるのか気になり調べてみると、なんと今でもあった。コロナ禍でその数はかなり減ってしまったようだが、現在も押し屋のアルバイトをしているという学生のブログを発見した。その学生によると、
 「現在、リモートワークや時差出勤も浸透し、ホームドアの整備も進んでいる。押し屋の存在は時代とともに消えゆくのかもしれない」と書いてある。現在彼の勤務時間は平日朝7時から10時。時給は1700円だ。
(M)