「新潮OH!文庫」は
すごいラインナップだと思う

 従来の文庫本にある傾向というか特色を加えて新シリーズとして刊行されるようになった。文春パルスやハヤカワえぴ文庫、ハルキ・ホラー文庫、知恵の森文庫といったもので、文庫のエンターテイメント化といっていいだろう。食べ物にたとえれば一流の料亭のお料理もいいが、カツどんやカレーライス、ラーメンも捨てがたいし、三流のグルメ店を多くキープするのはプライオリティの高い生活能力である。「うーん、これは読みたいけど、わざわざ1600円出して買う必要があるかなあ」という新刊が時たまある。私の好みでいうとこの手の二流のグルメ本は、文庫になったときに買う。しかし二流本は下手をすると文庫にならないで消えていくケースがほとんどなので、このあたりの見極めが難しい。それが上記のような「エンターテイメント文庫」の登場で、「読みたいけど買わなかった」本が続々と登場してきた。うれしい。特のお気に入りは「新潮OH!文庫」である。ここのラインナップは見事なほど小生の嗜好とマッチしていて、新刊で買わなかったが読みたい本が目白押しである。たぶん新刊全点数の5分の一近くの冊数を購読している。
「文庫は決して消耗品じゃなくて、評価の定まった著作物を長く出し続けるのが本来の姿。出版界はその使命を忘れているのでは」というのは出版ニュースの清田編集長だが、私はちょっと違うような気がする。文庫はすでにそういった使命感の埒外にあって再販制度の中の「反再販商品」として機能しているのではないのだろうか。一度出た本を値段を安くして著作物のリサイクルをしているわけである。意味としてはそれ以上でも以下でもないような気がするのだが、いかがなものだろうか。

これが購入した「新潮OH!文庫」の一部


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