んだんだ劇場2004年8月号 vol.68
No13  ちょっぴり不安、自宅出産

無ストレス生活
 なぜかこのところ毎日曇りである。気温も20度前後と先月よりも涼しい。夏はどこに行ってしまったのだろうか? もしかしてこのまま秋、そして冬に突入してしまうのではないかとちょっと心配だ。
 7月の上旬に大学の方の授業も無事終わり、家で過ごすことが多くなった。家族そろって8時から朝ごはんを食べ、9時半に保育園へ行く娘と夫を見送るとそのあとは私の時間である。授業はなくても、論文の方はやることがいっぱいなので、あいかわらずコンピューターとにらめっこである。出産前までにやれるだけのことはやろうと最後の悪あがきをしている。
 とはいっても、時間に縛られず、大学にも行かなくてよいというのはなんともいいものである。7年前に放浪を始めてから、徐々にストレスのない生活にシフトしてきたが、ここにきてかなりその度合いが高まっているようである。確かに貯金がどんどん減っていくという意味でのストレスはあるが、ホームシックからもやや回復した現在、全く言うことなしの毎日だ。いつかまた社会復帰できるのだろうか、とちょっと心配だ。
 夫に、
「私もうこの生活やめられないなあ。あくせく仕事しなくても生きていく方法ないかなあ。」
というと、彼は、
「宝くじだね。」
と一言。一瞬、真剣に宝くじのことを考えてしまったが、こんなんでうちの家族は大丈夫なのだろうか。ちょっと気分がゆるみがちの今日この頃である。

自宅出産
 統計によるとイギリスの自宅出産率は全体の約2パーセントだそうだ。日本は約0.2パーセントというからそれに比べればかなり多いのかもしれないが、50人の妊婦中わずか1人と考えると、かなり少ない気がする。ある統計によるとオランダでは約40パーセントの妊婦が自宅出産をしているというのが興味深い。
 先日、地域で開かれている自宅出産サポートグループの会に参加した。自宅出産を経験した人と自宅出産を予定している人が集まって情報交換をする場である。一体何人くらいの人が集まるのかと期待していったところ、参加者は我が家族ともう一組のカップルに加えて自宅出産経験者が2名(そのうち1名は助産師)とかなりこぢんまりとした会であった。
 その会で話題となったのは、いかに自宅出産をすることが難しいか、ということであった。私たちの住んでいる地域では、昨年97人の妊婦が自宅出産を希望していたが、そのうちのわずか28人のみが自宅で出産し、残りはみな最終的に病院での出産になったそうだ。その正確な理由は明らかではないが、医学的な理由からというよりは病院のスタッフ不足で自宅出産が不可能になったり、スタッフの経験不足から最終的に病院に搬送となったりといった例が多かったようだ。
 病院のスタッフ、という話がでたが、ここイギリスでは多くの妊婦がナショナルヘルスサービスによってカバーされており、無料で妊婦検診、出産ができる。自宅出産もナショナルヘルスサービスによって行われているので、病院の助産師が妊婦の家までやってきて出産を介助するのである。もちろんプライベートで助産師を頼むこともできるが、その場合の費用はおそろしく高く、場合によっては数千ポンド(1ポンド当たり200円相当)にも上るらしい。
 というわけで、普通は病院の助産師にお願いすることになるわけであるが、もちろん誰が来るのかはその日の担当によるし、その助産師が経験豊富なのか、自宅出産に前向きなのかは、全く天のみぞ知るといったところである。
 なんだかちょっと心細いではないか。例によって、あまり深く考えていなかった私はちょっと不安になってしまった。もう一組のカップルも同じ気持ちだったようで、特にオランダ出身の女性の方は、
「家で産みたいのに産めないなんて、一体どうしたらいいの?」
とかなりあせっていた。
 あせる私たちに彼女自身助産師である自宅出産経験者の一人がアドバイスをしてくれた。
大事なのは、自分がいかに自宅出産を真剣に考えているかを病院のスタッフにアピールすること。スタッフの間に名前が知られると、その妊婦の出産予定日に合わせて、自宅出産の経験豊富な助産師を配置してくれるなどの配慮をしてもらえるらしい。そして病院の助産師のリーダーであり、自宅出産に前向きなスタッフに前もってコンタクトをとるようにと、そのリーダーの連絡先を教えてくれた。
 早速そのリーダーに電話してみたところ、会って話をする約束をすることができた。彼女の優しそうな口ぶりにちょっと気分が楽になった。問題は約束の日にちが出産予定日のわずか3日前だということである。ちび2号、予定日までしっかりおなかにいてちょうだいねと言い聞かせているところだ。
 さあ、果たして私の自宅出産はどういう結果になるか?それは次号のお楽しみである。

ピンクとハートと長い髪
 最近の娘のテーマはピンクとハートと長い髪である。服も靴もピンク、ハートがついていればさらによし。そしていつも鏡をみては、「髪、長くなったでしょー?」と聞く。そしてこのごろはスカートしかはかなくなってしまった。
 ついこの間まで、ズボンしかはかず、髪も短く、いつも男の子と間違えられていたのがうそのようだ。保育園などで一緒にあそんでいる女の子たちの影響であろうか?そして口癖は、「女の子は○○が好きなんだもんねー。男の子は△△だもんねー」。急に性差に目覚めたらしい。
 服へのこだわりはかなり厳しく、絶対に好きなものしか着ない。我が家で一番服持ちの娘であるが、その中で彼女の御眼鏡にかなうのはピンクの縞々のTシャツとピンクのハローキティのTシャツと数枚のスカートだけである。しかもこのスカートにはこのTシャツと決まっているらしく、赤いチェックのスカートの上にピンクの縞Tシャツを着て、「ほらね、かっこいいでしょ。こっちは(私が着せようとしていた白いTシャツは)かっこよくないでしょ。」という。どんなにすごい組み合わせになってしまっても、親はあきらめるしかない。
 きっと娘は私に似て、服装や化粧には無頓着になるのではないかと思っていたのだが、どうやらそうではないのかも。今日もかっこいい服を着て、サングラスをかけ、指しゃぶりをする右手以外の手足の爪にマニキュアを塗って、鏡に向かってポーズをつけている娘を見ると、なんだか自分のおなかから生まれてきたというのがちょっと信じられない気になってくる。


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