宮城県
栗駒山
豊富な残雪とお花畑に彩られた高原の逍遥を楽しむ
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
笊森避難小屋
須川温泉〜栗駒山山頂〜笊森避難小屋〜東栗駒山〜イワカガミ平
 栗駒山は宮城、岩手、秋田の各県側から約10本の登山コースが存在し、それぞれが湿原ありブナ林あり温泉ありの楽しいコースばかりである。その中でもっともポピュラーな二大登山口を結んで山中泊で歩いてみたい。
 登山口となる須川温泉は標高1200mの高原の温泉宿である。あたりは強い硫黄の臭いが漂っている。歩き始めて間もなく名残ヶ原に出るが、初夏にはワタスゲ、モウセンゴケやイワカガミが咲く広大な湿原である。自然観察路分岐からはどちらをたどっても山頂へ通じるが、昭和湖を経由したい。緩い登りで神秘的な青緑色の昭和湖に出る。ここは昭和19年の火山爆発で出来た火口湖で、イワカガミの群落も見られる。ここで大休止としよう。
 昭和湖を後にするとハイマツの中の急登となり、尾根上の須川分岐に着く。ここは秋田県側の秣岳(まぐさだけ)コースや宮城県側の湯浜、御沢コースからの道が合流する十字路となっている。左に山頂に向かって尾根上の気持ち良い道をたどると山頂はすぐだ。山頂はイワカガミ平からの登山者も大勢いて賑やかだ。山頂からは北に焼石岳から岩手山、その右に早池峰山、南には蔵王や朝日連峰、西には鳥海山と、東北の名峰が指呼でき大パノラマを楽しめる。
 山頂からは北側に自然観察路へのルートを探す。広い尾根を下ると自然観察路の呼び名に相応しくところどころに高山植物の名票が立っている。やがて左側に小さな沼を眺めると笊森(ざるもり)コースの分岐へと着く。分岐から笊森避難小屋までは一転して歩く人が少ない静かな登山道となる。笊森避難小屋は産女(うぶすめ)川の源頭部に建つ小屋である。近くには名前のとおりざるを伏せたような笊森が望まれる。
 ここからは来た道を戻るが、自然観察路へは向かわずに東栗駒山分岐を目指す。分岐からは東栗駒山を経由することにする。東栗駒山の山頂からの眺めは栗駒山本峰が間近で思わずカメラのシャッターを切りたくなる。栗駒山方向以外の角度も大パノラマである。ここからの下りは、途中で新湯沢の渡渉を過ぎればイワカガミ平はすぐである。
(後藤義英)

笊森避難小屋と栗駒山

笊森避難小屋(旧)


神秘的な火口湖 昭和湖

イワカガミ平側から初冬の栗駒山

▼参考コースタイム
須川温泉(50分)昭和湖(1時間)栗駒山山頂(1時間15分)笊森避難小屋(1時間)東栗駒山(50分)イワカガミ平
▼アクセス
須川温泉へはJR一ノ関駅から、イワカガミ平へはくりはら田園鉄道栗駒駅からともにバスの便がある。岩手県交通一関営業所0191―23―4250。宮城交通岩ケ崎営業所0228―45―1615。
車の場合、須川温泉へは東北自動車道一関ICより国道342号経由で約45km 。イワカガミ平へも一関ICより同様に約40km。双方ともに駐車スペースは十分にある。
▼2万5000分の1地形図名
栗駒山
▼アドバイス
本文でも紹介したとおり、四方から数多くのコースがあるのでいろいろなコースを組み合わせてみるとよいだろう。どのコースも一本道ではなくところどころに分岐点がある、道標は良く整備されているのでしっかり確認しながら歩きたい。また、遅くまで残雪が豊富な山域である。残雪期には足回りやルートファインディングに要注意である。


笊森避難小屋
 焼石岳の金名水小屋や建替え前の銀名水小屋と似たテラスのある造りで、岩手県南部の標準設計仕様なのかと想像される。テラスからは一関側の展望が良い。老朽化し現在は使用不可であるが2002年には利用可能となる模様。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ(間取り):平屋建て約20人収容
●小屋のトイレ:有り
●水場の有無:有り
●小屋の連絡先:岩手県一関市役所商業観光課  0191-21-2111
●夏の小屋番:無人、無料
数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。


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