福島県
浅草岳
鬼ヶ面山の岩壁や越後の山々の展望が素晴らしい
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
山頂避難小屋
入叶津登山口〜沼の平〜山頂避難小屋〜山頂〜ブナ平〜入叶津登山口
 名だたる豪雪地帯である会越国境の山々は、東側は雪により急峻に削ぎ落とされ、西側はなだらかな斜面を持った山々が多い。そんな山容の代表格の一つが鬼ヶ面山(おにがづらやま)の岩壁を従える浅草岳である。
入叶津(いりかのうづ)登山口からしばらく急坂を登ると峠となり山神の杉に着く。第1回目の休憩場所に好適だ。ここからは尾根伝いに直登するブナ平コースといったん小三本沢に下降する沼の平コースがあるが、登降のどちらかは沼の平コースを選びたい。沼の平コースは山神の杉から下り小三本沢を渡ると、ブナの原生林の中に大小の沼が点在して独特の景観をつくり出している。鬱蒼とした密林は、あたかもジャングルに迷い込んだような雰囲気を感じさせる。イワナ沼と名付けられた沼もあるが、大きなイワナが見られることもあるという。
 ヤス沢との出合いで再び小三本沢を渡ると、急登を経てブナ平コースと合流する。ブナ平コースは見事なブナの大木の中の尾根道である。
合流点からは緩い均一な斜度のだらだらとした登りが続く。途中スダレ岩では左手が切れ落ちており、展望が開け気持ち良く登れる。やがて森林限界を越して視界が広がると、小三本沢源頭の水場である。冷たい沢水で喉を潤したい。水場を過ぎると山頂避難小屋の屋根が見えてくる。
 避難小屋から山頂までは広々とした草原となっており、ニッコウキスゲ、コバイケイソウなどの高山植物が咲き乱れるお花畑の連続である。途中の天狗ノ遊び場付近ではヒメサユリの群落も見られる。
 山頂草原は遅くまで春スキーが楽しめるくらい残雪が豊富である。残雪期には一部で雪原をたどることになるので登山ルートを迷わないように注意が必要である。
 山頂は1等三角点で、越後の山々を見渡すことができる。近くに鬼ヶ面山の岩壁、その向こうに越後三山、眼下には人造湖である田子倉湖が広がっており、大パノラマを堪能できる。
(後藤義英)


春の浅草岳山頂

山頂付近から只見尾根

▼参考コースタイム
入叶津登山口(1時間)山神の杉(45分)沼の平( 分)ブナ平コース合流点(1時間30分)避難小屋(30分)浅草岳山頂(20分)避難小屋(1時間)分岐(1時間)山神の杉(40分)入叶津登山口
▼アクセス
JR只見線只見駅から叶津集落まではバスで10分、叶津集落から登山口までは徒歩約1時間。バスの本数は少ないので要注意。会津乗合自動車只見営業所 TEL0241―82―2246。車の場合は、国道252号の叶津集落より国道289号へ入り、直接入叶津登山口へ。駐車スペースは十分にある。
▼2万5000分の1地形図名
只見、田子倉湖、守門岳、毛猛山
▼アドバイス
本稿では入叶津からの往復で紹介したが、浅草岳は四方からの登山コースが存在する。アクセスが許せば、鬼ヶ面山の岩壁を間近に楽しめる只見尾根から登り、入叶津へ下るコースも秀逸である。


山頂避難小屋
 三角屋根のいかにも山小屋風の外観と近くの豊富な水から、避難小屋と呼ぶのは惜しいくらいである。天上の楽園の一角に建つ小屋に一泊し、夕に朝にと山頂までの散策を楽しむという計画もよいだろう。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★
●小屋の広さ(間取り):平屋建て約20人収容
●小屋のトイレ:無し
●水場の有無:有り
●小屋の連絡先:只見町役場
  TEL 0241−82−5250
●夏の小屋番:無人、無料

数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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