福島県
安達太良山
アルペン的山容の稜線を歩き、温泉付きの山小屋でくつろぐ
東北の山小屋(福島キャノン会編)より
鉄山避難小屋・くろがね小屋
ゴンドラ山頂駅〜安達太良山頂〜馬の背〜鉄山〜鉄山避難小屋
〜牛の背〜峰の辻〜くろがね小屋〜奥岳登山口
 麓から見る安達太良山はなだらかな山容であるが、山頂から鉄山の稜線にかけてはアルペン的な山容を楽しめる。温泉付きの山小屋、くろがね小屋は一年中利用できる山のオアシスである。
 ゴンドラ山頂駅に降りると、快適な階段状の登山道で始まる。薬師岳は少し迂回した先で、安達太良山頂を眺めるのにはちょうど良いポイントである。しばらくはハイマツ帯の中を進むために展望はない。季節には、サラサドウダン、ウラジロヨウラク、ハクサンシャクナゲ等が花を咲かせる。滑りやすい登山道を登り切ると、仙女平分岐となる。山頂は見えないが、ガレ場となっているために休憩に良い。
 やがて登山道はさらに急になり、低木と草原帯を過ぎると山頂である。安達太良山頂は岩のドーム状になっており、展望はすこぶる良い。特に鉄山方面の展望は、岩肌の景観がアルペン的で、いままでの景観と対象的である。
安達太良山頂からは、鉄山に向かって稜線を忠実に行く。牛の背から噴火口の展望が加わる。矢筈ヶ森の岩稜帯を過ぎ、馬の背を過ぎると鉄山の岩場となる。落石に十分注意しながら登り切ると鉄山に着く。いま歩いてきた稜線が、パノラマとなって目の前に広がるだろう。
 鉄山から5分ほどで鉄山避難小屋となる。平成になって新築された小屋であり、木目張りの壁や床が真新しく休憩にはちょうど良い。
 鉄山避難小屋からはいま来た道を牛の背までの戻り、ここからくろがね小屋方面へと下る。矢筈ヶ森直下付近は、イワカガミやオノエランが見事で、斜面をトラバース気味に歩くと峰の辻だ。
 峰の辻から振り子沢方面へ向かい、急な斜面を降りるとくろがね小屋に着く。くろがね小屋は通年営業の温泉付きの山小屋である。時間があればひと風呂浴びていくのもいいだろう。
 くろがね小屋からは、荷揚げ用の道を快適に勢至平へと進む。勢至平からは急な登山道を下り、烏川の橋を渡りカラマツ帯の林を下ると奥岳登山口に着く。
(七宮勝広)

鉄山避難小屋

くろがね小屋


安達太良山

縦走路から安達太良本峰

鉄山避難小屋
 安達太良稜線上にある唯一の小屋である。平成になり建て替えられた。歩くスペースの土間と板張りの床になっている。冬場、入り口の戸が雪で開かない時は、南側の窓を利用する。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★★
●小屋の広さ(間取り):15人収容
●小屋のトイレ:無し
●水場の有無:無し
●小屋の連絡先:福島県庁保全課
  024−521−1111
●夏の小屋番:無人、無料

くろがね小屋
 年中営業の温泉付きの山小屋。桧張りの風呂から眺める鉄山南壁の四季の景観は絶景である。冬場のだるまストーブは、昔の懐かしさを思い出させる。近年の中高年登山ブームで、シーズンの週末は満杯になるため予約が必要である。
●小屋の清潔度/雰囲気:★★★
●小屋の広さ(間取り):80人収容
●小屋のトイレ:有り(男女別)
●水場の有無:水道有り
●小屋の連絡先:くろがね小屋
  090−8780−0302
 岳温泉観光協会
  0243−24−2310
●夏の小屋番:有り、通年営業・料金:1泊2食付き5210円 素泊まり3310円 休憩料(入湯含)360円 冬季宿泊暖房料260円 冬季休憩暖房料160円

▼参考コースタイム
ゴンドラ山頂駅(40分)仙女平分岐(50分)安達太良山頂(10 分)牛の背(20分)鉄山(5分)鉄山避難小屋(30分)牛の背(15分)峰の辻(30分)くろがね小屋(20分)勢至平(45分)奥岳登山口
▼アクセス
車の場合は、東北自動車道二本松ICより岳温泉を経てあだたらスキー場。バスの場合は、JR東北線二本松駅より福島交通で50分。(途中、岳温泉で乗り換えあり)
▼2万5000分の1地形図名
安達太良山
▼アドバイス
登山口の奥岳、岳温泉でも入浴可能。
沼の平コースと馬の背―くろがね小屋コースについては、有毒ガス発生のため現在閉鎖中。
数値等のデータは2001年現在のものであることをご了承下さい。

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