教育・研究
2015年刊

自殺の内景
若者の心と人生
苗村 育郎(なむら いくろう)
A5判・544頁 定価2500円+税
ISBN 978-4-89544-595-5

秋田大学の専属精神科医として大学生と向き合って四半世紀。膨大な臨床経験を背景に、「若者と自殺」のスペシャリストが、苦しむ若者たちの心の深層を解明。脳科学、心理学から宗教、哲学にまで分け入って、人間と人生の実相を解読する、刺激的な論考!
冊数

序文

第一章 大学生の心の状況 ― 相談現場から
1 泣きじゃくる大学生
2 大学生は幼稚化したか
3 笑い仮面と怒り仮面
4 揺れ動く心 ― 若者たちの行方
5 人と社会を避ける若者たち ─ その原因と背景
6 ネットショック症候群について
7 精神症状の時代的変遷 ―社会変貌に伴う若者の心の変化―
8 大学生の家庭事情
9 泣きじゃくりからの再出発 ― 転進のススメ ―

第二章 若者の自殺について
10「ネット心中」の背景 ー 自殺親和型性格について
11 自殺の要因と契機(1)― 公平な概観を求めて
12 自殺の要因と契機(2)― 類型と実例
13 自殺の内景 ― 自殺親和型性格の特徴
14 大学生の自殺予防 ― 二十五年間の経験と考察
15 若者の引きこもりと自殺 ―要約と補足
16 失恋・自殺・ストーカー
17 エヴァンゲリオン ― この世の意味と無意味について
18 希望について

第三章 大学の現状と学生達の行方
19 高校化した大学
20 幼稚化した大人たち ― 時代のうねりの中で
21 学生達の行方(1)― 世代対立の中で
22 学生達の行方(2)― 官僚主義と大学の貧困化
23 若者を消耗させるもの(1)― 歴史の虚構
24 若者を消耗させるもの(2)― 我が国の現実と非現実
25 若者を消耗させるもの(3)― 世界の非現実化
26 人生は砂漠か荒海か:カウンセリングの課題について
27 再び・・・大学は知の府か?

第四章 歴史・社会と若者の生き方
28 時代の急変と若者の生き方
29 World-consciousな時代の再到来
30 グローバル時代の卒業生
31 グローバル化と日本の意識-----再び国際政治へ
32 歴史と個性:社会変化と個人の相性
33 裁判員制度と民主主義教育

第五章 個性・人格と教育論
34 映像文化と若者の受動性
35 二宮金治郎はどこへ行った・・・大競争時代と若者
36 教育問題と個性・人格
37 近年の教育行政の混乱・・・大学教育の将来のために
38 官僚制と大学教育の"民営化"

第六章 人生・家族・人間関係
39 生死解釈の諸相について---大震災に触れて---
40 家族の変貌:サザエさんの孫たち?

第七章 性格学・人格構造論から信仰へ
80 性格学の基本問題
81 人格構造論 ― 人間理解のための基礎知識
82 大学生の心の虚しさと信仰の問題(1)---宗教の意味と目的---
83 大学生の心の虚しさと信仰の問題(2)

第八章 大学と発達障害
41 大学の新事態(1)―発達障害を持つ学生の大量入学
42 大学の新事態(2)― 発達障害への取り組み
43 大学の新事態(3)― 発達障害のある学生の苦難

第九章 人の深層心理について
44 見過ごされる心の問題:道徳と宗教(1)― オウム裁判に寄せて ―
45 見過ごされる心の問題:道徳と宗教(2)― 人間活動の諸領域の自己抑制 ―
46 人は何を信じるか・・・心の深層構造とその現れ
47 深層心理と生き甲斐論・・・大人たちの現状
48 攻撃性とその周辺
49 嫉妬の心理学
50 恨みと怨みのスペクトル

第十章 脳と精神医学
51 統合失調症の基本的問題について(1)DSM問題
52 統合失調症の基本的問題について(2)
53 脳と意識の限界についての覚え書き
54 「精神世界の意味感覚」について
55 虚無感と精神性・・・躁うつの軸と虚無の軸

第十一章 夢とは何か
56 夢と物語
57 自我と作話機能について
58 夢と自我と世界
59 夢の属性から「夢解釈」へ
60 夢解釈の原則と実例

第十二章 人生論と人間学
61 人生の意味への問い
62 「他人」のような私
63 自我=個人という幻想
64 生活世界と世界観
65 新しい歴史主義と世界観
66 脳の進化と情動の制御
67 理性主義と実践 道徳道徳・宗教と生物学(1)
68 A.ベルグソンと進化論 道徳・宗教と生物学(2)
69 社会的動物の本能と倫理 道徳・宗教と生物学(3)

第十三章(補)アテネの学園 ―哲学と人生論
70 アテネの愛知者たち : 哲学の智恵と幻想
71 イオニアの思考
72 アリストテレス
73 イデアと存在論
74 プラトンと理想国家
75 思弁の学とその限界
76 正義とはなにか : 諸価値の存在位相と本質
77 哲学と論理 ― まとめ

謝辞
献辞

著者について
昭和25年 兵庫県高砂市にて生まれる
昭和44年 京都大学入学
昭和46年 京都大学中退(文学部)
昭和52年 神戸大学医学部卒業
東京大学医学部精神科研修医
昭和57年 厚生労働省国立精神・神経センター研究員
昭和60年 米国NIH留学
昭和62年 秋田大学精神科助手
平成3年 秋田大学保健管理センター講師
平成10年 同センター教授・所長

TopPageへ