盛岡 [2025/11/14,10:57:17]
夜遅く、新幹線で盛岡から帰ってきた。県内で一番遠くに行くのは高速道で行く湯沢市だが、高速料金は往復5千円近く。ところが盛岡往復は大人の休日切符で同じく5千円台で行ける。おまけに車中で本は読めるし、おいしい飲食店もたくさんあり友人もいる。逆に湯沢市には縁のある関係者はほぼなし、面白そうな飲食店も皆無で、行って用事を済まして帰ってくるだけ。運転していくので気苦労でぐったりするおまけまである。これなら圧倒的に盛岡に「ひっこり出かける」選択肢のほうがお得だなあ。そんなことを感じた盛岡行きだった。終電が遅クマであるので泊まる必要がない。お酒が飲めるし、車中は本が読める。街が秋田市よりも華やかで文化の香りが残っている……というあたりがアドヴァンテージだ。古本屋や新宿のゴールデン街を思わせる桜山神社付近を歩きながら、そんな思いにとらわれた。これから盛岡行きの機会が増えそうだ。
難敵 [2025/11/13,10:17:07]
今日は日帰りで盛岡出張。行き帰りの新幹線で読む本はメルヴィル『白鯨』。上下巻の上巻、それも半分読み終わったあたりで、ようやくおめあてのエイハブ船長が登場する。こののんびり感はつらい。夜に読んでいても30分ほどで先に進めなくなる。面白くないわけではないのだがストーリーがなかなか先に進まない。こういう本は電車で読むのが一番、というのは経験上わかっている。新幹線で「上巻」は一挙に片付けてしまう腹づもりなのだ。他に読みたい面白い本はいっぱいあるのだが、まずは難敵を先にやっつけてしまいたい。この角川文庫海外作品は活字もゆったり、難しい感じにはルビが振ってあるので、読みやすい。長編作品にはぴったしの文庫だ。
新米 [2025/11/12,09:17:38]
大潟村のI君から新米20キロを頂いた。酒蔵「天の戸」の杜氏、森谷康市君から何十年も当たり前のようにお米を頂く生活をしていたのだが、彼が突然亡くなり、さらにこのコメ騒動で、去年はじめて自分でスーパーで米を買った。そんな窮状を見かねたのか、昔、『頭上は海の村』(現代書館)という本を書いたときに取材したI 君が贈ってくれたものだ。ありがたい。当時、大潟村の青年たちは独身でみんな20代だった。近所のスポーツクラブで知り合ったのだが、彼らも今は50代、息子たちの時代に入っているという。時のたつのは早い。昼に新米を味わいながら、来し方をしみじみ振り返っている。
秋田市のクマ [2025/11/11,09:40:57]
酒田市の友人と山歩きする計画が流れてしまった。クマである。もうほとんど数年前のコロナ禍とそっくりだ。外出のスケジュールは「クマ」を基準に考え直さなければならなくなった。8年前に加藤明美さん撮影の『秋田市にはクマがいる!』という写真集を出した。加藤さんはそのころから「クマはもう山ではなく里で出産して、すぐそこで暮らしてます」と言っていた。そこで写真集は、ちょっと気をてらった、尖がった書名を付けたのだが、もうすっかり現実が書名を追い抜いてしまった。そのカメラマンの加藤さんはマスコミに追い掛け回され大忙しだが、その合間を縫って事務所に来てくれる。そこで最新の「秋田市のクマの現状」のレクチャーを受けているのだが、加藤さんでしか知りえない「現場」情報満載で驚くことばかり。でも不用意にそれをこちらで発信すると「科学的エビデンスは?」と反論が相次ぐ。人命にかかわるクマ情報の発信は難しい。牧場のエサ用サイロのハンドルを操作して食べているクマを見た、という情報を聞いたのはもう3年程前だ。その数年前から加藤さんは田んぼで生米を食べるクマの話をしていた。
人並み [2025/11/10,09:19:28]
70歳を超えてからの自慢は、目がよく見えることだった。印刷物の小さな文字はもちろん、飲食店のメニューから食品に張られた成分表示や取扱説明書まで、もう何の苦もなくスラスラ、最近までは読めた。周りの人たちの苦労を尻目に、裸眼で文字を読み上げて見せ、一人優越感に浸っていた。ところがこのところ、目がショボついてものがかすむようになった。テレビの天気予報の数字がぼやけるようになったのだ。これはまずい。唯一のアドヴァンテージが消滅の危機である。この頃パソコンに向かっている時間が長くなり疲れ目の可能性も高い。日に3度も目薬を差すのだが改善の兆候は、ない。このまま「人並み」の老眼になっていくのだろうか。高校に入ってから眼鏡をかけ始め、ずっと近眼だったが晩年はそれが幸いしたのか、老眼から免れていた。どうやらもうダメかも。なにを自慢に生きていいのか、落ち込んでいる。
体罰 [2025/11/09,11:20:23]
このコーナーを読んでくださる方は県外の方が多い。秋田県生まれだが、今は県外に暮らしていらっしゃる方たちだが今、秋田の話題といえばクマ、とお思いでしょうが、さにあらず。地元紙はかなりの熱量で雄物川高校バレーボール部の監督暴力事件を追及している。校長ですら口もきけない暴力王朝を築いた「実績のある」監督である。彼が懲戒免職になった、というのが今日のトップ記事だ。クラブ活動の体罰に関しては、私にも言いたいことがある。昭和24年生まれなので高校時代のクラブ活動の体罰は当たり前だった。田舎の高校で大学進学率も低く、私の所属していた柔道部に入ってくるのは、ほとんど農家の子どもたちだった。卒業後は8割近くが警察や自衛隊に「就職」するので柔道の黒帯は、就職の際の資格というか勲章になったのだ。だからだれ一人、体罰に異議を唱えるものはなく、唯々諾々としたがっていた。就職のための資格を得る試練にすぎないからだ。先輩たちの理不尽な体罰のたびに、「軍隊って、こんな感じだったんだろうな」と思っていたが、当時のクラブ活動は軍隊の暗い影をはっきりと引きずっていた。「水は絶対飲むな!」とい理屈も、外地の戦場で飲み水に毒を流される危険を避けるための軍隊の訓練のひとつなのだ。こうした理不尽な根性論は、ほぼすべてこの軍隊理論から出たものなのだ。そのいや〜な時代を潜り抜けてきたものとして体罰報道を見るたび、やるせない怒りがこみあげてくる。なんとかならないものなのかなあ。
盗品? [2025/11/08,09:57:43]
本を買うのはアマゾンよりも「日本の古本屋」のほうが多くなった。昔の本を読むのが年とともに好きになっているせいもある。仕事柄、調べもの用の本はアマゾンでは扱っていないものが多いこともある。先日は、未来社の「宮本常一集 22」を買い求めた。全集の中の一巻だ。布装ハードカバーの本だが、値段はわずか1600円(送料200円)、得したなあと本に頬ずりしたくなった。しかし背表紙にシールが貼ってあった。図書館本などでかならず貼ってあるやつだ。えっ万引き本なの? とイヤな気分になったが、調べてみると所蔵印は本文ではなく天地の紙幅の部分に、目立たないように押されている。「長崎大学所蔵」とあった。以前、近所のブックオフで「広辞苑」が300円ほどで売られていたので買ったら、見事に地方都市の図書館所蔵印が押されていた。でもだから盗難品とは限らない。図書館の払い下げ本という線も考えられるからだ。古物商の免許条項には「盗品を買えば買ったほうも罰せられる」という一文があったような気がする。送り主の古本屋は名前のある古本屋で住所氏名もちゃんと公表している。とすれば「払い下げ品」と考えていいのかもしれない。ちなみに本は美品で傷みも汚れもない。
矢沢永吉 [2025/11/07,09:51:24]
近所にあったタクシープール(駐車場)が復活した。前のタクシー会社が倒産、新しい会社がその場を受け継いだようだ。さっそく電話を入れると、すぐ来てくれた。これは助かる。ドライバーは話好きな人で湯沢市出身の方だった。昔、赤帽の運転手をしていて、湯沢市民会館で観客のいない会場で一人カラオケをする矢沢永吉を見た、というのが自慢のようで、熱弁をふるってくれた。この話はホラ話ではなく本当である。実は私も関係者から実際に聞いたことのある有名な話だ。矢沢は全国ツアーに出る前、バンドとの音合わせというか、観客サイドに音がどのように聴こえているのかチェックするため、ツアー前に数千人の観客の入る音響設備のいい湯沢市民会館を借り切って、音合わせをしてから全国ツアーに出るのが慣例になっていたのだ。音響機器を積んだ、はでなペインティング・ロゴが入った巨大トラック移動なので、「あれ、矢沢が来ている」とすぐわかってしまい、数人だがファンが集まっていたという。この日は、2時間ほどリハーサルをして、秋ノ宮の道の駅で昼ご飯を食べ、矢沢一行は全国ツアーへと旅立っていったという。秋田でのコンサートは「一切ない」というあたりが話の面白いところだ。
体調 [2025/11/06,15:56:03]
もう後期高齢者を通り越した。幸いにも定番の薬漬けは逃れている。逆流性食道炎のものを1日1錠服むだけだ。散歩や山歩き以外、運動はしていない。気を付けているのは尿酸値だ。昔から痛風持ちだった。ここ数年で尿酸値を基準値以下までさげ、痛風とは無縁になったのが唯一の自慢だ。血圧が高いのと血液ドロドロは嫌。予防として知人から教えてもらった足ツボ踏みとタオル絞り健康法を続けている。普段から血圧測定をしないので、その効果のほどはわからない。健康状態を数値で毎日チェックするタイプではない。数値は日々の仕事に影響を与える。小心者には残酷だ。意識しているのは水分だ。毎日1,5リットル以上の水分をとる。これでテキメンに頻尿になった。でも寝ていて足がけいれんしたり、わけのわからない頭痛や体調不良からは免れている。朝100mlの黒酢と、昼の茶碗一杯の自製ヨーグルトは欠かさない。今年に入ってノンアルになった。健康のためではなく、なんとなく酒を飲む気が起きなくなったからだ。友人と会うときは楽しく酒を飲む。体が酒を要求しなくなったのだ。いつまでこんな状態をキープできるのだろうか。
「白鯨」 [2025/11/05,09:17:10]
メールが復旧した。いろんな方にご心配をおかけして、この場を借りて「すみません、ありがとうございました」とまずはお詫びを。近所のコンビニは昨日からドアが自動から手動に切り替わっていた。訳が分からずガラスのドアをノックしていたら、なかの客に笑われてしまった。クマ対策だそうだ。地元の魁新報紙での連載が月2回、今月12日から開始の予定。新年からと言ったり来週からと言ったり、開始日がふらついているのは新聞社側の事情で、私の事情ではない。メールが復旧して心に余裕ができたこともあるが、夜はメルヴィル『白鯨』(角川文庫)を読みだした。いきなり主人公イシュメールが銛手のクィークェグと宿屋で「同床」するところから物語が始まる。なんだかワクワクする。この上下巻1000ページの長編をちゃんと読み通せるだろうか。トーマス・マン『魔の山』に引き続き「後期高齢者、外国長編文学に挑戦する」シリーズの第2弾である。がんばるぞ。

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