スカウト
[2026/03/20,10:13:28]
センバツ高校野球が始まったが、まったく興味はない。プロ野球は好きだが、最近は大谷フィーバーで少々うんざりだ。そんな中、後藤正治『スカウト』(講談社文庫)を読んだ。94年夏から3年間、広島カープの木庭教という老スカウトを追っかけたノンフィクションだ。いわばプロ野球の裏面史で、スカウトという仕事の内幕を描いたものだ。村山首相が誕生し、松本でサリン事件が起きた頃の物語だが、意外だったのは、当時のスカウトたちの目玉選手は、超高校級といわれた秋田経法大付高のO投手だったこと。左腕で140キロの球を投げる逸材だったが、その後、ノンプロの日石に入社、オリンピックでは銀メダルを取り、ドラフトで巨人に2位指名された。が、けっきょく芽は出なかったのだが、このOの記述が何か所かに出てくる。彼は去年、酒を万引きし逮捕され、その常習性で話題になった人物なので、あえてイニシャルにしたのだが、本ではもちろん実名である。あの落合への記述も面白い。「守備はへた、肩が弱くて、鈍足」という評価なのだ。そのためロッテの指名は3位で、年齢は25歳だ。江川の「空白の一日」大騒動が、落合の指名と同じ年だったのはは意外だ。歴史上もっとも凄い投手は? というのは誰でも知りたいところだが、断定はしていないものの、尾崎、池永、江川といったあたりで、スカウトたちの評価は一致しているようだ。もうこの本そのものが戦後プロ野球史になっているのだが、それを支えた「影の男たち」にスポットを当てた傑作である。
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