立春の卵
[2026/02/06,09:40:56]
散歩がてら駅まで行って不在者投票。雪のない道を選んで歩いたせいか、いつもよりも距離は長いのに疲労度は少ない。ということは雪道は砂浜を歩くのと同じ負荷があるのかも。たまたま見たローカルニュースで「立春に卵は立つか」という特集をやっていた。立つよね、いやどうかな、と言ったバラエティ的な視点で若いレポーターは盛り上がっていた。「立春の卵」というの昭和22年に世界中のメディアを巻き込んで話題になった「事件」だ。その発信元は中国で、「中国の古書に秘められた偉大な真理」というのだが、結論を先に言うと、卵は立春にも立つが、それ以外でも立つ、というのが物理学からの答えだ。この昭和22年の「騒動」を、軽妙なエッセイで解説してくれたのが雪の研究などで有名な物理学者・中谷宇吉郎だ。彼のエッセイはその後、さまざまな本に転載され、教科書にまで採用されている。番組は当然、この中谷の文章を踏まえて作られたものだろうが、いっこうに中谷の名前は出てこない。もしかして中谷のことを知らず「立春の卵」を不思議現象として、本気で取り上げているのだろうか。いくらなんでもそんなことはないだろう。基本的に卵は立つものなのだ。それを中谷は野暮にならないように抑制的に噛んで含めるように、物理の原理として説いている。テレビを見て、また中谷の文章を読みたくなり書庫から『雪は天からの手紙』(岩波少年文庫)を引っ張り出した。
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