眠れない夜
[2026/02/26,09:42:22]
一か月に一度くらい眠られない夜がある。たいていは「食べすぎ」の胸焼けが原因で、繊細さとは無縁なのが恥ずかしい。昨夜も一睡もできなかった。前の日にテレビで耳にした俵万智の、「母が言う〈もう充分に生きたから、早く死にたい〉はデッドボール 打ち返せない」)という短歌が、頭で鳴り響いたせいだ(歌が正確かは自信ない)。その直前に観た黒澤明の映画『生きる』の影響もあったのかもしれない。俵にとれば、言葉のキャッチボールができなくなるから、そんなこと言わないで、と母を励ましているのだが、後期高齢者老人の実感は、「もう、いいよな」という諦観はほぼ本音だ。「長く生きすぎたなあ」という虚無は、その年齢にならなければ理解不可能かもしれない。『生きる』はガン宣告された市役所職員の最後の生のあがきを描いたものだが、主人公の年齢は50代だろう。この年齢で死刑宣告を受けると、やはり人間は動揺する。そのへんを映画はよく描いている。黒澤映画のテーマであるヒューマニズムあふれる作品だ。そんなこんなで「生きるって何だろう」といろいろ考え込んでしまい、朝から眠い。
|