本を読む [2024/10/22,09:35:28]
夜の読書は高村薫「冷血」だが、あまりに凄惨な事件を描いている(予感)ので、途中で気がめいって、やめてしまった。日本では間違いなく最高峰に位置する社会派作家だが、テーマが暗すぎる。この陰湿で惨憺たる犯罪を描かせれば彼女に勝る人はいない。でも暗い。夜は、けらけら笑って読み終えるような物語で1日の最期を迎えたい。内館牧子さんの高齢小説のように。しかし手元には面白そうな本がない。こういった時の本選びほど難しいものはない。普段は事前に何かを期待して本を読むことはない。目的をもって読む本は大概外れる。こんな「本詰まり」(ふん詰まりみたいだな)になると、最近は出久根達郎の本に頼る。それも小説ではなくエッセイだ。出久根の本にまつわる雑感や古本屋の日常を読んでいると、心がほんわかしてきて、気持ちよく眠れるのだ。だからエッセイはほとんど読んでいるが、実は小説は一度も読んだことがない。最近、出久根さんの新刊と出会わない。お元気なのだろうか。
趣味 [2024/10/21,09:14:08]
週末も山には行かず(天気も不安定)、ずっと趣味の(?)「拙者の散歩道−−路上の現代アート」というテーマで撮っているデジカメ写真の整理。趣味といえば本関係のことばかりで、山を除けば無趣味同様だが、この自分の散歩道で撮った写真の撮影と整理(編集)は、最近見つけた、心の底から楽しく、時間を忘れることができる趣味だ。登山以来かもしれない。ほとんどプラモデルと少年のような感じ、といえばわかってもらえるかもしれない。数百枚のわけのわからない、けれど愛おしい写真を整理しながら、こんなカットが足らない、あそこの場所ならいいショットが……などと夢想するのが無上の時間だ。週末はもっぱら近所の写真キタムラに入り浸って、気に入った写真のプリント作業。楽しかった。
テレビドラマ [2024/10/20,09:38:05]
日曜日の楽しみは夜の10時台に放映されるNHKBS「団地のふたり」。短期間(10回)の連続テレビ小説で今日が8回目だ。過去のものもすべて欠かさず見ていて、これは自分的には珍しい。そういえばこの前の連続シリーズ「舟を編む」もシリーズを録画して全部見たなあ。この時の主演の池田エライサの、すっかりファンになってしまったっけ。今回も小泉今日子と小林聡美にすっかり夢中だ。彼女らの自然な演技が、今のテレビドラマからは考えられないほど洗練されていて映画風なのがいい。これぐらいプロ意識をもったドラマ作りをすればテレビを見直すに違いないが、現実は吉本とジャニーズの「おこちゃま芝居ごっこ」の悪ふざけを見せられているだけ。テレビは遠くなるのも当然だ。でもこうしてテレビドラマに夢中になるのも、最近映画を見ていないせいなのかも。
[2024/10/19,10:29:17]
予報通り雨。昨日「海」を見てきたので、心の隅っこにその開放的な余韻が、まだたっぷり残っている。雨も海と同じ水だ。そう思い込むと雨もまた楽し。海沿いの食堂で昼は「おさしみ定食」を食べた。家に帰ったら、たまたま夕食も「あさしみ」だった。こんな日もある。魚はあまり食べない。小さなころから苦手、というよりも食べ盛りはほとんどが豚肉のお世話になった。だから魚のほうが高価な食品という印象が強い。大人になってからも焼き魚や煮魚を、骨だけ残してきれいに食べることができなかった。それが劣等感になって、ますます魚を食べなくなった。Sシェフからは魚の食べ方を丁寧に教えてもらうのだが、実際にやるともうぐちゃぐちゃで、自分の裸を見られているような恥ずかしい気分になる。魚の中では比較的イカやタコが好きなのだが、たぶんこれは、奴らに骨がないからだ。
漂着物 [2024/10/18,08:28:53]
明日からは天気が崩れるようだ。久しぶりに週末の前岳コースをひそかに準備していたのだが、雨じゃ無理だ。そこで1日前倒し、Sシェフにお願いして、男鹿半島・舞台島のある海岸に出かけることにした。遊びではない。例の「拙者の散歩みち」の撮影取材だ。なんていうと偉そうだが、やっぱりただの遊びだ。ここの海岸線にはほぼ人が入らないエリアだ。歩きにくいからだ。だから海岸には北朝鮮や韓国から流れついた漂着物があふれて、そのままになっている。なかにはロシア文字のようなものが書かれた家庭用品まである。これらの漂着物を「接写」で撮影するのだ。普段はアドヴェンチャー・ルートで、山あり谷あり崖あり洞窟ありの、なかなか面白いトレイルなのだが、今日はひたすら海岸線を歩いてゴミと向き合うだけ。もう楽しみでワクワクしているのだが、朝早いのが、やっぱり苦手だ。
やること [2024/10/18,08:16:01]
読書の秋、と関係があるのかはわからないが、少しあわただしい日々が続いている。暇よりはいいのだが、この年になると忙しさを少し煩わしく感じるのも事実だ。さらに1週間ほど前から、「拙者の散歩みちーー街角の現代アート」というテーマで、カメラを持って、いつもの散歩道の意外な風景を接写レンズで撮り続けている。この仕事(?)も面白くて、かなりの時間を費やし没頭中だ。今日も午前中から出かけるつもりだ。なんだかやりたいことが次から次に出てきて、結果、自分の首を絞めている。体力は確実に落ちているし、あまけに原因不明の腰痛に悩まされている。夜、熟睡できないのも最近のつらい出来事だ。でも朝起きると、やることは次から次へと襲ってくる。なんという日々だ。
パソコン [2024/10/16,09:18:04]
パソコンが新しいものになった。ちょっとうれしいが、使いこなせるか不安もある。なによりも動作の速いのが、夢見てるみたいでワクワクする。これにもすぐに慣れてしまうんだろうな。使いこなせなかった機能も使いこなせるようになりたいが、今はまず、焦らず、じっくり、この機種と親しくなること。毎日ブログを更新し、原稿を書き、調べ物をして、資料を保管する。新しく連載を始めたいのだが、それはまだ早い。使いこなせるようにいなったら、すぐに動き出せるように今から準備しておこう。とにもかくにもうれしいのは、パソコンの故障や不具合に、朝の何時間も奪われなくて済むようになったこと。これだけでも十分に福音だ。このパソコンと少なくても5年は付き合いたい。
接写 [2024/10/15,09:13:52]
この年になると3連休がそんなにうれしいわけではない。ダラダラしてしまうのが落ちなので、逆に腹立たしいほどだ。でも、この3連休はけっこう有意義に過ごした。というのも、いつもの散歩コースを、カメラを携えて、観察撮影したからだ。テーマは「拙者の散歩道」。拙者は「接写」のダジャレで、いつも見慣れている風景の中に接写してみると、驚くようなモダンアートが隠れているのを発見した。たまたま1日目でそれに気がつき、2日目と3日目は意識して、普段見過ごしている小さな風景を狙って撮った。撮った写真はパソコンに入れ、何度も何度も見返しているのだが、自分で言うのもヘンだが、これがなかなかいいのだ。街角や路上の構造物の一断面を接写で切ろ撮っただけだが、接写になると、ほとんど現代アートの絵画にしか見えない。むらむら編集者魂が頭もたげた。これをHP企画としてアップしてみたらどうだろう……と今思案中だ。
「土の記」 [2024/10/14,13:31:03]
ようやく高村薫『土の記』(上下巻・新潮社)読了。面白かった、というか高村のミステリー仕掛けのドラマチックな定番の物語とは真逆の、静かで事件の起こらない珍しい物語だ。主人公の伊佐夫は70代。認知症のはじまった農民で、毎日、土を耕し、鯰や犬と遊び、茶畑の見回りをする。妻の裏切り(自殺)があり、娘はアメリカに移住し、孫娘はテニスに夢中だが、事件というような事件は起きない。代わりに日々の農作業がまるで「理科の実験室」のように子細に描写される。物語はほぼこの伊佐夫のモノローグ形で進行する。日々の出来事がまだらボケのように過去と交錯し、行きつ戻りつ、落としどころのないまま、ダラダラと続くのだが、そこは高村の天才的な筆力で読者を飽きさせない。その語りのうねりが、物語のダイナミズムそのものになっているのだ。帯文には「始まりも終わりもない、果てしない人間の物思いと、天と地と、生命のポリフォニー。」とある。農業への科学的に裏付けされた知識だけでも、一読の価値がある。昔、ある有名な編集者から、「医学の世界を舞台にした小説を書くことになった石川淳は医学書を徹底的に読みこみ、連載終了時には本物の医者と対等に論争できた」と聞いたことがあった。そんな作家の凄さを、この本の高村薫にも見た。作家ってやはりどうしようもなくすごい人たちだ。
恩恵 [2024/10/13,10:34:47]
お米の話題が続く。今年は「あきたこまち」が誕生して40年。大潟村が生まれて60年になる、農業県・秋田にとって記念すべき年でもある。この2つには、農業という以外、共通点がなさそうに思えるが、調べていると共通点がある。大潟村は日本農業のモデル農村として華やかにデビューしたのだが、そこで作られる米はお世辞にもうまいものではなかった。ただただひたすら食糧基地としての「量」を確保するため、国の造ったお米工場のようなイメージが強かったのだ。それが一挙に変わったのは、1984年に登場したあきたこまちだ。このスーパースターの登場で、秋田の米の評価は180度転換した。「秋田の米はうまい」という評判が生まれ、逆にまずい米を代表していた大潟村は、見事にこのこまちフィーバーの波に乗り「大潟村の米はまずくない」という路線変更戦略を成功させたのだ。あきたこまちというスーパースターの一番の恩恵を受けたのは、ほかならぬ大潟村だったのだ。

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